楽しい武器集め
今回はグロいのが苦手な方にはあまりオススメできない回です。
「ーーーーーーーひゃひゃひゃひゃひゃびゃぴゃぴゃぴゃびゃばばばvccyccrhhgfgbxf8fskhgf7cfejin」
女の子は大きな笑い声で目を覚ましました。耳をすましてみると、あちらこちらから同じような笑い声が聞こえてきます。
「ママ、、、パパ、、、」
女の子は不安になり、お父さんとお母さんの寝室へと歩いて行きます。
いつもは女の子はお父さんとお母さんにこの時間にはぷろれす?というものをしているから入っちゃダメと言われていますが、今の女の子にそんなことを気にする余裕はありません。
とにかく変な笑い声が響く中で一人でいるのは心ぼそかったのです。
「パパ、、、?ママ、、、?」
廊下を歩く途中で女の子はあることに気がつきました。家がいつもにましてやけに静かなのです。
おかしい。ますます不安になった女の子の足取りはどんどん重くなって行きます。
しんと静まり返った家のなか。女の子は勇気を出してお父さんとお母さんの部屋の扉をひらけました。
居ない。居ないのです。お父さんも、お母さんも。
「っ!」
女の子はだっと駆け出しました。妹の部屋に向かうためです。
、、、居ません。バタンと開けた妹の部屋。居なくなった兄の代わりに妹が独占している部屋の中は、装飾はそのままですが部屋の中の住人は影も形もありません。
どうしましょう。女の子は恐怖のあまりうずくまってしまいました。頭を抱え、震えています。心なしか目も潤んでいます。
「ママぁ、、、パパぁ、、、」
「ーーーーー」
ふと、女の子を呼ぶ声が聞こえて来ました。この声はアレン君です。
「ア、レン君、、、?」
「ーーーーー」
またも、女の子を呼ぶ声が聞こえます。笑い声に紛れてかすかに聞こえてくる女の子を呼ぶ声はどうやら家の外から聞こえて来ているようです。
「、、、っ!」
女の子は意を決して立ち上がるとそのまま服の袖で涙を拭います。立派なれでぃとして好きな男の子にうかつに涙を見せる訳にはいきません。女の涙は、ここぞというときに使うものだからです。
「ーーーーー」
大丈夫。アレン君がいる。怖くない。そう自分に言い聞かせた女の子は、妹の部屋を出て玄関へと向かいます。
「ーーーーー」
ゆっくりと進んで玄関までたどり着きました。女の子はまたもかすかな逡巡をしたあと、勢いよく扉を開けました。
「この少女で、、、はい。あってます。良いですね。純愛です。私、映画等も多少嗜む質でして。あら、もう我慢の限界ですか。いいですよ、どうぞ」
頭のないお父さんの、四つん這いになった背中に座る蟲をごちゃ混ぜにした異形。その楽しそうな声に従って、焦点の合っていない目を血走らせた少年がばっと、少女に飛びかかり、、、押し倒しました。
ぼんやりとした意識の中で少女が目を覚まします。ビリビリに破かれた服に、何故かやけに痛む下半身。女の子には、いつの間に自分が寝てしまったのかもわかりません。女の子は思い出そうとして、、、
「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!」
発狂しました。
自分にのし掛かる、獣のようになってしまった好きだった男の子。そして女の子と男の子の姿を無表情で眺める蟲のような異形のナニカ、、、、
「あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"!!!」
ぐっちゃぐっちゃというものを食べる音が女の子の耳に鳴り響きます。アレン君に襲われている間、ずっと異形のナニカの口から発せられていた音。異形のナニカが、ついさっきまで遊んでいた女の子の友達の頭部を持ち、その頬を引きちぎって食べる音がです。
少しでも思いだしてしまえば、あとは芋づる式にどんどんと思い出されていきます。生気のない友達の、てんでバラバラの方向を向いた濁った瞳。ポタポタと首から垂れ落ちる、真っ赤な液体。
飛んでいた記憶の全てが女の子へと襲い掛かります。
女の子を好きな男の子に襲わせ、そのまま発狂するまで眺め続けていた異形の少女、デザイア。椅子に腰掛けてポップコーンのように軽快にむしゃむしゃと人の肉を食べる姿は、プレイヤーが見ればまるで映画鑑賞をしている様に思えるでしょう。
たっぷりと10分間。女の子の苦しむ姿を見たデザイアは、
「もういいですね。飽きました」
ざくっと女の子首筋に自分の尾を刺して、女の子を殺してしまいました。
さっきまでじたばたと暴れていた女の子の体は、首の骨が折れて命の灯火が消えたあとも暫くびくびくと震えていました。
「なかなかに面白いラブコメでした。他の私は、、、あら、あちらもずいぶんと面白いものを見れた様ですね。他の場所は、、、ふふふっ私が楽しそうで何よりです。わざわざ戦争へ志願してまで首を突っ込んだ甲斐がありましたね」
さて、そろそろ本命の時間です。
楽しそうに呟いて立ち上がったデザイアは、近くに落ちている武器を拾い集めると、他の自分と共にセプリプルブスの首都でありヒュジャル砂漠に面したオルジアに最も近い都市、フォルフォロスへと向かって歩き出しました。
この時点で戦争開始から10日程経っており、首都(花畑がある都市)に防衛陣を敷いたセプリプルブス側はとてもやきもきしています。
デザイアは1500体の他の自分と行動する事に記憶の共有をしています。1500体を一つの意志が動かしているわけではなく、あくまでも同じ思考回路を持つ1500体のデザイアが度々記憶を共有する事で個を保っています。この記憶の共有を怠るとバグが発生したりします。
この村が襲われている時、同時にセプリプルブス国内の他の村も襲われていました。他の自分が楽しんでいるというのは、まあそういうことです。




