キリシマさんが来た
感想(質問)来たー!!!!
嬉しい!!嬉しいです!!!他にも疑問に思う点や矛盾などあったらびしばし聞いてください!!!ありがたいです!!!
「ふぁぁあ」
「おい、休んでないで働けよ。明日またオルジアの連中が来るんだからさ」
「ああすまんすまん」
よいしょっと掛け声を出しつつ、俺は立ち上がった。
オルジアからの連日の攻勢を受け、俺たちは疲弊している、、、と思われて、実はそうでもない。少なくとも肉体的にはな?
理由はゲームでの時間の流れが、リアルでの時間の流れの3分の1だからだ。
これ、マジでデカイ。オルジアんとこのデザイアは、毎日午後8時から10時にしか攻めてこない。そうなるとこの流れの差のおかげで実質3日に1回しか攻めて来られない訳だ。、、、その分6時間に渡って地獄を味わうことになるがな?
さらにだ、デザイアにあわせて他の二人、あのロボも合わせると三人か。彼女たちも8時から10時の時間帯にしか攻めて来ない。
とすると2日分空くことになる。この時間に各々で魔法で傷を癒したり、防壁を固めたり、、、死んだ奴らを弔ったりするんだ。
「だーかーらー!ぼさっとしてんなって。ほら行くぞ」
「悪かったって」
俺たちに割り当てられたのは回復薬とかの素材運び。これでできる回復薬の数や性能に差がでるのだから大事な仕事だ。
「聖女様の変身すごかったよなー」
「だなぁ。なんでも、この世界の偉い神様を降ろしているらしいぞ?」
「へー!」
他愛もない会話や喧騒が広がる中、彼は唐突にやって来た。
ドンッ!!!
土埃を巻き上げながら降り立った彼は、人でありながら、人ではない様だった。緑の髪に、乾燥した肌。2メートルを越える、巨体。そして何よりの特徴は、至るところから生え、体に巻き付いている蔦。思えば、彼は俺がこのゲームで初めて見る植物系の種族だ。
「我らが国へようこそ。樹皇種様。本日はどのような御用件でしょうか?」
いつの間にかそこにいた聖女様が、彼に問いかける。気がつけば周りの奴らは皆足を止めて二人に注目していた。もちろん俺もだ。
「【水】のお方様の加護持ちか。羨ましい。食事と【水】のお方様が残した残滓の回収だ。という訳で、何人か貰うぞ?」
「了承いたしました──────
「了承いたしました」聖女様がそう言って頷いた後の言葉。俺にはそれが耳に入らなかった。聖女様が頷いた直後、辺り一帯の女子供。あわせて10人程。地中から現れた根に貫かれたからだ。
「う、うわぁぁぁぁぁ!!!!!!」
悲鳴が聞こえる。隣りで荷物を運んでたプレイヤーのかもしれないし、俺のかもしれない。だけど、これだけは言えた。住民の声ではない。
「ん?ああ。男手は必要だから食うな、か。、、、今吸収してる奴に男が居るな」
「この年齢であれば戦争にてできることはありませんので」
「そうか」
なんで聖女様は普通に受け答えをしているんだ?なんで周りでこれを見ている住民たちは恍惚とした表情を浮かべてるんだ?
吸収されているのか、徐々にしわしわになっていく少年。さっきこの植物人間に指差された男の子だ。なんで嬉しそうに死んでいくんだ。近くで男の子に「ロムロ、良かったね」って声を掛けている女性。あんた、その子の母親だろ?さっき手を繋いで歩いてたじゃないか。なんで、なんでそんなに嬉しそうなんだ!?
漠然とした恐怖が芽生えたからか、俺は荷物を地面に落とし、咄嗟に武器を取って植物人間に向けた。
『警告。この対象が行う捕食行為によって死亡した場合、キャラクターロストが発生いたします。攻撃を行わない限り、プレイヤーは対象に興味を向けられません。それでもよろしいですか?』
、、、、、、は?
その後もずらりと並ぶ警告文。最後には署名欄があった。
「よくも、よくも俺のエミリーをぉぉぉぉ!!!!!」
署名したのか?顔見知りのプレイヤーが涙を流しながら植物人間に立ち向かって行く。吸収された中に彼女でもいたんだろう。そして、、、当然の様に根で刺されて吸収されて行った。
「ん?こいつプレイヤーか。運営に消され、、、なんだ。署名したのか。なら大丈、、、」
パァァン!!!
一瞬焦り、そして署名に気づいたのか吸収したプレイヤーから興味を消し去った植物人間。彼は唐突に、根で自分の頬を叩いた。
「待て待て待て待て。落ち着け、俺。今無関係のプレイヤーをキャラクターロストに追い込んだんだぞ?しっかりしろ。これは大丈夫な事じゃないっ!!」
顔を抑え、うずくまる植物人間。先ほどのプレイヤーの最後と、この警告文に固まるプレイヤーたち。微笑を浮かべてたたずむ聖女。喰われることを、今か今かと待ちわびる住民。暫くの沈黙の後、植物人間が顔を上げた。
「ふぅぅぅ。加護持ち。俺は防壁の外で採集にあたっている。本日の夜、明日の朝、昼と5人ずつ食事によこせ。ただしプレイヤーと交遊関係にある者は選ぶな。わかったな?」
「仰せのままに」
聖女様が頭を下げるのを見届けもせず、植物人間は高く跳び、蔦を防壁に絡めて飛んで行った。
頭を下げた聖女様。残念そうな住民。唖然とするプレイヤー。当然、またも沈黙が支配する。
「プレイヤーの皆様。彼の様な存在について、少々ご説明させていただいてもよろしいでしょうか?」
顔を上げた聖女様の声に、俺たちはすぐさま頷いた。
質問にあった樹皇人について。
雑談スレの樹皇人くんの発言
「レベル上げたら倫理観が樹皇人に染まる」
前回の種族説明
「人間食べたら倫理観が樹皇人に染まる」
これについて。樹皇人くんが条件をあまり良く理解していないことに起源します。キリシマは検証班としてありとあらゆる検証を行っているので、だいたいの条件を理解しています。
対して、樹皇人くんは"検証班があんまり情報を出さないせいで原理があんまり分かってないけどヤバいってことだけは知ってる最強プレイヤー"に、「ゲーム友達をエサとしてしか認識できなくなるのは嫌だろ?」とおど、、、交渉され、"自分の種族の原理、特ににプレイヤーの性質変化条件とかどうでも良い樹皇人さん"の国にかんき、、、保護されるという経緯を辿って居るため、とりあえずレベルあげちゃダメ、人間食べちゃダメ、という認識に落ち着いています。
ただ、樹皇人のレベルを上げる程趣向が寄っていくため、樹皇人くんの認識はあながち間違いでもないです。
長々と失礼しました。他にも疑問に思う事とか聞いて頂ければバシバシ答えます。