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88 良い胃薬は薬局に

‥‥‥フルー森林国の怪物騒動。


 倒しきれないことは無かったので、やらかした大馬鹿者を捕縛しつつ、俺たちは丁寧に駆逐していった。


 何しろ、かなりの人数が囚われていたとはいえ、わざわざ自ら一つにまとまってくれようとしたおかげで、もう指で数えるほどの数しかなく、完全に強いという訳でもなかったので、倒しやすかったのだ。


 もし、最後の一体になるまで喰らいあっていたら、倒すことができないほどの強さになっていた可能性もあるが‥‥‥そうなる前に発覚したのも、大馬鹿者が馬鹿をやらかしてくれたおかげであろう。


「そう考えると、情状酌量の余地はあるのか?」

「そもそも、倫理面からアウトデス」


 それもそうである。まぁ、そんなことを頼む意味もないし、夏季休暇だというのに余計な事を増やしやがったので、後は王城に連行して、情報を吐き出してもらうしかない。


 その後はどう利用されるかはわからないが…‥‥まぁ、国に任せようか。





 そうこうしているうちに全て討伐し終え、俺たちは国へ帰還した。


 怪物たちの総数や、謎の組織の関与を報告しつつ、リリスの中に入れていた大馬鹿者と、囚われた人たちを出した。


‥‥‥うん、人数が数えきれないからな。


 森林国内に置いて行けば良かったかもしれないが、流石に身元不明者を大勢その場に置き去りにすると、色々と大変そうな気がしたからだ。


 何しろ、フルー森林国は元々エルフなどの亜人種族がいる国でも有名だが、もう一つに見麗しい見た目の人が多くて、目の保養となる国としても有名なのである。


 ゆえに、囚われていた人たちもそのような人たちが多く、放置しておけばそれなりに不味いのだ。


 具体的には欲望を吐こうとか、奴隷にしようとか、気絶している間にとか…‥‥想像するまでもない。



 何にしても、全員の身元調査も無理なので、国に押し付けた。


 俺たちはあくまでも情報を持ってくるだけで、身元を捜して輸送するまではないからな。


 そのあたりに関しては、謁見時に少々もめそうになったが‥‥‥


「‥‥‥ご主人様、交渉であれば私がでましょうカ?」

「ん?じゃあ、頼む」


 ノインに任せてみたところ、ものの数分で国へ押しつけれた。


 早いというか、何と言うか…‥‥交渉術、すごいな。


「これもメイドの嗜みデス」

「交渉もメイドの嗜みだっけ?」


 その部分にツッコミを入れたい人がいないか、そっと周囲を見渡してみれば、全員同じようなツッコミを入れたそうな顔をしていたのであった。


‥‥‥でもツッコミしに来ないってことは、場の雰囲気か、礼儀か、それともツッコミ力不足か。皆のツッコミ力を分けてくれ。











‥‥‥ディーがツッコミ力をどうにか集めて自分のものにできないか考え込んでいる丁度その頃。


 王城の会議室では、その場にいる者たちは誰もが頭を抱えたくなるような内容に悩みまくっていた。


「‥‥‥怪物騒動が人為的なものである可能性は予想できたが」

「得た情報だと、これでもまだ、その騒動を引き起こせる組織の一部だというのか‥‥‥」


 現在、この騒動を引き起こし、外部へ知れ渡るきっかけにしてくれた組織の一員を尋問(拷問)している最中なのだが、どうもそこまで需要重要な情報を持っておらず、下っ端という印象が強い。


 調べてみる限り、仮面をつけた謎の組織で、人命を動力源とする怪物を製造できる技術を持ちつつ、それ以上の規模がありそうだという位しか分からないのだ。


「どこで何をして、何を目的としているのか‥‥‥それが不明か」

「仕方があるまい。得られる情報に限りはあっただろうし、そのような危険極まりないものが存在していたという情報が得られただけでも良いだろう」


 ついでに言うのであれば、怪物たちも駆逐され、森林国は人が今この王城の中庭に集められている状態だけど、安全になったともいえよう。


 後は身元不明な者たちの確認をしていき、送還すればいいだけでもあるのだ。


 また、身元を確認していくと、森林国の重鎮たちなども確認され、輸送費などは森林国側が支払うことになったので、懐をこちらが痛める必要は無かったのも行幸である。



 だがしかし、その組織の関しては誰もが知らず、攫われ、気が付いたら怪物にされていた以外の情報がなかったというのは、残念だった。


「何にしてもだ、今後も似たような事件が起きかねない」

「知らない間に、地下空間を作っていたとなると、我が国でも地下を調べないと不味いのではなかろうか?」

「ああ、その手の専門家などもいたはずだが‥‥‥各国に通達し、調べてもらうのがいいだろう。どの国に潜んでいるのかも分からないからな」


 全容が不明な組織に関しては、今のところ後手にしか回ることができず、手の回る範囲としての予防策程度しか実行できない。


 どことなくもどかしくも感じるが、国としてはそれが精いっぱいであった。



「‥‥というか、この件、別の面でも不味いような」

「何かあったか?」

「あの国で対応できなかった怪物たちを、駆逐した者がいる情報がすぐに流れる可能性があるからな…‥場合によっては、取り込もうと動く可能性もあるぞ」

「‥‥‥問題を増やしてどうするんだ!!」


‥‥‥その言葉に、一同はうんうんと深くうなずき合い、意見が一致したのであった。

国へあとは任せ、夏季休暇へ戻ろう、村へ戻ろう。

難しい事なんぞ、今の学生という身分の俺だと立ち入ることができなさそうだからね。

まぁ、胃薬などを献上できればした方が良いような気もするけどな…‥‥



‥‥‥怪物、組織、戦力など、国としては頭が痛い問題である。それにこの件で、色々と眼を付けられそうな気がしなくもない。

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