名も無きDoll
名も無きDoll
制作:Gift Of Memories
シナリオ:やんちゃ
私はただの人形だった
動きもせず
ただ、そこで立ちすくんでいるだけ…
孤独な揺りかご
揺らめいて 繰り返す
そう、私はただの… 名も無きDoll…
キャスト
ロゼ(來香滄)
シフォン(真城かな)
— 設定 —
(ロゼ) 台詞数21+3(CM)
名も無きDoll。言葉を話せない。全ては心の中で生きている
ずっと一人で生きてきた。クールで冷静に物事を考える
(シフォン) 台詞数21+2(CM)
優しい女の子。言葉も丁寧。イメージはメイドに近い
ロゼを見つけ、自分の部屋に飾り、友達になろうとする
ロゼ:(道端に捨てられたこともある、物置に閉じ込められたこともある
たくさんの景色を見てきた。それは決して良いモノでは無い
ロゼ:(全てが黒い影だった。必要とされない、孤独で生きていく、ずっと一人ぼっち…
そう、私はただの、名も無きDollだった)
ロゼ:(感情が無いなんて嘘。ちゃんと私は考えることが出来る
寂しさだって感じられる。ましてや、孤独しか与えてくれない
神様は残酷だ。一体私が何をしたというのだろう…)
シフォン:雨ね… こんな暗い日は、気分まで落ち込んでしまいそう
でも駄目だわ。いつも笑っていないと…笑顔は幸せを運ぶんですから
シフォン:あら?
シフォン:(雨に濡れた小さな人形を見つけた。それはとても悲しそうで、まるで生きてい
るかのように感じられた。)
シフォン:可哀想ね… こんなに濡れちゃって…
(シフォンの部屋)
ロゼ:(眠っていたのだろうか…目を開けると、そこは、綺麗な部屋だった
珍しい。私には似合わない場所だろう。一体誰が私を拾ったのだろう…)
シフォン:あら、お目覚めですか?
ロゼ:(言葉が分かるのか? 私の思ったことが通じているのだろうか…)
シフォン:そんなに濡れてたら風邪を引いてしまいますよ、ちゃんと私が、綺麗にしてお
きましたから、もう安心ですわ
ロゼ:(本当だ、服も髪も綺麗になっていた
こんな綺麗な場所は、いつから目にしてなかっただろう…)
シフォン:私、シフォンと良います。何なりとお申し付け下さいませ
ロゼ:(この女、ただのバカなんじゃいか…私に手を差し伸べた所で何もないというのに)
シフォン:今日は、私とあなたで、ゆっくりしましょうか
あ、そうです、昔話でもして差し上げましょう、それはとても悲しいお話…
ロゼ:(また、私に悲しみを与えてくるんだ…)
シフォン:遥か昔、一人の少女がいました。とても苦労人で、いつも頑張って働くの…
小さな子とは思えないくらい強い子で、しっかりしていたわ
その子は、ある日、一人の少年と出会いました
シフォン:その少年は女の子を助けるの。辛い思いをしないように、ずっと側にいるの
でも、一つ、少年には、どうしても出来ないことがあったわ
その子は、言葉を話すことが出来なかった
ロゼ:(話せない。感じることは出来るのに…まるで、私みたい…)
シフォン:それでも男の子は、女の子と話すの
手で、口で、体で…少女は、その一生懸命な姿が素敵で、その子に惹かれるの
シフォン:ちゃんと想いは伝わっていたわ… 言葉は分からないけれど、伝わっていた
ロゼ:(言葉が話せないのは辛い。それは私も同じ
でも、分かってくれる人がいるのなら、それは嬉しいことなんじゃないのだろうか)
シフォン:お話には続きがあるの…
家庭や環境で二人は引き裂かれてしまう。もう会えなくなるの
友達の居なかった少年は、誰とも分かりあえず、孤独で死んでしまうわ
ロゼ:(孤独で死ぬ? ありえるのだろうか、それならきっと私だって…)
シフォン:きっと、寂しかったんでしょう…女の子は、ずっと側で居たかったのに…
その少女はね、最後にありがとうを言うの。空に向かって、ありがとうって…
ロゼ:(それが、悲しいお話?)
シフォン:一人ぼっちは辛いよね? だから、私が居てあげる、居させて欲しいの
ロゼ:(私に言っているの?)
シフォン:そのお話の少女は… 私。もう何年も前のお話よ
ロゼ:(そう、だったの。だから、こんなに優しいんだ)
シフォン:あなたのお名前を教えてもらえないかしら?
ロゼ:(そんなのあるわけがない、私は、ただの名も無き人形だから)
シフォン:なら、私が付けてあげましょうか? ね?
ロゼ:(初めて、温もりを感じた、優しい温かい言葉だった
今まで、感じてきたのは、真っ暗な世界、闇、孤独、痛み、苦しみ、悲しみ)
ロゼ:(幾度そんなことを繰り返しただろう。孤独な揺りかごは、ずっと揺らめいている)
シフォン:あはっ、そうねぇ、あなたの名前は… ロゼ。どう?気に入った?
ロゼ:(とても優しい声だった。とても優しい名前だった
こんな温かさは、初めてだ。これで私も孤独から開放されるだのうか…)
シフォン:それじゃあロゼ、改めてだけど、私とお友達になりましょうか?
ロゼ:(シフォン、ありがとう、これから、私たちはお友達…)
シフォン:よろしくね、ロゼ
ロゼ:(その日、私は、孤独な世界に終わりを告げた
私に初めての友達が出来た。そして、初めて、名も無い人形から、名が付けられた)
ロゼ:(そう、私は、ここに居ても良い、名も無い人形じゃ無かった)
END
(CM)
ロゼ:私はただの人形だった。動きもせず、ただ、そこで立ちすくんでいるだけ…
シフォン:悲しいお話をしましょうか。一人の少女はある少年と出会うのです
ロゼ:孤独な揺りかご、揺らめいて 繰り返す
シフォン:ギフトオブメモリーズ オリジナルボイスドラマ「名も無きDoll」
ロゼ:そう、私はただの… 名も無きDoll…