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四方家初代当主1

今話から第2陣編開始です。

4千字くらい行きそうなので2話に分けます。

 

「んー。この世界も久しぶりね。大気に満ちた魔力、ほんと懐かしいわ」


「そうか?ずいぶんと文明レベルがか下がっているみたいだぞ?戦争の影響で一度文明が滅んでいるんじゃないか?」


「北だけがおかしいのよ。西もこんな感じだったわ」


 600年前と変わらないのならやはり後退してるだろと主張する少年、レーヴェルと、たかだか600年で文明がそこまで変わるわけないじゃないと言い返す少女、ハルマリア。

 道中で言い合いながら歩いていた二人は、いつしか街の中央広場にある噴水の前まで来ていた。


「やーやー二人とも。600年ぶりだね」


「どうした?不折桜旗に知力まで吸われたか?」


「さっきまで学校で会ってたじゃない。覚えてないの?」


 先に待ち合わせ場所に来て、噴水のへりに座っていたアレクセイは手を上げたままの姿勢で固まった。


「この星では久しぶりってことじゃん!わかってよ!?」


「人に自分の説明不足の責任を押し付けるなよ。構ってちゃんか」


「アレクセイ、伝わるように伝えないと伝わらないわよ?」


「あーもー!」


 残念なものを見る目で見られ、アレクセイは頭を抱えた。

 しばらくそうしたやり取りを繰り返した後、アレクセイは二人に自作した装備を渡した。


「はい。今初心者用の服でしょ。可能な限り前世の君たちの服装に近づけたから、着てみて」


 ポンと二人に手渡された装備品の数々を見て、広場にいた周りのプレイヤーたちはざわついた。

 見るからに高級そうな素材が使用され、溢れ出る魔力からは高度な付与(エンチャント)が施されていることが解る。

 第2陣のプレイヤー、つまり今日始めたばかりのプレイヤーたちは「あれがトッププレイヤーの装備か!」と大いに盛り上がり、様々な事情で来ていた既存のプレイヤーは、ランカーのガチ装備でもお目にかかれない代物であることに気付き、戦いた。

 だが、当の二人は、


「何これ。そこら辺の布切れでも使ったの?昔のやつの足元にも及ばないじゃない。手抜き?」


「ハルマリア、不折桜旗の作成後からアレクセイの技量が明らかに落ちたのは知っているだろ。それが単なるスランプなのか一生ものなのかは知らないが、しばらくはここらが限界値だろうな」


うち()にあったカーテンとかの方がマシなんだけど、、、まあ良いわ。アレクセイ、いつ治るの?」


「ムリ。一生このままだろうね。分不相応な代物(不折桜旗)造っちゃったんだから、その対価だと思って諦めてるよ」


 その出来に明らかに不満を抱いていた。そして、それがさも当然であるかのように、製作者であるアレクセイ自身も受け止めていた。


 装備への不安を他所に、談笑に戻った三人。そんな三人に、先ほどの会話を聞いていた一人のプレイヤーが近づいてきた。


「なあ、あんたら!その装備弱いって思うんだろ?だったらよ!俺にくれよ!要らないって言ってる奴より、欲しい奴の手に渡ったほうが装備もよ────」


 そこまで言って、男の体は消し飛んだ。


「頭が高い。誰に直訴してると思ってんの?私も嘗められたものね」


「ハルマリア。もう俺らは死んでいるんだ。600年前の王のことなんて誰も知らんだろうよ」


「あ、そう言われればそうね。でも、喩え知らなかろうと私の前に立つってんならあと3万年は鍛えなさいって話よ」


「それでは誰も謁見できないだろ」


「それよりさ、二人ともエッフェ知らない?まだ来てないけど、一緒に来たんじゃないの?」


 まるで、男の介入などなかったかのように三人の話は続く。


「また寝てるんじゃないか?一応ログインする直前に電話で声はかけておいたから、そろそろ来てもおかしくはないが───」


「噂をすればなんとやら、ね。来たわよ」


 ハルマリアに言われて二人が振り向いた先には、初期装備の他に、何故かやたらと高級そうな寝袋を抱えた少女、エッフェルディーンがいた。


「やっと来たわね」


「眠い。また明日にしない?」


「しないよ!?初日にしようって四人で決めたよね?」


「睡眠優先で」


「あーもー!エッフェはこれだから!レーヴェル、何か良い方法ない?」


 眠い眠いと言いながら、広場に堂々と寝袋を広げていくエッフェルディーン。

 するすると眠る体制に入っていくエッフェルディーンを見かねて、アレクセイはレーヴェルに助けを求めた。


「そうだな。方法には心当たりがある。が、お前のほうが詳しいだろ。アレクセイ、南陽王国の現状について教えてやってくれ」


「南陽王国かぁ。僕は東ばっかりで南の情報はあんまり集めてなかったけど、、、確か滅亡したんじゃなかったっけ?ヒュジャル地方は砂漠化してるらしいし」









「        は?       」


 アレクセイがそう言いはなった数秒後、眠そうだった目をかっぴらいたエッフェルディーンが、凄まじい怒気を放ちながらゆっくりと起き上がった。

 ちなみに寝袋は衝撃で弾けた。実にもったいない。






キャラの名前を入れ忘れているという大ポカを発見。修正しました。

元北方盟主 レーヴェル・ラズ・アストラル

元西端覇者 ハルマリア・ノード・ソラスティー

元東叡賢人 アレクセイ・ウェル・ノストール

元南陽眠徒 エッフェルディーン・メイ・ワルーレン

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