第2話 ポルターガイストと苺大福
取り憑かれた次の日の話です。
俺は今、息を切らせながらコンビニに入ったところだ。何故こんなに急いでいるかと言うと。
それは一時間前に遡る
昨日の出来事から一夜明けた今日、目が覚めた俺は昨日の恐ろしい体験を思い出しながら。食器を洗っていた。
そう、強引に俺に取り付いた幽霊にしか見えない、自称天使ミカ。
その自称天使ミカはと言うと…
透けながら、浮いていた。…更に寝ていた。寝言でミカはひっきりなしに
「シースルー」
を連呼しながらうなされている。
どんな夢だよ。
ミカは悪夢?に耐えかね文字通り飛び起き、そのあとに夢だとしって安堵していた。
暫くボーッとしていたが、視界に俺が入ったらしく。俺に向かって
「あ、恵君おはよう♪」
といってきた。
俺も挨拶を返す。
「ああ、おはよう。自称天使」
「天使だゴラァァァ!!」
天使だと言うことを否定されると自尊心がひどく傷付くらしい。
「でもお前天使らしい事してないじゃん、しかも堕天使だし。」
「うえーん、ひどいよ恵くん。何で、何でイジメるのー?びえーーん」
ヤバイ言い過ぎたか。しかもキレた後に泣きやがった。…にしてもスゲエ泣き方だなおい。
その時〈ガタガタ〉と部屋が揺れ始め、所々で〈ガシャーン〉〈パリーン〉とガラスが割れ、家具などが勝手に動き出した。
これってポルターガイスト現象って奴だよな?ねえ、アンタ本当に天使だよね?やってることお化けと変わりませんよ。
ミカさん…
ヤバイ!このままじゃ寮が壊れる!
「スマン、ミカどうか泣きやんでくれ!」
「グスッ苺大福が食べたい」
「…は?」
「びえーーん」
「わかった!いま買ってくるから。待ってろ!そして泣きやめ!」
「じゃ!宜しく♪」
立ち直り早!!
そんな事が有って俺は朝からコンビニまで行く羽目になった。ついでに弁当×2とジュース×2を買って寮に帰った。俺の部屋は台風が過ぎた後のようになっている。
俺は買ってきた弁当と苺大福をミカに渡した。
俺は部屋を片付けるためにキッチンに向かった。
「うわーコップ全部割れちまってるよ」
「ごめんね恵くん」
やり過ぎたと思って反省…というか凹んでるようだ。
「まぁ、俺も言い過ぎたよ。悪かったな。だからあまり気にするな。」
ミカの顔がパッと明るくなった。はは本当に分かりやすい奴だ。…いや俺こいつに取り憑かれてるんだよな?いま不覚にも可愛く見えたぞ、まぁ実際かなりの美人では有るが。
「私も手伝う〜」
そう言うとミカは、指で五法星を描き 印を結んだ。
「はあ〜!臨、兵、闘、者、階、陣、烈、在、前」
天使さんは何処の隠れ里出身ですか?
しかし次の瞬間信じられない事が起きた。床に散らばっていたガラスの破片やら壊れた椅子やらが、一回空中に浮き上がり、壊れた物が修復された。
修復された家具はそのまま食器だなの中やテーブルの上など、物がもともとあった場所にもどったのだ。
「な!」
俺はその光景を唖然して眺めた。
キッチンは騒ぎが起こる前の状態に戻っていた。
「エヘヘ〜凄いでしょ。」
い、今のは確に凄い!こいつ本当に…
「お前、本当に…天、天使なのか?」
「ブー、まだ信じてなかったの?」
しかし今のを見せられたら信じるしか無いだろう。
「ああ、今ので信じる気になった。一体何をやったんだ?」
「今のは物の時間を元に戻したの♪」
「時間を元に…」
「アハハハ、ビックリしてる〜。…ふぁ〜、眠いや、私…少し…寝るね。あれ…やると…結構…疲れ…るんだ…」
そう言ってミカは気を失った。
「おい!ミカ!」
「スピ-」
ははは、寝てやがる。苺大福、もっと買ってきておいてやるか。
「ムニャ…恵くんのうどんに煮こんだミミズ…」
………俺のうどんにミミズをどうするって!?
コイツの夢すっげえ気になる。
それからミカは夕方に目を覚まし、夕飯にうどんを作ろうとしたが、俺が必死で止めたのは言うまでもない。