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雷神到来

 

「はわ、はわわわわわわわ、、、」


 雷神(シズク)はとても焦っていた。ここ暫くログイン出来ていなかったVTO。戦争に参加する意を決してログインしたは良いものの、やっぱり攻撃なんてことをする勇気が自分にはないのだ。


「ろ、六ちゃん、どどどどどどうしよう!?」


「まーまー。とりあえず落ち着いてって。深呼吸深呼吸」


 ポロポロと涙まで溢しだすシズクに、六芒星は相変わらずだなーと苦笑いを浮かべた。




 10分後ーーー


「すぅーーーーーーはぁーーーーーーー。すぅーーーーーーはぁーーーーーーー」


「どう?落ち着いた?」


「う、うん。も、もうダイジョブ」


「攻撃できそー?」


「・・・」


「しょうがないなぁ。心の準備できるまで深呼吸だよ!!」


「ひゃひ!!」




 30分後ーーー


「すぅーーーーーーはぁーーーーーーー。すぅーーーーーーはぁーーーーーーー。すぅーーーーーーはぁーーーーーーー」


「どーおー?いい加減落ち着いた?」


「も、もう少し、、、」


「、、、じれったいですね」


 30分間深呼吸しかしていなかったシズク。延々と攻撃を撃たないその姿に、今まで黙っていたデザイアが動いた。


「良いですか?シズク。()()


「ひゃひぃぃ!!!!」


 ドドォォォォン!!!!!!!!!!

 シズクの悲鳴と共にアーレスティバイレ(首都)へと数多の雷が落ちた。


 スキル『万雷』

 自身のHPを最大10%まで消費することで発動。範囲内にランダムに一万回雷を落とし、落ちた雷の半径10m以内の存在に消費したHPと同等の防御貫通ダメージを与える。(ジョブ)スキルにも同様のスキルがあるが、そちらは消費するのはMPで威力は攻撃力依存。また指定できる範囲が狭まる。


「実に壮観ですね。出来るならば悲鳴を上げて焼け死ぬ姿を間近で見たかったものです」


「火力的に焼けるまもなく灰になると思うよー( *´艸)」


「あ、あのね?」


「ん?どかした?」


 シズクに呼びかけられ、二人はシズクの方を向く。


「えっと、や、っぱり辛いから、、、、、、使っていい、かなって、、、」


「まあ良いのではないでしょうか?一度だけとはいえ攻撃できるようになったのですし」


「そ、そっか。じゃ、じゃあ、、、使うよ?け、『啓雷』」


 目を瞑り、シズクはスキル名を唱えた。


 ドォォン!!!


 2対の細い雷がシズクの頭の2本の角へと落ちる。

 落雷を受け続ける雷神が再び眼を開けた時、その瞳の色は金から赤へと変わっていた。


「んぁ?よぉ六芒星にデザイア。クハッ久しぶりだなァ?元気にしてたかー?」


「はーい。元気元気(((o(*゜∀゜*)o)))」


 ニヒルな笑みを浮かべる雷神に、六芒星は適当に返事を返した。


「おいおい。連れねぇなァ。久しぶりの再会だってのに。オルァ寂しかったぜェ?二人にあえなくってよぉ。ま、シズクの記憶もあるからどう過ごしてたのかは知ってんだけどよ」


 ガハガハと笑いながらデザイアと六芒星の背を叩く。2対の雷を受け続ける彼女は、先ほどまでのひ弱な少女とはまるで別人だった。



 スキル『啓雷』

 自身に落雷を落とし、電気信号により無理矢理身体能力、動体視力、思考速度、神経伝達速度を上昇させるスキル。強引な強化であるため、毎秒2%HPが減少する。

 このスキルの本質は()()()()による強化という点にある。同系統のスキル、例えば壊雷等はスキル自体の効果によって強化されるが、啓雷は発生させた雷により電気信号を送り強化する。その為、思考速度や神経伝達速度等の上昇を可能にしている。

 シズクはここに目を着けた。電気信号による自身の()への干渉。それによりシズクは啓雷のスキル中に限り、別の人格を作り上げることに成功した。そう、己よりも攻撃的で好戦的な人格を。



 雷神がギルドメンバーと談笑をしている際、セプリプルブス側では壮大にコールが行われていた。


『いくゾー☆せーのっ』


「「「「『神格昇化ァァァ!!!!!!!』」」」」


 強化上限値1000倍の圧倒的なバフが掛けられる。


「うわぁ時間掛かっちゃったゾぉ。やばたにえん。びびるのは無理ないんだケド、信仰はしてて欲しいんだよネー」


 じゃないと勝ち目ないから。そんな思いがリリリィの呟きからは漏れていた。

 例え雷神の前では大差無かろうと、ステータス最大1000倍というバフは絶大なものなのだから。




「おいおい。雷神出てくんのかよ。マジか。ついてねぇなぁ俺」


 傭兵はため息をはく。圧倒的強者との戦いを覚悟して。





「使います。場合によっては、ですが」


 聖女アナスタシアの顔は緊張で彩られていた。


「いいんだよ?別に使わなくても。あなたの能力があれば霊園なんてなくても十分立て直せるよ?」


 アイス31号がいくら声をかけてもアナスタシアの決意は変わらない。全ては国を守る為に。




「防壁の抜け穴は多数発見。増援は未だ来たらず。踏んだり蹴ったりだなー。はぁ」


 男は手に持った資料を放り投げ、足を机の上で組んだ。


「議長。その、増援というのは?」


「ん?ああ、個人的な伝手でね。ちょっと知り合いに呼び掛けたのさ。それより、儀式の方はどうなの?」


 議長と呼ばれた男は足を机に乗せた、だらけた姿勢で応答した。


「はっ着々と進んでおります」


「そかそか。じゃあさ、間に合う?今」


「、、、もう暫く時間を戴きたく、、、!」


「それじゃあ駄目なんだよなぁ」


 議員の言葉に議長はますます姿勢を崩し、椅子をずり落ちていく。


「切り札が回数制限のある聖女と、来る気配すらない増援。それに全然準備の整わない儀式って、、、僕、議長じゃなければこの国逃亡してたよ?ホント、、、」


 はぁ、と議長はまたもため息をつく。


「儀式、明後日までに終わらせて。最低でも今日明日は僕と聖女で食い繋ぐから。わかった?」


「「「「はっ!!!!」」」」


「あーら威勢だけはいいこと。まいいや。それじゃ解散ー」









「うーっし。そろそろ殺るかァ!!!」


 静まる戦場に、雷神の笑い声のみが響き渡る。



雷神攻略法。

速いといっても光程ではありません。所詮は速度ランキングプレイヤー3位です。何とかして追い付きましょう。出来ないならば広範囲をカバーできる攻撃を用意しましょう。

防御力はほぼ無いも同然です。HPは多いですが、何とかなる量です。防御力を上昇させるスキルはないので、六芒星の防御を抜ける火力があればワンパン狙えます。

HP上昇、秒間HP回復量上昇には気を付けましょう。ワンパンできなかった場合、高火力かつ高速で反撃が来ます。

できれば啓雷解除による勝利を狙うのは辞めましょう。窮鼠は猫を噛みます。


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