説明書(前半)
ステータスカードの内容は更新されていたので、次は説明書を見てみる。
カードの下部分に『説明書』と書いてあるのでタッチする。
すると、表示が変わって色々な項目が現れた。
<勇者Lv>
<冒険>
<パーティ>
<お金>
<DLC>
-戻る-
とりあえず上から順番に見てみるか。
<勇者Lv>
表示されたのはさっきルークが言った内容がほとんどだったが、最後に注意事項があった。
☆注意:勇者Lv9になったら、魔王城でLv10への昇格試験が受けれます。
Lv10だけ特別らしい。
まあ、俺はそこまでは目指してないので、Lv6までいければいい。それで夢を叶えるチャンスができるだろう。
<冒険>
・世界各地にいる天使を探して、試験を受けて下さい。
『天使を探して』って事は、分かりやすい所にはいないって事か? まあ、天使が町中を堂々と歩くわけないしな。
・勇者として恥ずかしくない対応を心掛けてください。勇者だからといって、勝手に人の家に入りタンスを漁ったり、ツボを割ったり、宝箱を開けたり、妖精をアミで捕まえて砂漠のバザーで売ったりしてはいけません。犯罪です!
これは勇者じゃなくても、勝手に人の家に入ったり、漁ったりしないだろう・・・。
・モンスターを倒すと『魔晶』を稀に残します。『魔晶』は換金したり、特殊装備を作る材料になるので忘れずに回収しましょう。
『魔晶』か・・・。村にいた時に何匹かモンスターを倒したけど、一回しか出たことないな。たしか緑だったかな? ルークのじいさんに渡したら、そよ風が出る板に加工してくれたな。夏の暑い日に凄い役にたったのを覚えている。
「ん? そういえば『魔晶』ってなんでモンスターが落とすんだ?」
「兄ちゃん知らないの?」
俺の疑問にルークが聞き返してきた。
サヤも知らないの? って顔をしている。
「なんか聞いた事があるような・・・。無いような・・・。」
「あ-・・・。 おじいちゃんが『涼風の板』を作った時に話してたんだけど、兄ちゃんは板の出す風に夢中であんまり聞いてなかったからね」
「さすがラルフね!」
お-! その時か! 確かに言ってた気がするぞ。板の方が面白くてあんまり聞いてなかったけど。でも、サヤは俺と一緒に板の方を見てた気がしたけど、ちゃんと聞いてたのか・・・。器用なヤツだ。
「じゃあ ルーク君。もう一回説明よろしく」
俺はルークに説明を求めた。
ルークは少し考えてから話始めた。
「今僕たちがいる人間界と魔族が元々いた魔界という世界があって、その世界の間には深淵という『悪魔』が住む世界があるんだ。深淵は魔力濃度が濃い世界なんだけど、殆どの時間は魔界側に寄っているんだって。でも、たまに人間界側に近づく時があるみたい。その時に人間界側に濃い魔力が漏れてきて『魔力溜り』ができる。『魔力溜り』が更に濃縮されるとモンスターが発生するみたい。そして、モンスターが発生する前の『魔力溜り』を他のモンスターが吸収すると、そのモンスターが強くなったり分裂して数を増やすみたい。で、そのモンスターがどんどん『魔力溜り』を吸収していくと、体内の魔力が結晶化して『魔晶』が造られる事があるらしいよ。だから、あんまり弱いモンスターは『魔晶』を残す事はないみたいだね」
「なるほど・・・。」
なかなか長い説明だが、なんとなく分かったので頷いておいた。
「でも、この事は人間と魔族の争いが無くなって、一緒に研究したから分かったらしいよ。その前はモンスターが発生すると、魔族の仕業! って、考えられたみたい。魔族側は『深淵』が近いせいで強いモンスターが発生しやすいみたい。だから脅威の少ない人間界に移住したかったらしいよ。その行動と心の行き違いが争いに発展していったみたい・・・」
「まあ、最近詳しい事が分かったのなら、昔に人間と魔族の仲が悪くなっていくのも分からなくもないな」
ルークが人間と魔族の争いの原因を話すが、何か哀しくなってくるな。
「真実を欲しても全てが手に入る事は殆ど無いし、真実の欠片は手に入れた者が都合の良い方へと変貌させていく事があるからね」
「そうだな・・・」
「そうね・・・」
お!? なんか哲学っぽい? ルークは賢いな。俺は感心しながら同意した。
サヤは同意しながらも何かを考えているようだ。