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エピローグ



「おにいちゃああん!!」

「スノー!」


 白髪で赤目の少女がジオに抱きつく。

 以前とは違う髪色と瞳はロイドと同じで、どうやら魔物になってしまうと髪と目に特徴が出てしまうようだ。

 感動的な兄妹の再会を見ていると、私は走ってきたアミーに強い力で抱きしめられた。痛いくらいだが、それは彼女が本当に私のことを心配してくれた証だ。


「無事で、よかったわ」

「うん」


 言葉少なにアミーを抱きしめ返して、お互いの無事を確かめる。


「ありがとう、大好きなフレアミーナ」

「どういたしまして。大好きなステラ」


 色々と確認したいことはたくさんあったけれど、歩いてきたロイドとビリーさんにも感謝を伝えると、二人はただ嬉しそうに笑った。





 陛下は残していたメッセージを世界各国に発信すると、形骸化していたレオンクレア帝国の解体を宣言した。フレアの故郷ジュウトを参考に百年以上前から政治的な改革を行っていた。だから、帝国が解体されたところで私達の生活にはそこまで影響はないだろう。

 陛下に代わってこの国の代表として指名されていた男性は次々とこれからのことについて発表していて、これが念入りな計画だったことは言わずもがなだ。

 魔物氾濫のほうは、あと一週間ほどで安全宣言が出されるだろう。それから復興期間に入る。

 復興期間になったらロイドの家族のいるナジャ村を目指そうと話し合ったところだ。

 再会を喜び今後の計画も立て終わったため、今はジオと手を繋いで散歩しながら星空を見上げている。


「一段落して良かったね、ジオ」

「ああ」

「スノーも、沢山の弟妹も救えて良かった。スノーがね、ジオがしてくれたみたいに皆が死なないよう頑張ってくれていたんだよ」

「ーーなあステラ」

「どうしたの?」


 私を見ているジオは、ぎゅっと手を握りしめている。


「ステラは、自分を罪人だって思ってたから僕の言葉を受け入れられなかったんだよな」

「うん。私は自分が幸せになるのが怖かったの」

「でもなステラ。僕はアンタが罪人だとしてもそれで良かったんだ」

「え?」

「もし仮にアンタに罪があるなら、ステラが自分に罪があると信じるなら一緒に背負う。だから、僕の手を取ることに迷わないでほしい。そう伝えるつもりでいた」


 星あかりに照らされたジオは、とても優しい目をしていて。

 私は繋いだ手を両手で握った。

 私はなんて素敵な人に恋をしたのだろう。


「だからさ、ステラとなら幸せになれる僕を、ステラが幸せにしてくれ」


 私がした「どうしたらいいのか」という私の問いかけに、ジオは私の罪悪感を受け入れたうえで答えを用意してくれていたのだ。

 私が幸せになるのが怖くても、ジオの幸せのためなら私はきっと頑張れるから。

 こんなにも私のことを考えてくれていることが嬉しくなって涙があふれそうになる。


「うん!任せて!ジオ、大好き!」

「知ってる」


 私の言葉に嬉しそうに笑うジオは、いつもより3割増くらいで顔色がいい。





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