俺の嫁は黒騎士天使
アレックスとルイーダの日常てきなやつです!
ショートストーリーです。
これから剣術の練習をしにいくところで、俺は足早に長い廊下を歩いていた。
向こう側から歩いてくる騎士の姿が見えて、足を緩める。
その騎士は、黒く輝く甲冑に身を包み、片手で頭装備を抱え、俺の姿を見て軽く微笑んだ。
重い甲冑に身を包み、カシャカシャと音を立てながら近づいてくる小さな騎士は、俺の愛するアレクサンドラ、通称アレックスだ。
「おはよう!」
いつものように挨拶をしてくれたアレックスだったけど、今日は何だか調子が悪そうだ。
ずっと見ている俺にはわかる。
「顔色悪いけど、大丈夫?生理?」
そう言って俺はすぐに、アレックスに殴られた。
「デリカシーも鍛えろ!あと、生理じゃないからね」
分からない。女の子の気持ちなんて、男の俺には分からない。ましてやアレックスから聞いた生理については全く分からない。
――――――――――――――――――
騎士としての仕事が無い時、城内の一部屋で着替えていたアレックスを覗き見していたことがある。
気配に気付いたのか、アレックスは下着姿のまま扉を開けて、俺は部屋に引きずり入れられた。
「それでも騎士か!」
と、言いながら床に投げ飛ばされたけど、悪くない。
むしろ俺はアレックスに虐げられたいと、思っている。
ああだこうだ言いながら、着替えの続きをしようとしていたアレックスは、中途半端にシャツを着たまま、ストンっとベッドに座り込んだ。
顔色が悪く、よく見たらかなり具合いが悪そうだった。
「元気ないけど…どうした?」
俺はベッドに座るアレックスの隣に腰掛けてそう聞いた。
その時に俺は、生理の話を聞いた。
女の子は月に一度、下から血が流れると。
授業で聞いたことはあったけど、勉強する気が全くなかった俺は、今頃ようやく生理の仕組みを理解した。
アレックスは、生理が始まったら子供が作れる体になった証拠だと言っていた。
俺とアレックスの子供が出来たらどんな子かなって、ふと、考えたりもした。
でも俺はアレックスが居ればそれでいい。
アレックスだけが、俺のそばにいてくれればいい。アレックスだけを見ていたいし、アレックスにも見て欲しい。
そんなことを考えていたら、無性にアレックスに触れたくなった。
俺は、隣に座る愛しい彼女を抱きしめた。
ただぎゅっと、抱き締めたかっただけなんだけど、体調が優れないアレックスには俺は重たかったのか、座ったままよろめいて、その勢いで俺たちはベッドに倒れ込んだ。
「わ!ちょっとー!」
アレックスは俺の背中を軽く叩いて身じろいだ。
何でか分からないけれど、俺は自然とアレックスのシャツの下に手を入れて、腹筋のついたお腹を存分になぞった。
筋肉はあるけれど、女の子らしく柔らかい肌にちょっと興奮した。
「ひゃ!やめ!あはは!」
くすぐったいのか、目に涙を浮かべながらアレックスは足をバタつかせた。
そのまま俺は、上の方まで手を這わせ、脇の下あたりまで手を入れたところで、アレックスの強烈な頭突きをくらった。
「んい゛ッ!!!!」
俺は目の前が一瞬真っ暗になってそのまま床に転がり、しばらくの間、額を抑えて悶えていた。
「へんたい!」
そう言ってアレックスは、はぁ。と息を吐き、床の上で丸まる俺の肩に手を置いた。
「…大丈夫?」
好きだ。
そういうところが、可愛い。
強くてかっこよくて、それでいて可愛さもあって…。
小さな体で大きな瞳で、いつも少しだけ見上げるように俺を見てくれるアレックス。なんて愛おしいんだ…!
昔は短かった黒髪も、今は背中まで伸びて、甲冑を外した時に現れる、長い黒髪が凄く美しい。
艶やかな彼女の髪は甘い花の様な香りがして、いつだって触れていたいと思う。
俺たちは幼い頃に両親共々顔見知りで、みんな仲も良かったし、とくに俺とアレックスはいつも一緒にふざけたり遊んだりしてたっけ。
6歳の頃に俺はプレンオラスを離れて、7年ぶりに再びプレンオラスに帰ってきた。
俺はまだ13歳だったけど、あの頃からアレックスに夢中なんだ。
久しぶりに彼女に会った時、小さい頃の面影があって、俺はアレックスだってすぐに気づいた。
話しかけると、目をまん丸にして、俺の名前を言ってくれた。
彼女もすぐに気付いてくれて、それからはまた昔の様に時々遊んだ。
違ったのは、稽古や訓練という遊び(ではない)が増えたこと。
何をするにもアレックスの事ばかりを考えて、いつの間にか彼女に付きまとうようになっていた。
もちろん、アレックスにとって俺は友達で、迷惑をかけている自覚はある。
15歳の時、俺は初めてアレックスに気持ちを打ち明けた。
アレックスは、仕事に専念したいとか、親友でいたいから、って言って、困った顔をしていた。
俺も親友でいたいとは思うけど、それ以上の関係も望んでいたし、アレックスが好きで好きで仕方がなかった。
家に帰って、俺は泣きながら眠ったんだよな。
でもその後も、今までとなんら変わりない日常で、アレックスもいつも通り接してくれるし、気持ちを伝えたことで、一回りくらい距離が縮んだ気がするから、良かったかなって。
―――――――――――――――――――
「少し寝不足なだけだよ」
アレックスはそう言って歩き続けた。
心配だったから、そのままついて行こうと来た道を一緒に戻って歩いていると、再びカシャカシャと音を立て歩いてくる騎士の姿が見えた。
あれはアレックスのお兄さん、ジェディディアだ。
ジェドはいつも怖い顔をしていて、アレックスといる俺を毛嫌いしている。
アレックスのそばに居なくても冷たい目で見られるけど。
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去年、俺がアレックスと一緒にいるところに、たまたまジェドがやってきて、凄く怒られて…
アレックスも俺も、やましい事は一切していなかったんだけど、アレックスが下着姿だったせいか、それ以来、全然口を聞いてくれなくなって。
ジェドは恐らく俺がアレックスを襲っていると勘違いしたんだろうけど、俺がアレックスと一緒にいるだけで引き剥がそうとするから、下手なことは出来ないからな!マジ怖い。殺される。
あと本人の前でジェドって呼ぶのはやめた。
(怒られてすごく怖かった)
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俺の姿を見たジェドは、怖い顔でこちらに近づいてきて、アレックスの腕を掴んだ。
「何をされた?」
何もしてないのに、まるで俺がアレックスに何かしたかの様な言い様…!ひどい!
「寝不足気味なだけ…ルイは心配してくれただけだよ」
アレックスはいつも優しい。可愛い。すき!
二人は俺を置いて歩いていってしまった。
去り際にジェドに睨まれたけど、アレックスは小さな声で「またね」と言ってくれた。
アレックスは、俺にとっての天使だ。
黒い鎧に黒髪で、まっくろな天使。
こんなに愛しているのに、振り向いてはくれないけれど。
次はまた、ジェドが居ない隙に、彼女に会いに行こう…!
この二人、可愛すぎやしませんか?(親バカ)
語彙力というか、小説を書く能力は皆無に等しいのですが、私が書きたいこと?は伝わって欲しい…!
情景や内容は頭の中に鮮明に展開しておるのですが、それを表現するのが難しい。。。