町
-ヒュルルル
風が渦巻く。広場を中心として草木が燃え、一部が凍りつき、獣たちは逃げ出した。
男が強いことは見ていた瀾にも解っていた。アクロもカイトも全身全霊をかけて挑んだ。だが、負けた。
ゆっくりと男が、近づいてくる。
―――次は私の番。
そう思いゆっくりと目を閉じたが、一向に衝撃が来ない。目を開けると男は目の前で歩みを止めていた。
「弱いな。どいつも、こいつも。弱いくせにはむかつて来る。」
そう言った男の目は冷え切っていた。
あれから私達は場所を変えた。又、何かあるといけないから。
アクロとカイトの怪我はひどいものだつた。
なぜ私は何もされなかったのか。そして、 『お前をこの世界に呼んだのは、この俺だ。』この言葉。どうゆう意味なのかよく解らないけど・・・・。
「気にすんなよ。」
考え込んでいた私を見かねて、アクロはそう声を掛けて来た。
「うん。」
「気に病む必要は無い。
確かに、あいつの言っている事はあっているだろう。だが悩んだ所で何もならん。だったらまずはあいつを探し出し、聞きだせば良い。そうだろう?」
「そうそう。カイトの言う通りだぜ。」
「でも・・・・」
確かにこの二人の言う通りかもしれない。それでも私は怖かった。
嫌でも思い出されるさっきの出来事。血濡れた二人。チロチロともえる植物。凍った大地。
つめたい。何もかも拒絶した様な、それでいて受け入れる様な、温かい手とは反対の、冷たい。冷え切っているあの青い目。あれが怖かった。まるで全てを見透かされそうで。又、あの時みたいに。
・・・あの時?今、私は何を思った?
「まずは、あの男についてだな。俺達は、あの男について何も知らない。そこで、情報を集めようと思う。」
「この近くに町があったな。そこで、少し聞き込むか。」
「町?人がいるの?」
蘭のその言葉にアクロはプルプルとこぶしを震わせ思いっきり叫んだ。
「人がいなかったら、カイトはどうなんだぁー!!」
「目の前でしゃべってんのは人だろ?人じやないのか!?」
否、ドラゴンです。とは、ロが裂けても言えなかった。
あれから町に来た私たち、町は私の住んでる世界とはやっぱりちがくて、少し落ち着かないけど私はこっちの方が好きだったりする。
アクロはあれからずっと怒ってて、ぐちぐち言ってる。私が何よりも驚いたのは、ドラゴン(アクロ)が喋っていても別段平気だと言う事。(ドラゴンは、そんなに珍しくないらしい。)
「って、俺の話、聞いてんのか!?」
「あー。はいはい。」
なんか、こっちに来てから神経図太くなった気がする。