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93 だから学べと人は言うが

 夏季休暇も順調に進み、課題も進み、残り1週間ほど。


 故郷の村での生活は、学園でのすり切れた精神の回復に凄まじく効果を発揮し、胃痛とかはだいぶ軽減されていた。


 一応、ココだとある程度自重してくれたりするし、俺の方が彼女達に慣れてきたというのもあるというか、最近新作の胃薬とか言うのを飲み始めたというか…‥‥何にしても、胃の耐久度だけは格段に増したといえるだろう。悲しいような気もするが。



 そんなこんなで、本日は村の近くにある森の探索である。


「食べられるものが多いからな。木の実にキノコ、花や草でも食用のがあるし、肉も猪とかを仕留めれば行けるし、これだけの人数で行けば、ある程度の収穫が見込めるかな?」

「お任せください、ご主人様」

「ふふん、こういう所こそわたくしの見せどころですわ!木々に聞いて、ちょうど収穫できるものを探し当ててみせましょう!」

「グゲェ!」


 森に来た面子は、俺にノイン、カトレア、リリス。


 セラは家の方で母さんの昼食用の料理の手伝い。


 ゼネは村の教会と墓場の方で、ちょっと気になる物があったのでそっちの方で何かするらしく、ルビーはどうも、ドラゴンの類でもあるゆえに宝か何かの気配を見つけたので、その気配の主を探りに行くらしい。


 まぁ、ゼネは元聖女だから幽霊とか出ても大丈夫そうではあるが、ルビーの方は宝関係はポンコツだからなぁ‥‥‥何に反応したか分からないが、ポンコツぶりを考えると変なものとかは流石に無い‥‥‥とも言い切れないな。



 何にしても、この面子で来たのは良いのだが、この間喧嘩して止めたばかりだというのに、ノインとカトレアの両者に密かに火花が散っているような気がする。


「リリス、いざという時は体当たりを頼む」

「グ!」


 この二人の攻撃すらも受け切れるリリスの箱アタックで何とか止めたいところ。


 そういう訳で、森の幸を収穫するために俺達は探索を始め出す。



「ふむ、レーダーに感アリ。あちらのほうに、食用可能な生物の集団を確認」

「こっちの木の上の方に、色々食べられそうな木の実があるそうですわ」


 互いにグイっと俺を引っ張りつつ、喧嘩腰なのを表面上は見せないように配慮しているのか、笑顔なんだけど、その目を互に見合わせ、バチバチっと火花が見える。


(…‥‥本当に気が合わないんだよな、こいつら)


 一応、だいぶ慣れてきてもいるし、暴れないように念を押しているし、大丈夫と言えば大丈夫かもしれないが、不安が少々心によぎる。


「二人とも、なんか争いそうな雰囲気があるけど、大丈夫か?」

「大丈夫デス」

「大丈夫ですわ」


 口で言うだけのような…‥‥うん、万が一争い始めたら、リリスの箱の角っこで、足の小指強打な。


 ちらっとリリスを見れば、何時でも大丈夫だよと言うようにぐっとこぶしを握り締め、キラキラした目で見てくる。


 やる気があるのならば、その機会が来ないように願いつつ、あったら全力でやってもらおう。


 そう考えていた‥‥‥その時であった。




ずぼっ

「あ」

「「あ」」

「グ?」


 なんか嫌な音がしたと想ったら、足元の感触がない。


 見れば、大穴が空いており、自然の落とし穴のようだが…‥‥残念ながら、以前にも似たようなことはあったので、対策は既にできている。


「ホバーブーツっと!」


 こんなこともあろうかと、既に着用するようにした、改良中のホバーブーツ。


 スイッチを押せばすぐさま空気が噴出され、落下する前にその場を脱出する。


「どーだ!!」


 ひっかからずに宙を舞い、自然にできた穴の可能性もあるが、回避できたことにいい気分になる。


 けれども、その油断がいけなかった。



「ゴゲェェェェ!!」

がしぃっ!!」

「…‥‥ハイ?」


 勢いが良すぎたので木々よりも高く飛び、着陸のためにふんわりと噴出させようかと思っていた矢先に、何か妙な音が聞こえた。


 見れば、巨大な鷲のような鳥が、その大きな足で俺の腰辺りをしっかりとつかんでおり‥‥‥



びゅごおぉぉぉぉうう!!

「ああああああああああ!?」


「ご主人様!?」

「マスター!?」

「グゲェ!?」


 全速力で、連れ攫われかけたのであった…‥‥‥‥





‥‥‥すぐにルビーを召喚し、飛行能力では上回っていたので俺を奪還してもらい、鳥を撃墜した。


 どうやらモンスター『ビッグイーグルモドキ』という、鷲のように巨大な鳥のモンスターとはこれまた異なるものだったらしい。


 撃墜後、色々と調べてみると食用可能な上質の鶏肉でもあったそうで、思わず御馳走を俺たちは手に入れたのであった‥‥‥‥


「でも、攫われかけたのは心臓に悪かった…‥‥まさか空中でこう襲われるとは思わなかった」

「緊急回避用の機能を増設する必要性がありそうデス。しかし…‥‥」

「どうしたの、ノイン」

「いえ、図書室でお借りした図鑑によれば、このモンスターは本来、もっと険しい山岳を住みかにしているようですが、周辺に生息できそうな環境はないのデス」


‥‥‥妙に気になるというか、いやな予感を感じさせるなぁ。また化け物とか出ていたら勘弁してほしい所である。



大大大ジャンプで回避できたと思ったら、まさかの強襲であった。

まぁ、直ぐにどうにかなったのは良かったのだが…‥‥少しトラウマになりそう。

しかし、なんか嫌な言葉というか、あいたくないような予感を感じるんだよなぁ…‥‥




‥‥‥例えるのであれば、某配管工のおっさんで、穴をジャンプして避けたらブロックがある感じだった状況。孔明の罠っていうんだっけ?

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