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南方戦争16

前話からちょっと時間が巻き戻ります。だいたい今話は雷神が神具出した辺りだと思ってください。

 

 セプリプルブスの魔儀省、その地下にある半径15メートルにもなる巨大な魔方陣。それが今、集まった魔法師らの手によって強く発光していた。


「議長、何とか間に合わせました!!」


「うん。良くやったね。お疲れ様。ここからは僕でもできるから、君は休んでな?」


「はぃ、、、!!」


 目の下に大きな隈を作っていた魔儀省長は、議長の言葉に力を抜き、そのまま倒れて寝息をたてだした。


「さぁて。代償は僕の命で足りるかなっと」


 今、この儀式にて召喚しようとしている大悪魔ディアボロスは、かつてここら一帯の住民へと絶望を深く刻み付けたという云われのある存在である。

 その活動理由は文献によって様々であり、ある書籍ではスラムの子供にリンゴを捧げられた為とかかれ、ある古文書ではとある小国の王子が暴走し、国民全ての命と引き換えにしたと記されている。


 500年程前からその名を記されだしたその悪魔は、この大陸において対価を支払いさえすれば、多少の履き違えはあれど願いを叶える存在として名を轟かせていた。

 スラムの子供にお腹いっぱいにごはんを食べたいと願われれば国中の食料をその子供に集めたり、婚約者を寝取った大国の王子を殺してくれと願われれば周辺一帯の国家を片っ端から滅ぼしだしたりと。


 だが、それ程までに強力な悪魔ならばと議長は考えた。圧倒的な力を振り撒く雷神、彼女を押さえることができるのではないかと。


 とぅぅぅぅぅん─────────


 そんな議長の、国民の希望は、議長が祝詞を唱える最中に木っ端微塵に砕かれた。


「はい?」


 議長は思考を一瞬思考を停止した。そして考え出す。こんな変な音を発する攻撃をする奴は自分は1人しか知らないぞと。そいつには援軍を頼んでいたはずなんだけどなんで邪魔されてんのかな?と。


「え?あ、は?えーっと、ミロク、何してくれてるの?」


(われ)はお前が自滅に突っ走っているから止めに来た訳だが、、、止めなかった方が良かったのか?」


 議長の問いに、法衣を身に纏った4本腕の男は逆に問いを返す。

 その言葉を聞き、議長はしばし黙考した。


「あー。理解。いや、ほんとは半分もわかってないけどね?とりあえず事情は理解した。これ(召喚の儀)ヤバいんだよね。僕はお前を信じることにする。魔法師諸君、疲れてるところ本当に申し訳ないんだけど、ディアボロスについてもう一度しっかり調べ直して」


「「「は、はい!」」」


 突然現れ、何日もかけた儀式をぶち壊した男を恨めしく思いながらも、魔法師たちはひとまず議長に任された任務をこなしに向かった。


「さて、ミロク。君は僕らの希望の一つをぶち壊してくれたわけだ。もちろんその分まで頑張ってくれるんだよね?」


 知人としてミロクを信じた議長。だが儀式を完成目前で止められたことに関しては非常にぶち切れていた。


「吾には希望どころか破滅にしか思えなかったがな、、、それでも邪魔をしたのは事実。その分は働かせて貰おう」


 彼は立ち去り際に呟く。大丈夫だ。吾は雷神には負けたことがないからな、と。









「8回」


「それがどうかしたか?」


 激しい攻防の最中、デザイアが呟いた言葉に、キリシマが疑問を呈した。


「私が死んだおおよその回数です」


 突撃しては殺され、突撃しては殺されを繰り返し、デザイアはこの戦闘の間に平均して8度、キリシマによってリスポーンを繰り返していた。


 VTOでは、死亡しリスポーンし直すごとにデスペナルティが積み重なっていく。一度目から10度目までは一回ごとに全ステータスが一定時間(死亡回数一回につき一時間増加)1%ずつ低下する。また、獲得経験値量が5%ずつ減少する。

 今のデザイアでは万全の状態のステータスの92%のステータスということになる。


 さて、問題はここからだ。デスペナルティは11度目から急激に重くなる。一定時間全ステータスが10%ずつ低下するようになるのだ。死亡を繰り返す度、全ステータスが元の1%になるまで10%ずつ延々と減り続けることとなる。


「貴方は検証班なのでしょう?ならばデスペナルティについては良く知っているでしょうし、、、要するに、ラストスパートです」


 デザイアはインベントリからいくつかの機器を取り出し、自身と融合させる。取り込み、形を変え、いつしか先に融合していたスナイパーライフルを主体とした一つの銃を形成していた。


「折角妹に取ってきて貰ったのですし、使わなければ損でしょう?」


 デザイアはキリシマから離れた位置にいるデザイアを全て自身と同じ形状へと変化させる。

 そして、キリシマ付近ではこれまで通りに毒で牽制、行けそうであればそのまま止めを刺せるように、遠方ではキリシマを狙撃によって倒せるように、陣形を組み換えた。


「では行かせて貰いましょう『マーティンの致死毒』」


 再びデザイアがキリシマへと襲い掛かる。先程までよりも苛烈に、迅速に。

 キリシマがデザイアへと攻撃を仕掛ければ、対応できればそのデザイア自身が毒によって反撃し、難しいようであれば遠方のデザイアが銃によって幹ごと吹き飛ばす。

 また、今までの攻防によって減少した森林では、毒自体への耐性がかなり付いてきたとはいえ、毒の濃度を変え種類を変えと手堅く枯らしていくデザイアの攻撃を受け止め切れなくなってきていた。

 が、


「巨木、凪払い」


 突如現れた長さ数百メートルはあろうかという巨大な木によって、デザイアは一斉に蹴散らされる。


「嗚呼、本当に、実に厄介です」


 即座に受け身を取り、体勢を立て直していたデザイアは、ことばとは裏腹に満面の笑みを浮かべていた。





評価して貰えると非常に喜びます!!是非ブックマーク&星での評価を!!!


キリシマVSデザイア、決着をどうするかは決まってるんですけど、途中過程が本当に大変。


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