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再来の魔女1

短いです。遅れてもいます。すいません。

 

 第二陣加入から早7日たったその日。

 午後1時45分に、西覇ソラスティーの国境付近のプレイヤーへと、掲示板を通して無事推定西の魔女とされるプレイヤーが過去へと飛ばされたことが通達された。


 その数秒後。ピシリと音を立てて、魔女を封印していた石碑が粉々に砕け散った。


 ゾクッッッッッ!!!!!!!


 石碑の跡から現れた少女。彼女が姿を現したときから、周辺へと凄まじい程の圧が吹き荒れる。


「っはぁ!?トッププレイヤーってこんなんなの!?」


「これが!伝説っ!!」


「これ、ノストールのアーニスよりヤバいんじゃね!?」


「お前アーニスに会ったことあんのかよ!」


「ない!」


 プレイヤーたちはその圧に圧倒され、警戒していなかったプレイヤーの中では気絶している者まで出ていた。

 一方、兵士や騎士たちは、事前に多少の情報を聞かされていたこともあってか、気絶や失禁をする者はいなかった。

 最も、誰一人として冷や汗をかかずにいられた者は居なかったようだが。


 そんな中、魔女の圧を受けつつも、平然と会話をするプレイヤーが二人いた。


「団長。今の魂霊、どれくらい持ってると思います?」


「火36、水1、風8、土3、その他18といったところか。

 ああ、それと。俺はもう、団長じゃない」


 双方がともに全盛期の魔女との交戦経験を持つ、元西覇ソラスティー第一騎士団騎士団長であった。

 方や第9代第一騎士団騎士団長、ナイル。【水】の加護持ちにして、最初期、つまりは全盛期であった魔女の進攻を幾度となく防いできた実力者である。

 方や第10代第一騎士団騎士団長、アイン。ソラスティー王家直伝の風属性の魔術師。ナイルの存命時は副団長として補佐し、ナイルの没後は魔女が多少弱まっていたことも相まってか、100年近い年月の間魔女と競り合ってきた実力者である。


「いやー。おれの中じゃいつまで経っても団長が団長なんで。あ、持ち数については同意見ですね」


「、、、はぁ、お前は。現団長のアーツ殿の前で俺を団長と呼ばないなら許可してやる」


「アイアイサー」


 全盛期の魔女を知っている二人からすれば、今の魔女は警戒するに値しない存在であった。ただ一点を除いて。







 ──────────────────


 不甲斐ない。なんで私はこんなにも惨めなんだろう。

 伝わってくる同族(魔女)の思い。辛い。苦しい。憎い。悲しい。

 そんな感情に同調して、突き動かされて。

 元凶(西覇ソラスティー)を正そうと、200年間一生懸命あがいて、抗って。

 それで結果は封印で。


 目覚めたらもう200年が経っていて、同族の数も感情も薄らいでいて。

 それは、私がやりきれなかったせいで。

 私の責任で。


 憎い。同族を差別したこの国が。腹立たしい。同族を殺すことを是としたこの国が。

 そして、そして、それよりも。憎い。同族を救い切れなかった私が。腹立たしい。同族が殺される中、手を差しのべ切れなかった私が。


 不甲斐なくて、情けなくて、私が嫌になる。

 何より特に、私を見てた人たちの顔を見て、ああ、みんなと同じ顔だって思ったことが。

 ふと、共存って出来ないのかなって思ったことが。

 一瞬でも、私も、相手も、どうやったら許せるんだろうって思ったことが。


 だから、もう、迷わない。戸惑わない。私は今度こそやり遂げる。私の元に残った同族の為に。


「『終炎豪雨(ラグナロクフレイム)』」







 ───────────────────


 天に現れた魔法陣。見渡す限りの広大なそれから何億何千万と放たれた炎の雨が、地上の者たちへと一斉に降り注ぎ、


「『水鏡』」


 一斉に弾き返された。


「やはり、この程度なら俺だけでも何とかなるな」


 涼しげな顔で言い切ったナイルは、いつの間にやら水で出来た龍に乗っており、隊列を組んだアーツの側へとやって来ていた。


「アーツ殿、魔女からの遠距離攻撃は俺が何とかする。貴官にはアインが補助に回る故、直に魔女を止めて戴きたい。その後は予定通り今代の西端覇者に任せる」


「了解した。御武運を。

 全騎士、兵士に次ぐ!!!長距離の攻撃に関してはナイル卿が抑えてくれることとなった!我々の責務は魔女を直々に抑えることだ!!行くぞ!!!全ては覇者が為に!!!!!」


「「「「「全ては覇者が為に!!!!!」」」」」


 西覇ソラスティーと魔女の、200年越しの因縁の戦いが今、幕を上げた。












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