7 保健室にて大混乱⁉︎
「桃ちゃん、具合悪そうだよ。大丈夫?」
小春ちゃんが心配をしてくれている…。何か返事をしなきゃ、…あぁ、意識が遠の…く…
皆さんこんにちは。
好感度アップイベントこと会長と約束した花束を作る期限がそろそろ迫ってきました…私は、そこで徹夜をしてしまいました。
その結果……倒れました。
最悪だ…ここには危険人物がいるのに……
「雪村さん、気が付いた?」
この方が噂の危険人物。
我等が保険医であり攻略対象キャラの石蕗桔梗。彼に関して言えば、実はもう本ストーリーとは異なっているのだ。
何故なら彼とのシナリオを進める上でヒロイン(私)は、学校説明会の時点で会っていなくてはならなかった。
学校説明会で、この学校を訪れていたヒロインは見学中迷子になってしまう。このだだっ広い学校で、1人不安になったヒロインは泣いてしまう。そんな時、「どうしたの?」と優しく声をかけてくれた石蕗にヒロインは恋をする……
それからヒロインは、なにかと職員室に行ってラブアタックをする。最初はお子様扱いをする石蕗だったが次第に絆されていく。
あ、いっとくけど
石蕗先生はまだ若いからね。最近流行りのおじさまでは無いよ。大学卒業したばかりじゃなかったっけ?
ちなみに
石蕗の花言葉は『愛よ、甦れ(よみがえれ)』
……確か、先生は昔女遊びが激しかった。(今は、先生になるにあたってやめたとか…)
「皆、雪村さんのこと心配してたよ。愛されてるねー」
フフッと微笑み大人の魅力を出してくる先生。出すな←
「……。元気になったのでもう戻りますね、有難う御座いました。」
「おっと、まだまだ安静にしなきゃ駄目だよー?さ、先生がお菓子あげるから良い子でいて。」
子供扱い…私は立派なレディーなのに、お菓子は食べるけど…
このルートは、なかなか危険なのだ。ほら、先生と生徒の禁断の愛ってさあまり現実世界で良いとされるものじゃないじゃん?
私がしくることで、先生の職もなくなるのはしのびない…
…あ、このお菓子美味しい
もぐもぐ色々考えながら食べていると先生は私のことをじーと見てくる。食べずらい。
「……君はかわってないね」
そっと呟く。
「…?え……私、先生と会ったことありませんよね?」
「なーんでもないよ」
ニコニコと私との話を中断した。
私と先生は会ってない筈だ。私は、会ってたら、ストーリーが無事進行してることになる。非常にヤバい。
なんとか、どういうことか聞こうと口を開こうとす…
ピリリリリ。先生の携帯に電話がかかったようだ…ごめんね、と小さく私に断ってから
「あぁ、茂?どうしたの?
ふーん…そう、いいよ。それはこっちでやっておく。あぁ、それより君の大切な子。うん、そう桃ちゃん。今、会ってるよ……ふふ、心配?
そーだ、こっちにおいでよ、ついでにさ。はやく来ないととっちゃうよー?」
し・げ・る?
茂兄⁈
「先生⁈ななななな、何で茂兄…?
それより、桃ちゃんって⁈」
私は先生と会ったこと覚えは無い…
なのに、私のことを「桃ちゃん」と言った先生は親しげだ。
それに、なんで
攻略対象キャラが茂兄と知り合いなの?
「すっかり僕のこと忘れてるねーまぁ、その方が都合の良かった気もするけど…」
ふぅ、と溜息をはく
「気になる?僕と茂兄の関係…」
こくりこくり!
全力で頭を動かした。
「それはねー」
私の耳に口を近づけて囁く。
吐息がくすぐったくて身じろいだ。
すると、クスっと笑いながら
「ほーら、動かない」
低音ボイスが私の耳に響く…
「先輩何やってるんですかっ⁈」
……。
…………。
茂兄?なんでここにっ⁈
私の将来の旦那様、茂兄が現れた。
あぁ、今日もかっこいい……
え、うん?先輩?
「桃、大丈夫か?」
私の視線に気がつくと
すぐに心配をしてくれた。流石。
「うん……それより、先輩って?」
いかん。久しぶりに会う茂兄に抱き付こうとしかけたが…まずは聞かなくては。
「あぁ、この人…医大の先輩なんだよ。」
なるほど、納得した。