プレイヤーイベント戦@中央2
乙姫へとたどり着いたURUFUを、乙姫が迎え討つ。
「狼、ですか」
「おう、そうだな。どうかしたか?『牙・強襲』!!!!」
「『流水』いえ。よく私に勝てると思えたなと思いまして」
雑談を交えながらも、二人の応酬は続く。かたやURUFUは牙や爪といった己の肉体で。かたや乙姫は魔法のそうさで。
「レベルはお前さんに比べりゃ確かに低い。だが、なめてもらっちゃ困るなぁ?『神速』!!!」
URUFUが残像が残る速度で突進する。乙姫とぶつかるまえにもスキルで強化していたURUFUの速度は、10万にも迫ろうかというものになっていた。
「残念ですね。『種族増加』『嵐の夜に』」
直後、二人は衝突し、双方無傷で弾き飛ばされた。
〔、、、あれ、チートじゃね?特定種族とはいえ、強制的に戦闘不可状態に持ち込めるとか〕
〔その分使用可能回数は少なそうだけどねー。良くて1日1回とかじゃない?ハーメルンじゃあるまいし。それに、チートって言うなら雪の上でのリリィでしょ〕
〔それもそうだな〕
「はぁ!?攻撃禁止!?」
「さて、これでビュンビュンうるさいわんころは居ないも同然ですね。『氷杭』『充填』『充填』『充填』『充填』『充填』『充填』『充填』『充填』『充填』『充填』『充填』」
乙姫はURUFUを無視し、支援に駆け出していたプレイヤーへの攻撃を始める。
「『赤いろうそく』。トライデント、『起動』。さて、第2ラウンドと行きましょうか。『津 波』」
「来るぞぉ!!今回のは先ほどの威力はない!次に備えろ!!!」
荒れる津波が、再びプレイヤーを襲う。
「『アースウォール』」
だが、一度食らった攻撃。ほとんどのプレイヤーがうまく対処し、土の壁を波が越えることはなかった。
「反撃だぁぁぁ!!!」
「「「「「おおおおおーーー!!!!」」」」」
「『幻海』。『メイルシュトロム』」
一人のプレイヤーの呼び掛けに、他のプレイヤーが答える中、乙姫は静かに唱えた。
「『眷族召喚』。さて、蹂躙です」
突如辺り一帯を巻き込んで現れた渦潮に、大量の魚が投下された。
〔あのでっけー波、呑まれたら一溜りもねぇだろうなぁ〕
〔だねー。私は生き残れるけど!余裕だけど!〕
〔ハイハイ。で、大規模魔法だってのは分かるが、ありゃなんだ?〕
〔あっれれ~?リリィ、千年生きてて知らないの?プークスクスクス〕
〔あ"!?〕
〔わーるかったって。幻海はそのまんま水のある環境を浅瀬の海に見立てる魔法。これ、効果時間長ければナーフ無しで乙姫ちんが陸に上がってこれた危険な魔法なんだよねー。実際には20分程度しか持たないから大丈夫だけど〕
〔十分なげーだろ。それ。つことはあの渦がメイルシュトロムか。なるほど?眷族出して渦ん中で一方的にパクパクしようっつーことか〕
〔残酷だよね~〕
「ギャー!!!」
「腕!腕食われたんだが!?」
「ちょっと!この魚服だけ食べてくんだけど!?」
「お前ら!落ち着けぇ!!!!」
周辺がてんやわんやとなったことで、そのことにプレイヤーが気づいたのは相当後だった。
「っつ!?乙姫!乙姫がいなくなっている!!!」
「ファ!?」
渦の中とはいえ、水中である。人魚の乙姫が、陸のプレイヤーよりも自由に動けない道理はなかった。
「あっ抜かれた」
先ほどからアースウォールで街への道をせき止めていたアノノの言である。
ベヒーモスであるアノノには、自身の作った土の壁が貫かれたことは、手に取るように分かった。
「ちょっ!!ヤバいって!」
「わップ、、、ぷはっ!くそ!渦で動けねぇ!!こんなんなら海で泳ぐ練習しときゃ良かった!」
「水泳スキルなんて持ってないってのに!」
渦に足を取られ動けないプレイヤーたちをよそに、乙姫はファストへと歩を進めた。
〔こっからファストまで一直線か。アースウォール抜けられたのが痛かったな〕
〔まーそううまくいく訳でもないし、大丈夫大丈夫〕
パァンッッ!!!!
唐突に発砲音が聞こえ、乙姫の頭が揺れた。
「ふふーん。私を忘れてもらっちゃ困るよ!」
「槍ーカ、それ俺のセリ
「さっきはよくもやってくれたのです!接近戦なら私に負ける余地はないのです!」
「あーはいはい。俺はしゃべんなとね」
槍ーカ、ゴクドーこと神羅、十六夜、そして
「あまり目を離せないからね。今回は回復薬が少ししかないんだ。転移はできて20回。頼んだよ?」
「「「「了解(OK)(分かった)(なのです)!!」」」」
「揃えたほうがいいと思うな?」
空間魔法のみで伯爵まで上り詰めた領主、グレーベンの4人が揃った。
〔槍ーカ要るか?〕
〔飾りだよ。飾り。ほら、3人より4人のほうが映えるよね?〕
〔、、、わからねぇ〕
〔パフェのトッピングに板チョコとイチゴとバニラアイスだけよりも、そこにこっそりとさくらんぼが入ってたほうが映えるでしょ〕
〔余計わからんくなったんだが〕
〔ありゃりゃ〕
「時間は、、、残り25分ですか。余裕ですね。良いでしょう。遊ぶとしましょうか」
乙姫は、トライデントを掲げた。
次で決着します。