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第4話 堕天使の知り合い

学校に着き俺は席に着く。因みに信もミカもも俺と同じクラスだ。


始業のチャイムがなりクラス担任が入ってきた。


「それでは、出席をとりたいと思います。」


「秋元」


「はい」


マハラージャ


「は〜い♪」


ミカが勢いよく返事をした。


お前名字はマハラージャって言うのか・・・










午前の授業を終え昼休みに入った。俺と信とミカは三人で学食へと向かうのだった。


学食はやはり込んでおり学食のオバサンは忙しそうにしている。俺はメニューを開いていた。


この学校の魅力の1つに学食のメニューが豊富というのは聞いたことがあるが、テーブルに置いてあるメニューはもはや一冊の本のようになっている。


「うわー!いっぱいあるねー♪」


「そうだな」


俺はとりあえずカツカレーと唐揚げ定食を頼んだ。


「私はケルベロスステーキセット」


メニューにはたしかに

ケルベロスステーキセット

時価

と書かれている・・・


ケルベロスって食えるの?


信は山羊のミルク粥と言う訳の分からないものを頼んで瀕死になっていた。


瀕死の信に向かってミカは口直しにどうぞと炭酸ラーメン、略して炭麺を食わしてとどめを刺した。


信は保健室に運ばれ俺とミカは午後の授業を受けるため教室に戻っていた。


「信くん大丈夫かな?」


とどめを刺したのはお前だよ。


授業開始のベルが鳴ったので俺とミカは自分の席に着戻った。


午後の授業ではミカは爆睡していた。


更にアイツは悪夢にうなされ大泣きして、ポルターガイストを起こした。一瞬の内に教室は台風が過ぎ去った後のような状態になった。


俺がアイツの口に苺大福を詰め込まなかったら、被害はもっと拡大しただろう。


教室の大半の奴らは、この予期せぬ事態に氷ついている。だが中には、なにくわぬ顔で椅子や机が飛び交う様子を見ているものが何人かいた。


こいつらがミカの言っていた天使と悪魔達なのか?







放課後ミカと俺は生徒指導室に呼ばれた。ミカはしょうがないと思うが、なぜ俺が呼ばれなければならない?


生徒指導室に入った俺とミカ、そこには俺の想像していたセカンドバッグのよく似合ういかつい先生ではなく。


金髪のクシャクシャしたかにがよく似合うとても優しそうな男性教師が座ってした。


彼はこちらに笑顔で手を振ってくる。


ミカの知り合いらしく、一瞬ビックリした表情になったミカは、すぐに笑顔になり彼に文字通り飛び付いた。


「キリストさん!!」


勢いよく飛び付いたため彼は後ろへ吹っ飛び壁に激突した。


・・・!!


ミカはいま、キリストと言ったのか!?キリストってあのキリスト!?


「ハッハッハ相変わらず元気なようだなミカ!安心したよ」


・・・さっきの壁との衝突のせいで、彼の頭から血がだらだら流れている。血まみれになりながら笑っている様子は、かなり恐いんですが・・・


「キリストさん紹介するね♪この人はいま私が取り付いている。恵くんだよ♪」


キリストさんは


「ああ、彼が!」と言うと


彼は俺に一礼したあとに、やんわりした口調で言った。


「始めまして、渡辺 恵くん。天国でミカの面倒をみていた、イエッサー・キリストです。以後お見知りおきを」


・・・イエッサー、と心のなかで言ってみる。


「初めまして。渡辺恵です。あの頭からすごい血が出てるんですけど大丈夫ですか?」


「大丈夫ですよ。少しクラクラして目が霞むだけです」


大丈夫とは言い難い様だが・・・


大丈夫だと言うことにしておこう。


ミカがすかさず口を挟む。


「恵くんもキリストって名前は聞いたことはあるでしょ?」


「ああ、そりゃあるよ。イエス・キリストだろ?」


「ぶぶー残念!イエスは間違い!正確にはイエッサーになるんだよー♪」


キリストさんも苦笑いを浮かべて


「2000年も語り継がれてるものだから、どこかで名前が変化してしまったんでしょうね」


などと言っている。


じゃあ今俺の目の前で笑いながら血まみれで立ってるこの人が聖書に出てくるイエス(正確にはイエッサーらしい)・キリストなのか?


聖書など読んだことのない俺ですら知っている大物の出現に、戸惑う俺・・・


そんなことは全く気に留めずにキリストさんは話始めた。「今日恵さんにも来てもらったのは、実はミカの事なんです」


「ミカの事ですか?」


俺はミカの方を見たがミカミカも何のことか分からないらしく首を傾げていた。


「そうなんです。実は最近ミカが頻繁にポルターガイストを起こすと言うことを小耳に挟みまして」


「ええ、たしかにその通りです。」


「ミカは潜在的な、魔力は強いのですが、今回はそれが仇になってしまったようですな。」


「魔力・・・ですか。」


まるでRPGの世界のようですな。


「そんなに難しく考えないで下さい。人間の霊力みたいなものですから。」


またまた新用語ですな・・・


理解に苦しむ俺の様子を見てキリストさんは苦笑いをしながら


「口で説明するより実際に見せた方が早いでしょう」


と言うとキリストさんは俺達に校庭に出る様に言った。


校庭に出るとキリストさんは校庭に生えている木に近ずき


「この木が良いでしょう。百聞は一見にしかず、見ていてください。」


と言い木に手をかざした。すると手をかざされた木が〈ボン〉と音をたててはじけとんだ。


「ス、スゲエ・・・」


キリストさんが指を鳴らすと木は元に戻った。


「分かっていただけましたか?」


「はい。」


「ハーイ♪」


あまりの出来事にこいつがいる事を忘れていた・・・


キリストさんは話を続けた。


「・・・と言う訳です。今のは大分力を押さえましたが本気を出せば関東を消し飛ばせる位はできます。」


さらっと怖い事を言って来た。


「ミカは私と匹敵するぐらいの魔力を潜在的にもっています。力のコントロールが出来ない状態のミカを人間界に置いておくのは核兵器が歩いているのと同じですね。ハハハ。」


笑いながら怖い事言わないで下さい。


ミカは浮かない顔だった


「じゃあキリストさんは私を連れ戻す為に来たの?」


「いえミカは一応堕天使ってことになってますから、私がが人間界に暫く止まりミカに力の制御方法を教えようと言うことに鳴りましたので。宜しくお願いします。」


「じゃあ私はまだ帰れないの?」


そういうミカは何だか嬉しそうだ。


なんで?


「残念ですがそうなりますね。ミカも災難ですねゼウスの苺大福を食べたばかりに・・・」


苺大福が原因なの!?せ、せこい。


ミカは最初に来たとき天国での悪戯が原因で人間界に落とされた。と言っていた。どんなに凄い悪戯かと思ったが、まさか苺大福一つ盗み食いしただけで・・・


「まぁ、ゼウスの事をあまり悪く思わないで下さい。確に神としてはかなり・・・少しせこい男かもしれませんが今は少し反省してるみたいなので。」


神としてはじゃなく人としてもセコイと思うのは俺だけか?


だんだんアイツが哀れになってきた。


ミカが俺の服の裾を引っ張り目を擦りながら。


「恵くん私眠い・・・」


と言ってミカは地面に倒れこんだ。


「ミカ!」


「大丈夫寝ているだけです。教室での騒ぎの時、少し魔力を消費しすぎたみたいですね。じゃあ今日はこれくらいにしておきましょう。」


俺がミカをおぶって立ち去ろうとすると、キリストさんによびとめられた。


「恵さん。」


俺が振り向くとキリストさんは俺に言った。


「ミカを宜しくお願いします。少し変わっていますがとてもいい子ですから。」


「はい、分かりました。」


まあ、こいつが悪い奴じゃないのはもう分かってる。


「あとさっきからお二人の様子を見ていて思ったのですが、貴方はずいぶんミカに気に入られている様ですね。」


「へ?」


悪戯っぽく笑うキリストさんはそう言い残すと、頭を手で押さえながら歩き去っていった。


やはり、痛かったのだろう・・・


俺は暗くなった道を歩いていた。


「恵くん。」


どうやらミカが起きたようだ。


「おう、起きたか。」


「キリストさんは?」


「ああ、さっき別れた所だ。」


「そっか。」


「良かったな。」


「え?」


「キリストさんがこっちに来てくれて。」


「うん。」


「優しそうな人だったもんな。」


「恵くん。」


「なんだ?」


「私ねずっと不安だったんだ。」


「え?」


こいつに似合わない弱気な発言に俺は驚いた。


「一人でこっちにきて知り合いも全然いなくてなくて。凄く不安だった。」


こいつこんなことも考えていたのか。確にコイツはたった一人で人間界にきたんだよな。


「まだ不安か?」


「恵くん達に会ってからは淋しくなくなった♪」


「キリストさんも来てくれたしな。」


「うん。あと信くんもいい人だしね。」


「馬鹿だけどな。」


「あははは、取り憑いたのが恵くんで良かった♪」


「苺大福でも買って帰るか?」


「うん♪」










続く

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