第3話 ある朝のはなし
今日から授業が始まる。俺は新品のノートと教科書を鞄に入れて朝食をとっていた。
アイツはと言うと・・・
新しいノートと教科書と何やら怪しげな物をを鞄に入れて朝食をとっていた・・・
何で?
「なぁ・・・」
「なあに?恵くん」
ミカの口からご飯粒が飛んでいるがそれどころじゃない。
「なんだ…それ」
そう言って俺は震える手でミカのまとめた荷物を指差した。
「何って、学校今日から授業でしょ。同じ学校なんだから、私も行くに決まってんじゃん。」
アイツ今、当たり前のように言ったよね。」
「俺はお前みたいな奴、入試でも、合格発表でも、入学式でも見なかったぞ!」
「うん、私行ってないもん」
どうせこのあとに・・・
「だって私天使だもん」
ほらきた!!決まり文句。ここは人間界の厳しさを教えてやろう。
「人間の世界では、入りたい学校なんかがあれば試験を受けて、それに合格しなきゃ通うことすらできないのだよ。ミカ君」
「ところがどっこい、この明星高校は天国や地獄とつながってて人間の他に、天使や悪魔はみーんなここに来るのだよ。恵くん」
成程納得・・・ちょっと待て!なんだよこの急展開!
3話目にしてやっと学校の真実がわかったのか?しかもお前堕天使だろ。てか俺にこんな非現実的な話を信じろと・・・しかしこいつが俺の目の前にいる時点で充分過ぎるほど非現実的なわけだけどな・・・それが本当だったとして気掛かりなのは
「お前の他にも天使やら悪魔やらがいるのか?」
「それはもう、うじゃうじゃと♪堕天使は私だけだけどね、そんな私に憑かれたんだから、恵くんはレアだよレア♪」
嬉しくねえよ。・・・そういえばこいつが天国に戻るために出された課題ってたしか
「お前、俺に憑いて俺を守れってのが天国に戻るための条件だよな?てことは俺が危険にならなくちゃいつまで起っても帰れないのか?」
「うん!だから私の出番を作るために、恵くんは早く危険に巻き込まれてね♪」
最低だよこいつ・・・本当に天使か!?
今の発言をキリスト教の信者が聞いたら泣くだろうな。間違いなく。
そんなことを話していたのだがいきなり呼び鈴がなった。
〈ピンポンピンポンドンドンドンピンポンピンポンドンドンドン〉この呼び鈴の鳴らしかたはアイツだな。
そういえば今日はあいつと登校する約束をしていたんだった。しかし今ドアを開けられるのはまずい。ここには今、この疫病神・・・いや、堕天使がいる。こんな場面を信に見せるわけには行かない。
とりあえず何か適当に理由を作って先に行ってもらおう。
「信、俺今日・・・」
〈ドガーン〉
こいつドア蹴破ってきやがった。
「恵、学校行く・・・ぞ・・・・ておい!!」
ドアを破壊しておいて、ておいじゃねえよ!!
ミカは透けているがアイツには見えているんだろう。
「お前この子、入学式の時の・・・抜け駆けはずるいぞ!恵!!!」
いやいや違います信さん。貴方は抜け駆けと申しますが、僕はむしろ被害者なのです。
「おはよう入学式の時、恵くんと一緒にいた人だよね♪堕天使のミカです♪先日から恵くんに取り付かせてもらってます♪」
いつの間にか、ミカが俺と信のところに来て浮いていた。
いくら信でもミカの今の発言に納得する分けがな・・・
「宜しくミカちゃん。俺は中島 信です。信って呼んでくれ。」
馬鹿で助かった。
「にしてもミカちゃんも、こんな奴に取り憑いちゃって大変だね」
「そうなのよ〜!ご飯は学校の給食みたいだし、私のことは幽霊に間違えるし、トイレは和式だし、布団は固いし、飲み物は紅茶しかないしetc」
「困った奴だよ恵は・・・」
「本当よ!この間なんか私がうどんを作ろうとしたら、うどんは駄目だー!なんていって必死で止められたんだから」
「恵は好き嫌いが多いんだよな」
お前の夢が原因だよちきしょー。
俺は聞いているのもアホらしくなって二人を置いて寮を出た。
「恵くん待ってよ〜」
「待ってくれ〜恵」
こうして俺達は三人は学校へと向かったのだった。