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90 悩み事は押し付けても良いのか

‥‥‥ディーたちが村の方に戻って夏季休暇を満喫しようとしている丁度のその頃。


 ヴィステルダム王国の王城内では、少々面倒ごとが起きていた。


「‥‥‥フルー森林国の政治を担う者たちが、やはりいたか」

「それぞれ状況を把握したようですが、それと同時に様々な問いかけがあるようです」


 王城内、会議室ではその報告がなされ、その場に集めれた者たちは頭を悩ませる。


 森林国での怪物騒動の際に、解放された人々がここに輸送され、現在森林国へ戻すためにも身元を調べ上げていたのだが、その最中にその報告が上がったのである。



 フルー森林国は王国などとは政治形態がやや異なり、亜人種族が多くいるだけあって、それぞれの村や町の代表たちが集まって政治を行う議会制に似た形態を持っている。



 その議会に所属している議員たちが今回の事件に関しての話し合いをしたいと持ち掛けてきたのだが…‥‥その内容が、頭を悩ませるものであった。


 いわく、怪物騒動で助けられた件に関しては、感謝するのだが‥‥‥‥



「その、あの怪物たちを討伐した者や、あの大人数をこの国へ輸送した方法、その他諸々ツッコミどころが多すぎるという事で、詳しい情報の開示を求めているようですが…‥‥」

「まともに話せると思うか?」

「というか、ツッコミどころが多いって言われても、こっちでも困るようなことばかりなのだが」


 その言葉に、場にいる者たちはうんうんと同意するようにうなずき合う。


 正直にかつ要約してみると、王国の召喚士である学生を向かわせ、情報収集ついでに駆除、輸送をしたというだけになるが‥‥‥短い文に、情報が詰まり過ぎである。


 駆除というが、あの怪物一体でもそれなりの強さもあっただろうし、輸送するにしても大勢をこうも一度にまとめてという方法はすぐに出せるものでもない。


 そもそも学生を非常に危険極まりない場所へ向かわせたところに批判が来そうなものだし、その召喚獣たちがどの様な者であれ非常識すぎる者ともいえる。


 そもそも、フルー森林国は目の保養国とも言われるほどだが、その召喚獣たちはその保養すら超えるだろうし、その名称が少し危いであろう。


 というか、まずこの無茶苦茶な者たちが解決してくれたという話を、相手が信じてくれるのかが一番の疑問である。



「説明に関しては、本人がいないと無理そうだが‥‥‥」

「いたとしても、開示して良いものなのだろうか?」


 この説明の難しさゆえに、さっさと帰ったのではなかろうかという疑いが強まった。




 たった一人の召喚士と、その召喚獣たち。


 まだ学生の身分でありながらも、多くの功績を上げており、国としては手元に置いておきたい。


 むしろ、その能力が未だに未知の部分も多いので、下手にやらかされて国の危機を招かないようにしておきたいのである。




 現在はゲイザーの件などの功績とは別に、この怪物騒動の情報収集及び終息への褒賞として、卒業後に国の特別諜報機関へ推薦しつつ内定させるつもりなのだが‥‥‥


「‥‥絶世の美女召喚獣。なおかつ戦闘能力も異常に高い」

「戦闘以外の面でも、植物の急成長に膨大な収容能力、正体不明であった悪夢に、ドラゴンのような力、謎のメイド…‥‥いや、改めていうと、最後の方が何だこれと言いたくはなる」

「その他諸々多大な功績を生み出しつつ、国の面子としてもしっかりと褒賞を上げなければいけないような相手でもある」

「王子・王女たちも継承権争に関して、彼の存在を重要視しているようだし…‥‥」

「‥‥‥そんな奴を、他国が放置するか?」


 その言葉に、しんっと会議室が静まり返る。


 今はまだ、この国への就職を元に、ココへ留めることができるだろう。


 他国を見て回るとか、そういう希望があるそうなので、下手に束縛せずに、その希望に沿った形で国の側へ就かせのであれば容易い事である。




 だがしかし、その就職などを餌にした場合であれば‥‥‥


「その者についてよく知られれば、可能性、生産性、その他諸々を考慮して、引き抜こうと画策してくる可能性があるな」

「帝国の方も皇女、いや、今は女帝か。そっちのほうも既に知っているだろうし、将来的に接触してきて引き込もうとする可能性もある」

「出来ればこの国に根差してほしいが‥‥‥‥厄介なことになったな」


 色々と頭が痛いというか、怪物が暴れてくれた方がまだ討伐とかそういう単純な言葉で説明できたのに、この件だと説明が非常にし辛い。


 国家機密の者が出向いてくれたという説明で納得してくれればいいが‥‥‥


「機密について、絶対調べ上げようとするだろうな‥‥‥」

「そもそも、考えて見れば、森林国の者とも行動していたよな?まずそこから情報が漏れる可能性が非常に大きいのだが…‥‥」

「「「「あ」」」」


‥‥‥何にしても、非常に頭を悩ませる問題に、彼らは唸りながら考えるしかないのであった。


 そして数日後には、数名ほどが、ストレス耐性が他よりもちょっと低かったせいか、不毛部分がぽつんっと出来上がって悲鳴を上げたのであった。


「そう言えば、国王陛下はどこに行かれた?」

「言われてみると、最初から姿がなかったような…‥‥」

「「「「‥‥‥‥逃げやがった、あの国王陛下ぁぁぁぁぁあ!!」」」」


 また、会議内容の頭の痛さゆえに、逃走していた国王が正妃たちに捕らえられ、ちょっとお見せできない惨事が起きたというのも、また別のお話。

情報収集能力が高いと、面倒さも分かるだろう。

ゆえに逃走しつつ、解決方法もしっかりと探り出す。

だがしかし、それもむなしい事ばかり‥


‥‥‥ルナティアに関しては、また後日登場予定。

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