仮面
城の入口まで着いた時
後ろの方で、ざわめきが起こる。
振り返って、みんなが見つめる先を見てみる。
三人のパーティが歩いていた。
よく見てみると、ざわめきの原因が分かった。
先頭の人物は仮面を着けている。
顔全体を覆う大きさで、表情が全く分からない。
その仮面は、本などでよく見た形で、全体が白く額にのみ青い宝石が埋め込まれた物であった。
そう・・・ 最後の勇者と呼ばれた人が着けていた仮面だ。
<最後の勇者>
約50年前に魔族と人間の争いをなくした人物であり、正体は不明。
各地でモンスターから助けられたとの情報はあるが、それほど長い間旅をしていた記録はない。
突然現れ、突然姿を消した、謎が多い人物である。
第三回の試験までは、わりと仮面を着けて真似をする人がいた。
ただ、ステータスカードで正体はバレバレだし、なにより仮面のせいで視界が悪いし息苦しい。
実力の無い者が着ければ、戦闘中に危険を増やすだけである。
そういう理由もあり、最近ではそんな酔狂な人はいなくなった、
三人を見ている人の中には、「コスプレか?」とつぶやく人や、変わり者を見るような目を向ける人もいた。
ただ、一部の人は無言で実力を確認するかのような目で見ていた。
「俺と同じくらいかな・・・」
「ん? 何か言った?」
「ああ! 何でもないよ!」
サヤに俺のつぶやきが聞こえたらしく、聞き直してきたのをごまかす。
ちょっとサヤが不満そうな顔で見てくる。
「そ そういえば、受付が終わったから試験は受けれないな~」
「それはそうね、どうするのかしら?」
サヤは普段通りに反してきた。
話題を変えて正解だった。
受付の兵士が三人に近づいていって何か話している。
「今回の受付は終わりましたよ」って言っているのだろう。なんて思っていると。
「大丈夫みたいだよ」
ルークが俺の心を読んだかのようなタイミングで言ってきた。
三人を見るとステータスカードを手に持っていた。
兵士は石版のような物を指で操作して、何か確認しているようだ。
しばらくして、兵士はお辞儀をして離れていった。
三人はこっちに歩いて来ているので、登録はしてあったのだろう。
ん? なんか違和感を感じるがなんだろう?
少し考えていると、いつのまにか三人が近くに来ていた。
仮面の人物は立ち止まり、俺たち三人を見る。
特に何も話してくるわけでもなく、俺たちをしばらく見た後、城へ入っていった。
なんなんだ?
俺たち三人を見るが、サヤが一番長かった気がした。
「あいつ、サヤに惚れたか?」
「なんでよ!」
バシッ! サヤに突っ込まれた。
・・・いつもより痛い気がする。
「兄ちゃん・・・」
軽い冗談だったのに、ルークよそんな目で見ないでくれ。
ちょっとした騒動もあったが、俺たちも中へ入っていった。
その騒動を城から見ている人影が二つ。
一人は笑顔を浮かべ、もう一人は心配そうな顔をしていた。
騒動が収まると、笑顔の人がもう一人の肩をポンポンと叩いて中に入っていった。