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四方家初代当主2

前話でキャラの名前を入れ忘れているという大ポカを発見。修正しました。

元北方盟主 レーヴェル・ラズ・アストラル

元西端覇者 ハルマリア・ノード・ソラスティー

元東叡賢人 アレクセイ・ウェル・ノストール

元南陽眠徒 エッフェルディーン・メイ・ワルーレン

大変お恥ずかしい真似を


 

「は?」


 怒気に満ちた声を放ったエッフェルディーン。

 たったそれだけで、周囲のプレイヤーたちの半数は精神安定のためにログアウトさせられ、半数はショック死によってリスポーンさせられていた。


「っちッ!」


 内外に問わず周囲の住人たちが倒れたことを認識したエッフェルディーン。そのことにさすがに不味いと感じたのか、表面上とはいえその威圧感を押さえ込んだ。


「ラッツェはどうしたの?私あの娘にも結界の管理方法教えたはず」


「そうか。エッフェルディーンは真っ先に殺されたからな。知らないのか」


 一拍置いたのち、レーヴェルはエッフェルディーンに向いて言う。


「ラッツェルディーンは戦争の最中で死んだ。戦後生き残っていたのは、、、確かお前のひ孫娘だったか?ラーシャルディーンって奴だけだっあはずだ。」


「ひ ま ご」


 エッフェルディーンは、先ほどの怒りも何処へやら、まるで宇宙にいる猫のような表情になった。


「あれ?知らなかった?確か戦前には産まれてたはずだけど」


 エッフェが死ぬ直前だと7歳くらいだっけ、と呟くアレクセイ。


ネーディル(エッフェの孫)ちゃん、エッフェのこと相当嫌ってたみたいだから、それが原因じゃない?」


 二人の言葉にうちひしがれるエッフェルディーン。彼女にとっては、国が滅んでいることよりも孫に嫌われていたことのほうがショックだったようだ。


「あの娘、エッフェのこと自分の娘の面倒も見ず、政務もしないで寝てばっかりいる駄目人間だって思ってたみたいね?ま、当たらずとも遠からずじゃない?あなたがぐうたらなのは今もだし」


 ハルマリアの目線の先には、残骸となった寝袋があった。


「あれだ。現在の女教師モード、あの姿を見せていれば尊敬こそすれ引かれることはなかったんじゃないか?」


「わかるー。僕も言われるまでエッフェだって気付かなかったし」


「あれは反則よ反則。なにあの完璧人間」


 三人の意見を聞き、エッフェルディーンは思う。

 私、嫌われてたの?と。

 なまじ娘がマザコンなために気がつかなかった。

 常識的に考えて、寝てばかりいる人物が尊敬される筈がない。

 実際にはエッフェルディーンは色々とこなしていたわけだが、そんなもの見えていないネーディルディーンには関係がない。

 孫娘にとって、祖母は王でありながらぐうたらして過ごし、なのに武人として大成している母からは尊敬されている人物であった。

 そんな存在、嫌悪感以外にどんな感情を抱けというのか。


 エッフェルディーンは思う。

 女教師モード(やるべきことを徹底的かつ最速でこれ以上ない出来映えで遂行し、その後好きなだけ寝るモード)は慕われた。

 ならば、今度は見える形で仕事をこなして、そのうえでぐうたらしようと。

 次、子育てをすることがあればだが。


「それはそうとエッフェルディーン。南陽王国だが、まだ存在しているそうだぞ?」


「あれ?そうなの?」


 にわかに驚くアレクセイ。

 エッフェルディーンの死後、エッフェルディーンという絶対者を失った南陽王国は揺れ、その後立て続けにその子孫たちが死んでいったことで、600年前の時点でかなり存続が危ういことになっていた。

 そして、600年後の現在。掲示板によればルージェ公国やオルジアなどの多数の強国が台頭し、南陽王国なる国は話題にもあがっていなかった。

 そのことを知っていたアレクセイが、600年もの時を経て生き残っていたことに驚きを示すのも無理はなかった。


「アレクセイ、お前地図は見たのか?オルジアとかいう連中が公開しているだろうに」


「地図!?知らなかった!そんなものあったんだ!」


 発展したんだなぁとアレクセイは感慨に耽った。


「早速だけど、私行く」


「あら、もう?のんびり屋なエッフェにしては珍しいわね」


「国が残っているってことは、私の子孫がいるってこと」


 エッフェルディーンはやる気に満ちた表情で言う。


「次は、尊敬される教育を施す」


 言い切った直後には、エッフェルディーンの姿はその場から消えていた。


「あ、装備渡すの忘れてた」


「それそんなに重要?なくても変わんないじゃない」


「酷い!?一生懸命作ったんだよ!?」


「見た目の再現度が高いのは事実だ。俺は気に入っているぞ?」


「レーヴェルー。そういう慰めは余計に辛いって、、、」









 ──────────────────

 ヒュジャル砂漠、迷宮『漠砂』のヒュジャル


「ここは私の国。何勝手に我が物面して居座ってるの?」


 数秒後、ヒュジャル砂漠の迷宮内にて、日向 日向は完全形態でその少女と向かい合っていた。

 体長は優に20メートルを越え、全長は300メートルにも及ぶ巨大な蠍。それが、さらに魔法による土や石といった鉱物で全身を装甲。本体の数倍の巨体を成していた。

 普段であれば絶望を浮かべるしかない怪物。しかし、目の前の少女に相対するには、いささか心もとないように感じられた。


「600年も留守にしておいて良く言う。今のお前は死後に生前の住居を自分のものだと主張する悪霊と何ら変わんないだろう」


「悪霊。なら、今から呪い殺されて死ぬ分けだ。ばいばい」


 こくんと首を傾げた少女、エッフェルディーン。

 次の瞬間にはエッフェルディーンごと迷宮は光の幕に包まれ、幕が消え去った後には、エッフェルディーンしか立って居なかった。






 翌日、ワルーレン大陸から砂漠は消え去り、広大な緑地が広がっていた。




 エッフェルディーンが転生後に現代でやったこと。

 義務教育とか最高にめんどくさかったエッフェルディーン。しかし、引きこもって両親にどうこう言われるのも面倒。

 そこで小学校からアメリカに留学。晴れて12歳でシックスフォード大学を飛び級で卒業。

 その後、自分の後に残りの三方が転生してくることを友人の占い師に教えられる。曰く、どうやらとある学校で偶然にも同じクラスになるらしい。

 仕方なく新技術の提供と引き換えに政府から高校の教員免許を貰い、23歳の時に新卒として公務員になり、政府の根回しでその高校へと配属された。

 授業では、自分で教えるのが凄く面倒だった。ともあれ、就職した以上やらないという選択肢はない。

 ならば生徒自身に、教師に聞く必要がない程賢くなって貰おうと決意。

 結果、授業前半にエッフェルディーン式超効率的記憶法、勉強法を伝え、後半に某ヌルフフフな先生のいる高校の校長と同じような速度と分かりやすさで授業を展開するという離れ業をやってのける。

 生徒の学力は一学期間で偏差値が5上がったとかなんとか。

 残りの三方も地味に点数が上がったらしい。

 研究授業等でも同様の方法をやった結果、教育委員会に目をつけられる、、、も、かの天才だと知られ、なんで高校なんかで教師してるんだ?という疑問とともに受け入れられた。

 二学期は一学期に前半の教えることがなくなったため、2倍の速度で展開。9月中に全範囲終了。残りはエッフェルディーン先生の寝袋持参での自習室が始まった。

 因みにわからない問題があるときは起こせばちゃんと教えてくれるらしい。




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