南方戦争9
遅れましたァァァ。。・(つд`。)・。
訂正。【樹木】→【樹海】
六大巨頭。この世界において、多大なる権力と実力を持ち合わせた存在。この星の住人にとって、絶対たる信仰対象である存在。
陳腐な言い方だが、彼らが白といえば黒となり、彼らが黒と言えば白となる。例えば彼らにゲーム用の土地が欲しいから住んでいる星を差し出せ。そう言われれば民は喜びに泣きむせびながら星を献上し、六大巨頭に歯向かってまで民の安寧を求めた、今まで付き従ってきた王を反逆者と罵り、蔑む。ほぼ全ての者にそういった狂信的な対応を自発的にとらせる存在。
例えば【風】のエルフェス。
例えば【蟲】のファープル
例えば【水】の、【樹海】の、【緑】の、【美】の、、、
「明日には儀式が整うのですよね?」
「うん。魔儀省長が絶対に間に合わせるってさ。てことで、頼むね」
「了解いたしました」
セプリプルブス共和国のある議会室で、議長と聖女による話しあいが行われた。国家の為に、聖女を生け贄とする話しあいが、、、
「はぁ、彼がさっさと来てくれればアナスタシアが身を削る様な事態にはならなかったんだけどな~」
議長は、一人ごちる。
「やほー☆聖女ちゃん、そんな辛そうな、覚悟を決めた顔してどうしたのカナ?」
いつも監視塔へと向かう道中、リリリィに話しかけられたアナスタシアは驚きの表情を浮かべ、足を止めた。
「辛そう、とはどういうことでしょうか?」
「無自覚なのカナ?表情に出てたヨ?」
リリリィに言われ、アナスタシアは今一度自身の心情と向き合う。
「、、、国の為とはいえ、せっかく与えて戴いた【水】の加護を御返しせねばならない。その事が存外、心の負担となっていた様です」
言いつつ、アナスタシアはくらい笑みを浮かべた。アナスタシアはもう二度だけ神の加護を返上し、神の神業を使える。今回は二度あるうちの一度。まだ加護は残るというのに、国の為だというのにその一度を捨てきれない自分を恥じたのだ。
「あーうん。そ、そーなんダー。お、お気をつけて?」
リリリィは露骨に動揺し、視線を右往左往させた。リリリィは追憶イベントによってかなりの過去まで飛ばされたプレイヤーだ。それもゲーム歴の600年以上前に。当然600年前の大戦争の原因も結果も知っている。また、アナスタシアが崇拝する存在が何なのかも知っているため、その存在関連の話しは非常に避けたいものなのだ。
だって、侮辱したととられられればその時点でVTOにINできないところまで追い詰められるから。
「そ、それじゃーねー!」
結果、リリリィは言葉を濁して逃げるという選択肢を取った。
塔に登った後、アナスタシアは大きく息を吐いた。気持ちを切り替えるためだ。
時刻を見る。いつもデザイア等が現れる10分ほど前だ。ちょうど良い時間である。
「すぅーーーーーー」
大きく息を吸い、アナスタシアは歌い出す。水を湛える歌を。水を讃える歌を。
静かで、声量もそこまで無いはずの聖歌。だが彼女の歌声は、ゆっくりと、だが確実に首都中に響きだす。
始めに手を止めたのは防壁のプレイヤーと兵士たち。次第に街中の人々が。止まり、耳を傾け、聞き入る。
いつの間にか、街にはアナスタシアの聖歌を除く、全ての音が止まっていた。誰しもが彼女の歌を聴こうとしたから。
そして、あるプレイヤーは気づく。ふと周りを見渡せば、プレイヤー以外の住人が全員心酔し、とうとうと涙を流していることを。
近くで動き出したプレイヤーの気配で、他のプレイヤーも周りを見、同じく動揺する。誰しもがただ一点、無心で聖女を眺め、微動だにせず涙を流しているのだから。
次第に動揺は広がる。だが、焦るのはプレイヤーのみ。住人は皆目線を動かしもしない。ただ、ただ、聞き入る。
「何が、始まるんだ、、、?」
ボソリと呟かれた一言が、この場に居る全プレイヤーの心境を表しているだろう。
誰しもが無心で涙する。この状況が怖くないものはあまり多くはないだろう。
そんなプレイヤーを他所に、全ての住人たちはその時を待つ。
過去一度起きた奇跡。聖女アナスタシアの体を借り、この星に降臨した【水】。その時の歌が再び歌われる。それだけで彼らは感涙を流す。
その時産まれて居なかった者も、物心ついて居なかった者も、聖歌の歌詞と
周囲の者たちから察する。降臨なさるのだと。男も、女も、大人も、子供も、老人も、降臨を待ち、涙を流す。
今まで寝たきりで、認知症だった老人も、まだ産まれたばかりの、生後間もない赤子も関係ない。皆、ただただ涙を流した。
デザイアらが現れた。異変に気づく。だが動けない。壮大な雰囲気に。六芒星はあっけにとられ、シズクはオロオロとしながら泣き出し、デザイアですら冷や汗を流す。この歌によって何が成されるのかに思いを馳せながら。
終盤。うたのテンポが変わる。今までが凪いだ水面だとすれば、今からは小雨に打たれた水面が、波紋を広げる様な曲調といえるだろう。
必然的に住人は跪き、その様子を見たプレイヤーたちも一応見よう見まねで跪く。
しばらくまたの静寂が続いた後、それは起こった。
【水】の、降臨が───────
【風】のエルフェス
「この星ゲームの舞台に使っていい?」と言い出した神。この星の支配者であった四方家の猛烈な懇願とゲームの舞台ということのデメリットの説明により罪悪感を覚え撤退。
【蟲】のファープル
「ゲーム?なにそれ面白そう。私も混ぜてよ」と言い出した神。諸悪の根源的な存在。有って無いようなものであるVTOのストーリーの裏ボス。
六大巨頭最弱であり、プレイヤーがもう少し頑張れば倒せないこともなくもないが、討伐に参加した瞬間この星の全住民と敵対状態になるとかいうクソ仕様を強要してくる。
具体的にいうと、参加を宣言した瞬間そのプレイヤーが今まで仲良かった住民に、プレイヤーへの罵詈雑言を吐きつつ「お前のせいだ」等と言いながら自ら腹を引き裂いて自殺する様に言い付けている。
【緑】のスワン
全く関係ない神。見てるだけ。このゲームの存在自体最近知った。
【水】のテルミア
作者に名前を忘れられた神。可哀想。設定帳探すので明日の更新遅れますすいません。