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御手洗綸太郎の事件簿4

次の掲示板で結婚式編の御手洗章は〆です

 

「遊ぶのに飽きたらそろそろ逃がして欲しいなーなんて」


 ランカーとの戦いが始まって早数分。僕はもう満身創痍だ。

 ぼろぼろになった僕もかっこよくはあるんだけど、この泳がれた跡の傷は捻れているせいかポーションが効きづらい。いい加減痛みが酷いから止めて欲しいよね。


「お前がさっさと死ねば終わる。それだけの話だろ」


「どんな困難な状況でも最適解(真実)を追い求め、見つけ出す。それが探偵ってもんだから、っね!」


()()()のがお前の言うその最適解(真実)だ」


 ドォォォーン!!!


 ランカーの突撃をノックバック効果を増強した爆弾の衝撃波で反らす。そうすると、急な方向転換ができなくなったランカーはノックバックで引き下がった僕の急所を必然的に外すことになる。それでも掠りはするから完全なは反らしきれないんだけど。


 僕が自分の記憶を辿った中で分かった、ランカーの種族についての嬉しい情報と嬉しくない情報がある。

 まず、嬉しくない情報。ランカーの種族は、体表の斑模様の色合いからして新川が無傷のまま氷浸けにして持って帰ってきた魚と同一と見て間違いない。

 遊泳範囲とか、話を聞いた限りランカーとほぼ同じみたいだしね。

 さて、ここで重要なのは新川がお持ち帰りした方法だ。新川はこの魚を氷浸けにして持って帰ってきた。本人が言うには「一番良く効いた」からだそうだから、ランカーの弱点は氷に関連することだとわかる。

 氷と聞いて連想するものは水、冷たい、固体、体積の増加、その他。

 ここで弱点に関係しそうなものといえば、冷たいこと以外に想像がつかなかった。空気やら地面やらを泳いでいる時点で、固体や密度とかは関係ないのだろうし。

 とするとランカーの弱点は『冷気』だと予想がつく。

 やったね。これで倒せるよ!ってなれば良かったんだけど、、、僕ね、凍結系や冷却系の爆弾の素材、持ってないんだよ。こればっかりは無いものはどうしようもない。

 思い返せば厨房には冷却機材が無かった。食料の保存方法は高価な時間停止魔法と保存魔法の付与された保存庫のみ。

 たかだか子爵家に泊まっている全貴族家を養えるだけの食料を保存できる保存庫を用意できる筈がない。だったら何のための対策だったのか。そこにいち早く気がつけなかった僕のミス。

 これが嬉しくない情報。


 次、嬉しい情報。ランカーの種族特性的になんだけど───


 ドォォォーン!!!


 爆発で生じた真空では、泳げないみたいなんだよね。

 これ、ランカーからしてみれば直前まで泳いでいたところにいきなり泳げない空間に放り出されるわけで、当然制御不能、進行方向がブレて致命傷には至らない。

 ただ、何度か利用して逃げてるからそろそろ慣れられて対策されそうなんだよなぁ。


 さすがにそれじゃあいつか殺される。

 てことでクエスチョン!ならば僕の取るべき手段とは!?


 A.相手にしてないでさっさと逃げること。


「さてと。ランカー、君もそろそろ満足したんじゃないかな?君の友達を目の前で爆破してごめんなさい。謝罪はした。体が捻れる程の私刑は受けた。これで君と僕との因縁はチャラにしてくれても良いんじゃないかな?」


 ここで再びインバネコートを広げて鹿打ち帽を被り直す。

 そして決め台詞!


「僕の(ジョブ)時計仕掛けの真犯人(サイコキラー)!!時限爆弾の精度、威力において、右に出る者無き名探偵!!」


 カチッ、


 ドォォォォォォーーーン!!!!!!!!


 事前にお腹に巻いておいた時限爆弾のうち一つが爆発して、僕はおもいっきり後方に吹きとばされた。

 僕の爆弾は仕掛けた時から爆発までの時間が長ければ長い程威力が増す。そして爆発させたノックバック特化のこの爆弾の設定時間は72時間。

 爆発時に発生するノックバックの速度と距離は、いくらランカーの超速度でも、それこそβの最終イベント当時の彼女ですら引き離し得る程のものとなる。


 あとはこの邸宅近くの湖畔に沈めてある潜水艦に載って、そっちに仕掛けた爆弾を爆破すれば逃亡完了。

 うん。

 実に完璧。まるで今降っている天気雨も、僕を祝福している様にだって感じるね!(ランカー)が僕を逃して泣いているみたいで実に─────────────











 さーて。楽しい楽しい推理の時間だ。

 問題点その1、なんで僕の傷は全て治っているのか。

 問題点その2、なんで僕の記憶が飛んでいるのか。

 問題点その3、なんで地面が地平線の彼方までぐちゃぐちゃに抉れているのか。

 問題点その4、なんでランカーが追い付いているのか。


「聞いても良いかな?もしかしなくても、絶幼(絶対幼女神聖教)の三教皇代理の一人、、、彼、式の為にこの国に来てたりする?」


「もう一度死ねばわかるだろ」













 今回の僕の失敗は一つ。敵の言うことは戯言でも耳を傾けた方が良い。じゃないと、こうしてあっさり罠に引っ掛かる間抜けなことになりかねない。



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