第98話 並ぶ
市の日。
姫路城下。
いつものように。
市。
賑わっている。
焼き見世。
茶。
椅子。
そして。
黒田万吉。
相変わらず。
座っていた。
その時。
人波。
少し割れる。
「……あれは」
「姫路城代様だ」
周囲。
ざわつく。
黒田職隆。
珍しい。
城代自ら。
市へ降りて来ている。
しかも。
真っ直ぐ。
焼き見世へ向かっている。
商人達。
少し緊張。
護衛。
姿勢を正す。
万吉。
気付く。
「父」
職隆。
近付き。
周囲を見る。
・茶
・椅子
・商人
・人だかり
・焼き物
そして。
ぽつり。
「……聞いた」
万吉。
普通。
「そうか」
そのまま。
職隆。
「座っていいか」
勝手に。
隣へ腰を下ろした。
周囲。
静かになる。
黒田家当主。
その嫡男。
二人。
並んで。
市の焼き見世前に座っている。
しかも。
茶まで出てくる。
周囲の商人。
完全に困惑。
「……黒田二代が、
揃っておる」
「わし、
初めて見たぞ」
さらに。
職隆にも。
焼き物が出される。
女衆。
緊張気味。
「ど、
どうぞ……」
職隆。
受け取る。
食う。
少し止まる。
「……うまいな」
その瞬間。
周囲。
少し空気が緩む。
そして。
万吉。
普通に聞く。
「父」
「甘いか?」
職隆。
少し考える。
「若干」
「茶が欲しくなるな」
周囲。
吹き出しそうになる。
親子。
同じ事を言っていた。




