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南方戦争10

( ;∀;)申し訳、、、


聖歌が終わりを告げた直後、アナスタシアの姿が変わり出す。

羽織っていた水色の装束は桃色のTシャツと白のスカートに。しっかりとした造りだった靴はサンダルに。着けていた白の手袋は消え、変わりに右中指に青い宝石のようなものがついた指輪が嵌まる。

168センチあった身長は若干縮み158センチに。水色の髪と瞳は何処までも深い碧色になり、長髪が短髪になる。

聖女の体を借り受け、【水】のテルミアが降臨する。ただ、その瞳には光がなく、この場に在るのは体だけであることを示していた。



地に降り立った【水】の神を目の前にして、最初に動けた者はシズクだった。たっぷりと10秒程テルミアを見つめていたあと、ふと我に返り、戦闘を行える様にスキルを使う。


「あ、あぁっと。け、『啓雷』!!!」


雷神がいくつかの強化魔法やスキルを使ったあとも、テルミアには変化がなかった。そして姿が変わってから1分程経ったのち、急に瞳に光が宿った。


「んーん?あーごめんごめん。ここ遠くってさぁ。ちょっと遅れちゃったかも?2回目だったし前回よりは早く来れたけどもね」


苦笑しながら現れたテルミアは、さっと周囲を見渡した。


「あーこれ、プレイヤーと戦わなきゃいけない感じで合ってる?」


「『絶


神技『流るるは水の如く』


急接近していた雷神がテルミアに触れる直前、周囲一帯の動きが止まった。


『な、なんだこれ!?』


『え?え?ちょ?どうなってんの?』


『強制時間停止!?』


「あーふむふむふむ。こうなってんのねー」


突然思考以外の全てが止まった者たちが焦る中、テルミアは悠々と眼前に表示されるホログラムを操作する。


「えっと、、、え?複雑過ぎない?え?困る、、、」


時が流れていれば、10分程経ったころだろうか。テルミアがホログラムを消した。


「ごめんねー。待たせて。今回は前回みたいに消し飛ばすわけには行かないじゃん?だから調整しなきゃいけなかったんだけど、手間取っちゃって」


てへへと笑うテルミアが指を鳴らすと、全ての時が動き出した。


 ───雷』!!!!!」


「『水神域』」


動き出した直後に放たれた轟々たる雷神の攻撃は、貯めもなにもない魔法で、完全に防ぎきられた。


「ほいっ。『ポータル生成及び復活地点の強制指定』」


無限に復活できる地点を生成し、一定時間そこからしか復活することができなくさせる。そんなふざけた魔法。


「私がここに顕現できる時間って結構短くってさ、人間でゆうとあと20分くらい?だからさ、頑張って残り時間で()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()から、協力してね?」


微笑みながらテルミアが雷神の頬に手のひらを添える。次の瞬間、雷神のHPは0になった。


「『流水鞭』」


音速を越える速度で流れる水。その太く長い流れによってできた幾多もの鞭が、至るところから現れた。


「さっきの時間じゃ五つ魔法を登録するだけで精一杯でさ。なるべくこれだけで終わってくれると嬉しいなぁ」


さぁ、ハエたたきの時間だー。

言い終わるや否や、六芒星、デザイア、雷神を水の鞭が蹂躙する。

六芒星の戦闘スタイルは完全防御特化型。だからこそそれ以上の火力でゴリゴリ削られれば普通に負ける。

デザイアの戦闘スタイルは致命傷にならない攻撃を外骨格に任せた回避型。一度二度避けられたとしても、全てを防ぎ切ることはできない。一瞬の油断で、触れた瞬間削り取られていった。

雷神の戦闘スタイルは速度と自動回復任せの回避型。自分とほぼ同等の速度かつ数多の鞭に狙われれは必然的に追い詰められていく。


「うん?えーっと、ネームは、、、デザイアちゃんだっけ?君凄いねぇ。種族特性なのかなぁ。デスペナが体別に掛かるの、ずるいと思う」


デザイアの種族、大衆蟻は、デスペナルティがその体ごとに掛かる。例えばデザイアAが死んだとしても、デザイアBにデスペナルティのデバフはかからない。これが6時間もの間デザイアが毎夜戦闘を継続できていたからくりである。


「ふむ。じゃあしょうがないね。『範囲指定。周辺100キロメートル。対象。ギルド、、、オルジア、、、だっけ?所属』『波紋』」


ゆったりと、等速の水の揺らぎが三人を襲う。この魔法最大の特徴は、波紋の揺らぎが出ている範囲内であれば中心に向かって弱くはなるがHPに継続ダメージが入ることにある。

簡単に言えば、範囲内にいれば何度でも殺せる。


「えーい。『波紋』『波紋』『波紋』ってこれ効果時間被るから連続使用してもあんまり意味ないんだ、、、使いづらっ!」


テルミアは自身の創った魔法に以外な弱点が見つかりしょんぼりとしているが、周りのプレイヤーはそれどころではなかった。

圧倒的な火力。圧倒的な魔法。莫大なMPが成せる技なのか、クールタイムも無くそれを連射する姿。

プレイヤーにできることは、恐れ戦き恐怖するか、見渡す限り広がる祈り滂沱する住民に混ざり、自身も畏敬の念を払って()の神を崇めるかしかなかった。






「上にいるえーっと、E_66304さん?変わった名前だね。君もオルジア所属でしょ?、、、ってあれ?宇宙に本人いるの?ゲーム通してじゃなくて、自力でこっちの世界まで来たんだ。凄いねー。

あっ!それは一旦おいといてだね、どうする?君も無力化しといた方いーい?」


『マイマスターより返答です。『すいません。ごめんなさい。申し訳ありませんでした。死にたくないです。勘弁してください。お願いです。許してください』とのことです』


「あ、う、うん。わかったよー。そのかわり、今日はもう手出ししないでよ?」


『マイマスターからの返答です。『勿論です。だから見逃してください。お願いします』とのことです』


「なら良し!」


等という会話もありつつ、10分が経った。


「私が顕現できるのもあとちょっと。、、、あくびしてたら終わりそうな時間だなぁ」


考えつつ、テルミアはさっと周辺を見渡す。テルミアの前方には蹂躙劇が。後方には止めどなく涙を流し自分を崇める人間の姿。

その姿を見てテルミアは考える。


(人間って、ほんの一部の強い子以外は食用にされるくらい弱い種族だし、、、もっとデスペナがあった方が良いよね?)


と。


「よーし。最後の魔法ー。『流るるは水の如く』」


効果によりテルミアが放った魔法の速度が一気に上昇する。鞭の流速も。波紋の広がりも。果てにはリスポーンまでの速度でさえも。


「いくよー」


蹂躙が加速する。その光景は、多くの人にとってこう捉えられただろう。『作業』と。









10分後、この場に残されたのは、死屍累々のオルジア軍と、茫然とするプレイヤー。あまりの神々しさ、尊さに気絶する住民のみだった。




魔法紹介

『水神域』

テルミアが放つ魔法の強化(威力、等の制限なくありとあらゆる面で"強化"する)。

テルミア自身の強化(以下同文)。

テルミア以外の放った攻撃の弱体化(威力、等の制限なくありとあらゆる面で"弱体化"する)。

またテルミアにとって都合のよい現象が起こり続ける(HPがなぜか回復したり、MPの使用力がなぜか0.01倍になったり、クールタイムがなくなったり)。


『ポータル生成及び復活地点の強制指定』

ポータルを勝手に造り、他者の復活地点を勝手に変更するはた迷惑な魔法。


『流水鞭』

相手を削り取りつつ叩き潰す魔法。直径1メートル、長さ1キロメートルの鞭が、約1万本降り注ぐ様相は絶望そのものだが、テルミア本人が1万本も個別に操れる程のスペックは持っていないため、他の魔法と比べれば比較的マシな部類と言える。


『波紋』

少々のMPと引き換えに、甚大な被害を引き起こす魔法。範囲攻撃、継続ダメージ等とただでさえ厄介なのに、対象指定が可能なことで場所を選ばず発動できるというとんでも性能をしている。


『流るるは水の如く』

「私、【水】のテルミアなの。で、色んなものって、水みたいに流れるじゃん?じゃあ、その流れを私が操作できないはずないじゃん?」

要するに効果はテルミアの気分次第。










先々代の勇者と先代の勇者は全力のテルミアと互角以上の戦いが可能。




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