表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
107/164

東方修練2

 

「ふむ。この薬が効くとなると、やはり樹皇人も地球の植物と同様な性質を持ってると考えて良さそうね。けれど、効果が現れるのが早いのはどうしてかしら?やはり自立して行動を行える様に進化したことによる影響?システム的なものとは考えたくないわね」


 ラッツェルディーンとアレクセイ。その二人の戦闘を監視していた樹皇人、ティアー。

 彼へと薬液を投与した女性は、喜色を浮かべティアーの身体への影響を観察していた。


「アリサ、予定通りそこの樹皇人の捕縛は君たちの班に任せる。くれぐれも逃がしたりしないでくれよ?」


「勿論よ。わかっているからさっさと向かいなさい。もし私に注意を払って取り逃がしたら、それこそ元も子もないでしょう?」


「そうだね。じゃあ頼んだよ」


 軽く会話をしている間も、ギルドマスターらが去っていく最中も、アリサがティアーから目を離すことはなかった。


「さて。投与した薬液の効果について。助手君、ちゃんと記録取ってる?」


「はい!先生」


「よろしい。今回投与したのは細胞壁を溶かす薬品ね。それによって見られた効果は─────


「『木杭』」


 ティアーを観察しつつ助手に記録を取らせるアリサ。彼女の言葉を遮る様にして、ティアーの魔法が彼女の体を貫いた。


「ーーーッッッ!!!!!」


「効果の出は良かったけれど、予想よりも迅速な復帰ね。助手ちゃん、記録(タイム)は?」


「1分26秒56、です!!」


「了解。じゃあ次は再度投与による効果の違いについて見ていこうかしら?」


 再びポケットから先ほどと同様の薬液を取り出すアリサ。彼女は胸の中央を貫かれていながら、全くの痛痒を感じて居なかった。それどころか、彼女を貫く幹の方が溶かされている有り様だ。


 種族【化学的不定形魔法生物(アルケミースライム)

 化学の力によって成形し、魔法の力によって動かすスライム。単なる実験魔法生物でしかないその種族に、アリサは他のギルドメンバーの力を借り、自身の魂を移植した。

 そしてこの種族最大の特徴は、接種させた薬品へと、自在に自身の主成分を変化させることにある。



 薬品を投与されたティアー。彼が再び動けたのは、それから50秒程後の事だった。


「予想より早い再生ね。一度目が弱い分、免疫力が高いのかしら?」


「そうですね。三度目以降は効果が出つつもある程度行動可能なようですし」


 けれど、動けるだけ。行動が確認された瞬間、別の薬品、もしくは追加の薬品が投与される。仮に動かなくとも、変化が見られればすぐに対応を取られる。

 現状、ティアーには実験体となる意外の行動を取る術はなかった。














 ─────────────────────


「っはぁっ!はぁっ!はぁっ!なんで僕襲うのさ!?」


「んーーー。自覚がないというのがそもそもね」


 タピオカ、ナタデココ、マカロニ、ティラミス、ポテチ。使役する5体の魔物を召喚していながら、フーリンはたった1人を相手に苦境に立たされていた。


「んじゃ、ヒントをあげようか。そこのタピオカと、、、マカロニだっけか、()()らの表情を見れば多少思い出せるんじゃない?」


 フーリンらをたった1人で追い詰めた、薄く透き通り宙に浮かんだ男、レブナント。彼の蔑みを含んだ声に、フーリンは咄嗟に後ろを振り返り、二人の表情を見る。


「あっ!!」


 そして気がつく。二人を何処から拾ってきたのか、そして拾った施設は何処の組織のものだったのか。


「うちの組織からどんな気持ちでそれを取ってったのか知らないけどさ、返してもらうよ?ペットの気持ちもわからない飼い主の元より、うちのほうが居心地いいって」


「ち、違う!!!マスターはそんなのじゃないです!!」


「そ、そうよ!あんたらのとこよりも、ご主人様の元のほうが!!!」


 嘲るようなレブナントの言葉に、震えつつもたまらずといった様相で二人が言い返す。

 そして


霊魂一掃(ソウルライン)


「あのさ、(やつがれ)は君らには話してないんだ。黙って居てくれる?」


 一蹴された。

 踏ん張ることも許されず、二人は青白いエネルギーの奔流によって吹き飛ばされたのだ。


「で、君はどう思うのかな。フーリン」


 光の灯らない、冷徹な視線がフーリンへと降り注ぐ。


「、、、確かに僕は駄目な奴だよ。この子たちに手伝ってもらわなきゃ何もできないし、あまり考えないおちゃらけものだ。でも、」


 うつむいていたフーリンが、レブナントへと視線を向ける。その瞳は、怒りに満ちていた。


「この子たちを物扱いする、お前らよりはちゃんとしている自信がある!!」


 堂々と言い張り、改めてレブナントへと立ちふさがった。力強く、確固たる意思を持って。


「いいね。もし言い返して来ない、見捨てるような奴だったら、(やつがれ)は今頃君を消していた」


 レブナントが霊気を纏い、手に持つ戟を構えた。先ほどとは違い、興味の籠った視線をフーリンへと向けて。


「かかって来るといいさ。(やつがれ)からそれらを守るんだろ?」


「屍遺霊術『騰魂』。物扱いするなって、言ってるだろ!!!」


 フーリンが放った極光が、レブナントを飲み込んだ。





あと10話位で終わらせたい。多分もっと伸びるけど

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ