表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
93/164

南方戦争14

遅れまs

 

「しっかし、かったりぃなァこりャ」


 雷神は愚痴を溢した。攻撃を放ってもルージェ公国軍の砲兵にほぼ確実に撃ち落とされる。

 だからといって意識を向けなければならないレベルの攻撃を放とうとすれば、その隙に時計の少女、ターミアに追い付かれてしまい、下手すればそのまま時間停止をくらい成すがままになる。

 だったらターミアにも意識を向ければ、という話しになるが、そうすればいつの間にか接近していた傭兵によって致命傷に近いダメージを与えられることとなるのだ。


「おじさん!どうやって空に浮いてるの?」


「お に い さ ん、だ」


「で、どうやって浮いてるの?」


「、、、気力だよ。んで?嬢ちゃんはどうやって浮いてんだ?」


「へー!そんな東には便利なのがあるんだ」


「おい聞けや」


 ターミアを主体に、傭兵がフォローにはいる。攻撃は全て砲兵が撃ち落とす。初対面であるはずなのに、雷神の目からは彼らはかなりの連携に思えた。


 ただ、すげぇなぁとは思うものの、雷神からすればこの状況はつまらなくはない、がさして楽しいとも言えるようなものではなかった。

 だから、雷神はこの状況を一転させることにした。こいつらなら耐えられるだろうと。例え耐えられなかったとしても、他大陸のプレイヤーが開戦からではなく、途中参戦したということはまぁつまりそういうことなんだろうと。

 雷神は、呼ぶ。一部例外を除き、このゲーム最強と呼ばれるレベルの装備を。


「来い、雷太鼓、幬雷覇天(とうらいはてん)。雷太鼓、『起動』だ」


 ドォォォォン!!!!!!!!!


 天高く雷鳴が轟き、黒雲が空を覆う。


「魅せてやるよ。これがオレ、()()()()だ」


 雷神の背中きら生えるようにして現れた棒で繋がった六つの小太鼓、雷太鼓。

 装備するだけで自分の雷系統の攻撃の威力を5倍。それ以外の攻撃の威力を0.01倍にする。また、防御力、俊敏性、知力値、器用値、精神力の値一つを0にすることで、その10倍の値をHPに加算する。


 バチバチとした雷を纏い、黒い柄に幾多もの雷が走る模様が描かれた槍、幬雷覇天。

 装備者の攻撃力を1.5倍にし、雷系統の攻撃に15%の防御貫通を与える。常時纏う雷電により、装備者に秒間2%のダメージを与えるが、特殊条件を満たしている場合秒間2%のHP回復となる。


 アイテムボックスから取り出された2つの装備、そのどちらもが、神具。


「『攻雷』『強雷』『紫雷』。来たれ、『滅龗雷神(めつれいらいしん)』」


『滅龗雷神』

 自身のHPの99%を使用。召喚者の999%のHPを持ち、召喚時点での、自身の攻撃力と等しい値の攻撃力、属性を持った雷龍を呼び出すスキル。なお、スキル発動後から30分間は雷龍が召喚者の受ける全ダメージを肩代わりする。クールタイムは10日。


 これまた爆音と共に巨大な落雷が起き、黒雲から数えるのも馬鹿馬鹿しいほどの稲妻を伴う、紫色をした雷を纏う龍が姿を現した。


「あっ!最高の攻撃タイミング逃しちゃった!!」


「ってマジじゃねぇか!!」


 爆音やら雷龍やらで呆け、ターミアたちはしばし動きが止まっていた。


「くはッ。ま、攻撃されてもどうにかなったんだがなァ」


 ニヤリと不敵な笑みを浮かべる雷神の目には、これくらいどうにかできるだろ?という意思がありありと伺えた。

 必然的に、その目を見たものは顔をひきつらせる。



「『雷迅閃』」


 目にも止まらない。まさしくその言葉がふさわしい速度でターミアと傭兵の首が飛ぶ。

 どのくら速かったかと言えば、


 ドォォン!!!!


 雷神の移動で起こった衝撃波の音を、軽く置き去りにする程度には速かった。


「ちょっとさぁ、速いって!!!」


 何故か首が元に戻っていたターミアは、即座に雷神から距離を取ろうとしだす。


「あっ!!」


 そしてそれを狙ったかのように放たれた雷龍のブレスで、今度こそリスポーンした。


「おいおい、そんなあっけなくやられちまうと困るんだが?」


 雷神の目に、若干の失望が浮かぶ。仮にも先程まで自分をほぼ無力化していたと言ってもいいプレイヤーが、こんなにも簡単にリスポーンするとは思っていなかったのだ。


「はぁーーー。しゃあねぇ。萎えるが、説得なんて詰まんねぇオチで終わるよかこの国滅ぼして終戦させた方が幾分かマシか」


 ふうとため息を付き、天へと幬雷覇天を構える。


「『神命至令・雷霆神技』」


 音もなく槍先へと降り立つ雷。だが明らかに異常なまでのエネルギーが込められたモノ。



 それを、雷神はアーレスティバイレへと向けて、振り下ろした。






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ