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第七話 恋する一途の本性(好き好き好き♡)

今回はヒロインである一途の本性が見られます。中々にえぐいので注意してください(笑)


 心太の活躍によりクラスメイトの中から被害を出す事も無く無事に暴漢たちを追い返す事に成功したが、個室内は未だ静寂に包まれていた。

 皆が黙り込み続ける理由、それは数分前に独りで退出した心太が原因であった。

 屈強な男3人を瞬く間に鎮圧した心太の強さに対し、この場の皆は正直に言えば頼もしさよりも恐怖の方が勝っていたのだ。


 「あれが中学時代に鬼神って呼ばれていたヤツの力かよ。暴れたらとんでもないな……」


 あの場で何もできず震えていた男子の1人がぽつりと呟いた。


 中学時代に鬼神と呼ばれた心太だが、高校入学以降は特に大きな喧嘩や問題行動も起こさず大人しく過ごしていた。だからこそ心太の強さに対して皆はいまいち実感を持っていなかった。悪評は理解していてもせいぜい多少喧嘩慣れしている程度の認識だったのだ。しかしいざ彼の暴れっぷりを目の当たりにした事で予想と現実のギャップから放心状態に陥ってしまっていた。


 しばし同級生たちが先程の出来事に内心で震えている中、この場でただ1人の少女だけは全く異なる感情を彼に対して抱いていた。


 「(はぁ~……心太君カッコ良すぎだよぉ~♡)」


 それはこの面子で彼ともっとも接点のある一途であった。

 彼女は表情にこそ出していないのだが心の中では心太の活躍に酔いしれメロメロとなっていた。


 「(あんな危なそうな人達に一切臆することなく堂々と振る舞う姿すっごい痺れたなぁ♡ それに最後は場を収めてクールに立ち去る姿もイケメンすぎだよぉ~♡ もう好き好き~♡)」


 普段は心太の前ではお淑やかな振る舞いをする一途であるが、その胸中では常に彼に対してこのようにデレデレにとろけ切っていた。だが恋する乙女にも理性はやはり存在するのかこの本性を心太の前では一度も晒した事は無い。もしもこんな卑しい本性を知られて幻滅でもされたらショックだからだ。

 彼の男らしさに内心で悶えていると、同級生の1人が口を開きこんな発言をした。


 「やっぱりアイツとは関わらない方がいいんじゃねぇの? もしさっきみたいにキレられたら大怪我確定じゃん」


 男子の1人が何気なく呟いた言葉、発した本人は何も考えずに言ったのだろうが一途からすれば許し難い暴言だった。


 ………はぁ? どうして一途君があなたに怪我を負わせると思うの? 彼は理不尽に人に対して暴力を振るったりする人じゃないのに。


 表情にこそ出していないが一途の高揚した気分は一瞬で冷めて怒りに変換される。そして口に出すのは我慢して彼を悪く言っている男子に内心で毒を吐き続けた。


 そもそもさっき震えていただけのくせにどの面下げて彼を貶しているの? 心太君の前では絶対にそんなこと言えないくせに陰口は堂々と言うなんて男として小さすぎる。あなたみたいな人が私の心太君を馬鹿にする資格なんてない。腹が立つ腹が立つ腹が立つ……。


 一途の激情など露知らずその男子は更に続けて他のクラスメイト達にこんな提案する。


 「やっぱりこれからもアイツはハブった方がいいだろ。みんなだって危ない橋は渡りたくないだろ」


 率先して心太を除け者にしようと提案する男子の言葉に他の同級生の心情も傾き出す。

 いよいよ一途は我慢の限界が訪れる。助けてもらっておいて彼を傷付ける恩知らずの男子に物言いをしようとしたその時だった。


 「ねぇ何でそんなこと言うの?」


 一途が叫ぶよりも先に口を出したのは美衣奈だった。


 「私たち全員神侍君に助けてもらったんだよ? それなのに悪漢扱いなんて酷過ぎると思わないの?」


 一途を除いた他のクラスメイト達が心太を遠ざけるべきと考える中、彼女だけはその意見に堂々と反発してみせる。


 「私たちがすべきことは神侍君に助けてもらったお礼を言うこと。間違っても彼を非難することじゃないはずだよ」


 新クラスの中心人物の1人となっている美衣奈の説教は、他の同級生達にてきめんで全員がバツの悪そうな顔をする。

 それまで我慢していた一途も彼女に便乗して自分の意見を皆にぶつける。


 「私からも改めて言わせて欲しいの。教室でも言ったけどみんな神侍君を完全に誤解しているよ。彼は罪も無い人間を理不尽に傷つけない、それは私が保証する。そして……」


 そこまで言って一度言葉を区切る。そして彼女は鋭い視線でクラスメイト達を射抜きながらこう言い切る。


 「神侍君をまだ悪く言う様なら私が許さない。もし彼に文句が言いたいならまずはこの私に言って」


 おっとりとしていた一途からは想像も出来ない有無を言わせない迫力。それは先程に不良連中を圧倒していた心太の放つ圧力にも匹敵するほどのものだった。

 その気概に気圧された美衣奈以外の同級生は無言で頷いてこの問題はひとまず解決してくれた。


 どこか釈然としてないクラスメイト達を見ながら一途はこの場に居ない心太へと語り掛ける。


 私の大事な人を傷つける相手は絶対に許さない。大丈夫だよ心太君、あなたが私を救ってくれたように私だってあなたを救えるんだから。

 大好きな心太君はこれからも私が陰で守ってあげるから♡ 大好きだよ……心太君……♡




今回の一途の本性ですがまだこれでも抑え気味です。ここからドンドンと彼女の愛が強烈となっていきますので楽しみにしておいてください。そして今後出て来るヒロイン達も……。

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