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第5話 ある一日の記録

少々長くなってしまいましたが、お付き合い願います。

ミカが俺の所に来てから数週間が起つ。


俺はトーストを口に運びながら、ミカと話していた。


「なあ、ミカ。」


「なに?」


「この学校って生徒にも天使や悪魔がいるんだよな?」


「いるよ、うじゃうじゃと。」


「お前の知り合いもいないのか?」


「ああ、私の知り合いは皆天国の学校に通っているの。」


「天国にも学校って在るのか?」


「こっちと天国はあんまり変わらないよ。」


「私も、本当だったらあっちに通うはずだったんだよね〜」


「そうなのか?」


「まぁ、ゼウスさんの苺大福盗み食いしちゃったからこっちに落とされちゃったんだけどね。」


最近こんな会話がやたらと多い。


やがて信が来て俺達は学校に向かった。


信はいつもドアを蹴破って来るのでいつの間にか俺の部屋のドアは、はめ込みしきになっていた。


学校に着き俺とミカと信で話していると一人の女の子が話に割って入ってきた。


「ねえ、アンタ天使でしょ?この間のポルターガイスト事件、笑わせてもらったわよ。」


話掛けて来たのは、少しショートカットの髪が少し茶色がかったボーイッシュな女の子だ。


「あなたも天使?私はいま堕天使やってんの。」


「へー、堕天使か。あんたなにやったんだい?」


「それがゼウスさんの苺大福食べちゃって。」


それを聞いた女の子の顔色が変わった。


「あんた何番街に居たんだい?」


「えーと十番街かな。」


「じ、十番街!?」


「なにをそんなに驚いているんだ?て言うか十番街ってなんだ?」


俺は話の内容が掴めなかった。


「ああ、あんた人間ね。天国っていうのは、12層から出来ていて、一番下の一番街から始まり、上の階層に行くにつれて身分や能力の高い天使が住むんだけど、11、12番街は神様とか大天使様とかが住む階層なの。だから十番街は天使が住める一番高い層なわけ。」


「えっと・・・つまりコイツは・・・」


「エリート中のエリートってわけ。」






「ええ〜〜〜〜!!」×2


なぜか信まで驚いている。


いやしかしこいつがそんなに凄い奴だったなんて、でもキリストさんに面倒を見てもらってたんだから考えてみれば納得できる。


「 ゼウス様って四人の神様のなかで一番セコイってもっぱらの噂よ。でもまさか苺大福一つで・・・」


どうやら本当にセコイ神のようだ。


「でもあんた、面白いよ!気に入った!アタシはメイ・カシマ宜しくね!」


「私はミカ・マハラージャ宜しく♪」


それから天使二人組はゼウスの悪口や最近天国で流行している。曲の話などで盛り上がっていた。


キリストさんはやはり天国でも人気があるらしい。










昼休みになり俺達四人は食堂に向かった。


信はメイと、どのメニューが旨いとかを熱心に語り合っていた。


「この山羊のミルク粥っていうのはどうかしら?」


「これは俺が前に食って命を落としかけたメニューだ。」


「おっ!ケルべロスステーキセットだ!旨いんだよこれ。」


「そんな見るからに旨そうなもんじゃつまんねぇだろ!おっ!これなんかどうだ!プリン天定食。」


と言う感じだ。因にプリン天は辞めとけ絶対上手くない。


俺の心の声は届かず信はプリン天定食をメイはマジックマッシュルームパスタを食べ二人仲良く保健室に運ばれて行った。









午後の授業の途中からメイと信が青い顔をしながら教室に入ってきた。


下校時間になりやっと体調が回復した二人が、どこか遊びに行こうと行ったので電車で数駅のショッピングモールまで行った。


「恵くんあれほしい。」


といってミカが指差したのは、高級苺大福1つ300円。

まあ別にいいか300円位。


「恵くん僕も♪」


「恵くん私も♪」


「・・・・」


1200円飛びました・・・


あれ!あそこにいるのは、キリストさん?


「あ、キリストさんだ。」


やっぱり。


「キリストさんって・・・あのイエッサー・キリスト様!?」


メイが即座に反応した。


「イエス・キリストのことか?」


信が聞き返す


「なんかあっちじゃイエッサーらしいぞ。」


「イエッサー!」


やっぱりそうなるよな。


「キリストさーん」


ミカがキリストさんの方に駆け寄っていく。


「おお!ミカじゃない・・・ぐはぁ!!」


ミカのタックルがキリストさんに炸裂した。


「いやぁ、相変わらず元気がいいね。安心したよ。アッハッハ。」


「キリストさん流血してます・・・」


「やぁ、恵くんじゃないか。大丈夫少し頭蓋骨が陥没したくらいだよ。ハッハッハ。」


下手したら死にますよ。


「おや、そちらの方達は、お友達かな?」


「ええ、俺の幼馴染みの信と、今日知り合った、天使のメイです。」


「どーも、中島 信です。初めまして。」


「は、は、初め…まして、め、め、メイ・カシ、カシま…」


メイはかなり緊張しているまぁ無理もないか。


「アッハッハ、そんなに緊張しないで結構ですよ。メメメイ・カシカシマさん。」


・・・キリストさん、いまのはワザとですか?


「すいません。私、緊張してしまって、・・・メイ・カシマです7番街出身です。」


「ハッハッハ、宜しく、メイさん。」


そういうとキリストさんはメイに手を差し出し握手を求めた。


メイは顔を真っ赤にしている。メイはキリストさんを本当に尊敬しているんだな。


俺にはただの天然癒し系お兄さんにしか見えないが。


「キリストさんってもしかして天然癒し系お兄さんですか?」


信が爆弾を投下した。お前そんな失礼な事を・・・よくいってくれた。


しかしメイはかなり怒っている。


「信あんたキリスト様になんて事を、失礼にも程があるわ!!!!」


!の数からメイの怒りがどれ程のものかが伝わってくる。


そして珍しくコイツも怒っていた。


「そうだよ、信くん!!キリストさんは天然ボケじゃなくて、その上に超がつくんだよ!!!!本当に失礼な!!!!!」


ミカさん・・・貴方も超の付く天然ボケだよ。しかも!がメイより多いんだけど何に怒っているのかな?


「すまんミカちゃん、メイ失言だった。」


信が二人に深く頭を下げ謝るが、二人に同時に謝る時点で矛盾してる、と思うのは気のせいだろうか。


「ところでキリストさんは、こんなところで何をやっていたんですか?」


俺が聞くとキリストさんは目を輝かせて言った。


「よくぞ、聞いてくれた。恵くん!!」


なんでこんなに喜んでるのこの人。


「実は生活費を稼ぐと同時に、天国の事を知ってもらおうと、コレを見てくれ!」


イエッサー・キリスト像、ゼウス像、大天使ミカエル像、釈迦像etc各10万円・・・


〈ゴシャ〉


「ぐはぁ!!」


しまったあまりの浅はかさについ渾身の突っ込みを入れてしまった!


「なにをするんだ・・・恵く・・ぐは・・」


「誰が買うんですか。こんなもん!」


「そうだよキリストさん、セクシープリティーダイナマイト堕天使・ミカ・マハラージャ像がないじゃない!!」


違う、違うよミカさん・・・そういう問題じゃ無いんだ・・・しかもセクシープリティって言葉は存在しないよ。


「なるほどそうか!!セクシープリティーダイナマイト堕天使・ミカ・マハラージャ像か、すっかり忘れてたよ!いやー、恵くんの突っ込みがなければ気付かなかったよ。アッハッハ。」


さすが・・・ミカの面倒を見ていた人だ・・・


「道理で、昼から三つしか売れない分けだ!ハッハッハ!!」


三つも売れたのか!?


俺だったら買わない、絶対買わない。


俺が物思いにふけっていると

「すいませーん、イエッサー・キリスト像と釈迦像、一つづつ下さい。」


若いカップルが買おうとしている。


「いらしゃい、あれ!お二人さんカップルでいらっしゃいますか、いやー羨ましいなーハッハッハ!お兄さんこんな別嬪さん、絶対離しちゃ駄目ですよー♪」


うわスッゲェフレンドリーだよこの人。


「いやー本当、僕にはもったいない彼女ですよ。」


「お二人さんには幸せになって欲しいですね〜♪あ!このペアの指輪もつけちゃいます。」


「うわ〜可愛い♪」


「この指輪には魔力がありまして、コレをつけたカップルは必ず結ばれると言われております。今回この指輪のお代は1500円で結構です。サービスにしておきます。」


「本当ですか!?ありがとうございます♪」


「はい!釈迦像とイエッサー・キリスト像て20万1500円になります。」


・・・す、すげえ商売上手。


「キリストさんあの指輪って何処で手に入れたんですか?」


「ああ、今朝1000円ショップで良さげなの〈ゴシャあ〉ぐはぁ!・・な、なにを・・・」


「詐偽じゃないですか!」


「ハッハッハ甘いな恵くん、私は魔力がこもってるとしか言ってない指輪の価値に着いて一言も話したおぼえはな・・・」


〈ゴシャあ〉


「ぐはぁ!」


「キリストさん警察行きましょうか。」


「恵くん、なんだか怖いぞ。大丈夫さ、魔力はさっき渡す瞬間に、私が込めておいた。効果は私が保証する!だから警察は勘弁してくれ!」


うーん突っ込みどこ満載ですよキリストさん。


「でもね、恵くん。あのカップルに、幸せになって欲しいと思ったのは、本当なんだよ。」


そう話すキリストさんは本当に優しい顔をしている。


「よし!みんな、今日は私がおごろう。」


「やったー」


「ありがとうございます。」


「ごちになります。」


「き、恐縮です。」


「良い飲み屋があるんだ、今からそこへ行こうか。」


「キリストさん俺達未成年・・・」


「おおー!」×3


ノリノリだな・・・









続く

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