南方戦争5
祝!100ポイント越え!!!、、、な回なのに短めですいませんm(_ _)m
南方戦争初日─────────
「あのー。ちょっといい?」
・・・。
「あのー。キミだよキミ!そこの灰色の髪の女の子!」
おーい。灰髪の少女。呼ばれてるぞー。
「だーかーらー!キミ!私関係ないですって表情してるキミ!」
「あ"?」
ぽんと肩を叩かれた。んだよワタシかよ。
「で、何?」
「えっとさぁ。この都市の中央区ってどこか、案内してくれないかなーって。ボク、こんなにおっきな街初めてでさ。迷っちゃったんだ、、、」
ぶっきらぼうに返したワタシに、苦笑しながら要件を伝える男装少女。
「ヤダ。めんどくせぇ。他の奴に頼めよ。ほら、周りにいくらでも居るだろ」
「む、無理だよ!だってみんなボクを睨んでるんだもん!」
手を突き出して横に振る男装少女。周りを見りゃ老若男女ワタシ以外全員がこいつを警戒した目で見ている。
つかよ。警戒されて当たり前だってんだ。お前自分の格好と場所を考えろよ。
商人見習いの男子、、、の格好をした少女。そいつがスラムの中央でこの街のどの検問からでもまっすぐ行けば着く中央区への道を聞いてくる。怪しむなっつう方が難しい。
「わぁった。送り届けてやるよ。で?お前どこの商会の連れだ?」
「どこの商会、、、?ボクは行商人だよ!」
「んじゃその行商人の名前を言えよ。そいつの連れなんだろ?連れてってやる」
「ボクは一人だけど、、、?」
こてんと首をかしげる男装少女。いっそう強まる周りの奴らの視線。
マジかよこいつ。バカか?男装する商人見習いは居ないこともない。女より男のが襲われにくいのは事実だ。だが、寄り親の居ない子供の行商人なんざ見たことも聞いたこともねぇ。そんなもん居たら良くて奴隷行きだ。それを自ら名乗るとか怪しんで下さいと言ってるようなも、、、あ"?
「なぁ、お前。目的はなんだ?」
ワタシの問いに、こいつはにっこりと笑みを浮かべて答えた。
「戦争始まったせいで宿屋さんが空いてなくて困ってたんだ。良かったら泊めて欲しいな」
おいおいさっきまでの中央区へ行きたいはどうした。少しは取り繕えよ。
「小国家群にはねー。この街よりも小さな国もあるんだよ?」
「「「「へー!」」」」
ガキどもが目を輝かせながら男装少女の話に聞き入っている。おいお前ら。さっきまでの警戒心はどうした。もっと聞かせて!じゃねぇんだよ。まったく。
あのあと、ワタシは男装少女を自分らの住みかへと連れてった。食料と金渡されりゃ黙って従うしかないからな。
そしたらとたんにガキどもが気を許しだした。こいつらの中でこの男装少女が得体の知れないナニカから金と食料をくれるいい人に変わったんだろうよ。
せっかくいい人が金と食料を背負ってやってきたんだ。なんで戦争始まってから宿探してるのかとかはどうでも良かったんだろうな。
「で?ガキはここに何しに来たんだ?」
ガキどもをどかして男装少女に問い詰める。
「だーかーらー!ちゃんと名前で呼んでよ。それにアネッサも子供じゃん!」
「うるせぇ」
「はぁ。ボクが何しに来たかだっけ。さっきも言ったけどこれを運ぶ依頼を受けたの」
ワタシが持たれかかっている石像を重かったんだよとでも言いたげにぺしぺしと叩く男装少女。
「いいのか?食料。配っちまって。売る予定だったんだろ?」
こいつも元は戦争のために食料を売り付ける商人、、、という体で来ていたはず。売れなかったのは相当な損失のはずだ。
まあ、ワタシらに配らずに泊まろうとしてたら、今頃死んでただろうが。
「ん?あー。大丈夫だよ。損は損だけど、これ運んだ時点で損失以上の見返りがあるし、それに泊めて貰っておいて何も出さないなんてボクには出来ないよ」
「あっそ」
ワタシは一瞥だけしてその場を去った。背後からはまたガキどもに群がられる男装少女の声が聞こえる。
「姐御。あいつどうです?」
「あー辞めとけ辞めとけ。関わってもろくなことになりゃしねぇ。それにあいつの食料の保存場所はアイテムボックスだ。あいつにしか取り出せねぇんだから殺るなら搾り取ってからだ」
「へい。了解しやした」
「それに、、、」
あいつのことはなんか嫌いになれねぇんだよな。
「姐御?なんか言いやしたか?」
「なんでもねぇよ。ボブ。それより配分に戻れ」
「へい!」
ったく。お偉いさんの墓を巡った戦争に、紛れ込んだ得体の知れない男装少女。最近は変なことばっか起きるもんだ。
あーやだやだ。こんな物騒な世の中も。あいつが来て少し楽しく思っちまってるワタシも。
でもま。どうせしばらく一緒に居るんだしな。仲良くしような?男装少女。
、、、やべっこっぱずかしいな。やっぱ名前なんざ呼ぶもんじゃねぇや。
痩せたスラムの人間にたっぷりと食料与えて何するつもりなんですかね?やっぱり肉付きとか気になるんでしょうか?