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英雄王2

娘さんを僕に下さいって、失礼な言い方なんですね。ライメトゥスの台詞のために調べてたら出てきました。

確かに物扱いしていると言われればそう聞こえるきもしてきます。

ということで前話の台詞を修正しておきました。

 

「『早業・十剣技極』」


 意識を取り戻したアーニスが最初に行ったのは、ライメトゥスに対しての攻撃であった。

『十剣技極』は10本の短剣を対象に必中させるスキルである。これによって麻痺効果のあるナイフをライメトゥスに放ち、対処するその隙に高く跳躍。なるべく距離を離そうという魂胆である。


 が、


「ミクロネシアさんとはかれこれ二年程真剣なお付き合いをさせていただいております」


 ライメトゥスはそれら全てを右腕で剣の腹を払うようにして弾いた。無論、アーニスからは一切目を離さずに。

 深淵(アビス)には麻痺等の状態異常は効かない。

 だが、無視して短剣が刺さった状態で挨拶するよりは、弾いて服装を汚さずに話続けたほうが好印象だとライメトゥスは考えたのだ。


「『弔いの浄焔』」


「まだまだ未熟者な(わたくし)ではありますが、ミクロネシアさんと共に、温かい家庭を築いて行きたいと思っております」


 燃え盛る豪炎を浴びながら、ライメトゥスは話続ける。

 βの頃から今に至るまで一度たりとも死亡したことのないライメトゥスには、『葬斂』の効果は発動しないのだ。


「どうか(わたくし)とミクロネシアさんの結婚をお許しいただけないでしょうか。何卒お願い致します」


 スキルを連射し続けるアーニスに向かって、ライメトゥスは深々と頭を下げた。


「・・・認めない。『解除(アンロック)』。『設定』ステータス万ヶ一。スキルオールフリー」


 ズン、と。周囲一帯の重力が数十倍になったかのような、絶望的な圧がかかった。

 アーニスの瞳に下60°程が欠けた二重円が浮かび、瞳孔が蒼く染まる。


「ミクロネシア様は覇王国(私たち)の希望。ミクロネシア様は覇王国(私たち)の象徴。ミクロネシア様は覇王国(私たち)の導き。

 欲しいと言うのなら、守ってみせると言うのなら、責めて私の一人位、倒してみせてよ」








 ───────────────────


 先程までのノービアの防壁の上は、二人の戦いを観戦する数多のプレイヤーで賑わっていた。

 だが、それは先程までの話。アーニスの放った桁外れた威圧感と魔力によって、二人を中心に、かなり距離が離れているはずのノービアの西門まで、周囲一帯が沈黙に包まれていた。


「け、検証王さん、、、アーニスのステータス、データが取れたんですけど、、、」


「もう隠す必要もないってことか。それで?」


 辺りが静まりかえる中、アーニスのステータスを鑑定した検証班のプレイヤーが明らかに動揺しつつ、震える手で検証王にデータを送った。


「・・・」


 送信された直後、急ぎ確認をした検証王が硬直する。


「自分のスキル、バグったんですかね?そ、それとも、まだアーニスに隠蔽系のスキルがかかっているとか、、、」


「、、、いや、これが真実なんだろう。というか、現状を鑑みるに真実として対応に移るべきだ」


 我に返った検証王は瞑目し、それからまたアーニスのステータスデータに目を落とした。


『ティバイアス覇王国四天王

 アーニス レベル8600

 (ジョブ) 底辺暮らしの落伍者(プァーエストクラウン)(十次職) レベル2500

 灰被りの小鼠(シンデレラマウス)(特殊職) レベル2500

 救い無き者の弔い手 レベル3600

 種族 貧民街の越等種 (―――) レベル 0 (上限) 

 HP 5000000000

 MP 5000000000

 攻撃力 5000000000

 防御力 5000000000

 俊敏性 5000000000

 知力値 5000000000

 器用値 5000000000

 精神力 5000000000

 称号  逸脱者 血濡れの道化師(ブラッディクラウン) 送り人 その他』


 全ステータス50億。迷宮内部の、万全を期した迷宮主(ダンジョンマスター)や、無理矢理にバフを盛ったミロク並みの数値である。

 だが、この値を維持するためにはダンジョンマスターであれば常に大量のDPを垂れ流しし続ける必要があり、メリドーラであればバフの持続時間からして数分と持たない。

 それ程のステータスを、アーニスはただ種族の封印をといただけで出してみせた。

 消費は?制限は?持続可能な時間は?考えずとも、その答えは─────


「っ!」


 パンッ!


 検証王はそこまで考えた時点で自身の頬を張った。


「XO²、王侯貴族に都市内のNPCの避難を要求してきてくれ。このステータスだと最悪余波で蘇生可能範囲から押し出される可能性がある」


「りょ、了解です!」


 検証王の伝言を伝えに走っていくプレイヤーを尻目に、検証王はため息をついた。


「カエサルは案ずるなと言っていたが、ライメトゥスに倒せるものだろうか。ワールドボスや運営の連中でももう少しマシなステータスをしているぞ?」


 心配していてもしょうがないと、検証王は静観の姿勢を取った。



誤字報告ありがとうございます


そういえばメリドーラのレベルって100億あったんですよ。いくら城主のステータス上昇値が15しかないからといえステータス150億行っちゃいますよね。修正してミロクにしました。

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