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83 深刻度もそれなりに

‥‥‥森林国の学園襲撃及び、怪物材料事件。


 それが起きているとして、王城にルナティアと共にディーたちは報告に訪れた。


 馬車はそこまで多くなかったので、向かうまでに時間がかかると思ったのだが‥‥‥





「…‥思った以上に早いというか、報告速度おかしくない?昨日起きたとか言ってなかったかな?ディー君のいた村って半日もかからずに着いたっけ?」

「一応、移動手段として考えていた方法を今回使ったが‥‥‥思った以上に早かったとしか答えられないな」


 王城の応接室にて、第2王子グラディの方が予定が空いていたようで、そこで報告しつつも、到着速度に関してのツッコミを入れられてしまった。


 まぁ、仕方がない事だろう。彼女たちなのだからという言葉で、片付けるしかないからな。そう思わないと胃に穴が空くかもしれないからね。‥‥‥ちょっと最近キリキリするが、まだ治せる範囲内と思いたい。


「リリスの箱に入って、ノインが補助しつつ、ルビーに運んでもらったからなぁ…‥‥空を飛ぶ召喚獣に乗って飛んでみたい希望はあったけど、こういう移動方法もあると考えていたからな」

「拙者としては、結構楽な移動方法でござったよ。ノインのジェットエンジンというのも、十分補助になったでござるしな」

「推進力、安定性の確保には、もう少し改善点がありそうですけれどネ」


 空の移動手段として確実でもあるが、ちょっとばかり揺れが酷かった。


 リリスの箱に空気抵抗がかかって、上空だと乱気流とか言うのもあって、結構揺れたからね。



「ルナティアはまだ復活しないのか?」

「グゲェ」


 問いかけると、そばにいたリリスは箱を開けて出て頷く。


 現在、箱内部の方にはカトレアの蔓でハンモックを作り、そこでルナティアを寝かせているが…‥‥どうも揺れすぎたせいで酔ったらしい。


 獣人は基本的に馬車酔いとかには強いそうだが、あの揺れはひどかったからな…‥‥ギリギリ酔わなかったけど、改善すべきだろうなぁ…‥‥




 何にしても、カクカクシカジカと一国の王子に報告しつつ、この問題をどうすべきかという話になる。


 話の内容からして、他国の適正学園での事件でもあるのだが‥‥‥


「‥‥‥その事件って、大体どのぐらい前に起きたのか、わかるか?」

「‥‥‥日付を聞く限り、攫われてから10日は立っていると思うから‥‥‥大体そのぐらいだと思うニャ」


 復活し、軽く自己紹介を改めて行い、ルナティアはそう答える。


「ふむ‥‥‥一国の適正学園の襲撃から10日か。だが、おかしいな」

「おかしいとは?」

「適正学園は、職業を顕現させた生徒たちがその使い道を誤らないように学ばせつつ、その将来もそこで構築する場でもある。国にとっては非常に重要な学園でもあり、万が一があればすぐにでも動くはずなのだが‥‥‥その知らせは来ていないんだよ」


 10日も経過しているのであれば、異常があってももうだいぶ情報が伝わってくるはず。


 でも、その情報がないってことは‥‥‥


「情報が遅れている?いや、そもそも来ていないのか?」

「ああ、そうかもしれない。他国での大きな事件はすぐに各国で伝わりやすくなっていたりするはずなんだ。例としては、以前の帝国の騒ぎのようなのがあるけど‥‥‥それがないってことは、どちらかと言えば意図的に情報を隠している可能性も考えられる」


 そもそも、行方不明者が大勢出るような事件が起きたら、それこそ国を挙げての捜査に乗り出すはず。


 だが、ルナティアの話を聞く限り原因不明であるとか、学園を閉鎖するなどの話はあったが、そこまで規模を大きくするような話もなかったのだ。


 だとすれば、推測できることは一つ。


「国そのものが、その襲撃してきた相手に乗っ取られている‥‥?」

「‥‥‥そうだと思う。情報統制し、そして不自然に他国へ気取られないように工作しているかもしれないし…‥場合によっては、国際問題にもなりかねないね」


 一国の適正学園を襲撃することだけでも大事件だが、その情報が各国へ伝わり切っていないのであれば、被害が拡大する恐れもある。


 国を越えての襲撃がされ、そして攫われれば怪物にされる可能性を考えるとシャレにならない。



「フルー森林国そのものが、その襲撃者たちに乗っ取られているとなると、国内の情勢は外部からだとつかめないかもしれない。父上にすぐに話を通してみるけど…‥‥どうなるかは分からないよ」


 そう言いつつ、グラディは退出し、直ぐに国王の元へ報告に向かった。


 俺たちの方は、説明の詳しい部分などを行わされる可能性があるので、その場に残るように言われたが‥‥‥もしかして、これ相当やばいことになっていないだろうか?


「‥‥‥夏季休暇だというのに、とんでもない大事件に巻き込まれた気がするな」

「なんか、済まないのニャ」

「いや、謝る事はない。原因がその襲撃してきた者たちの方にあるからな」


‥‥‥とにもかくにも、非常に不味い時代になっているような気がする。













‥‥‥そして丁度その頃、その予感は当たっていた。


 まだ中央部、フルー森林国の首都に限られた話ではあったが、それが外部へ漏れ出るのは時間の問題。


 かつては多くの亜人種族が行き交い、人々にとっては一度は訪れたい、目の保養所としても有名だったその陰すら見ることができない状態であった。



「グガアアァァァ!!」

「ゴゲェェェェ!!」

「ジジィィィィィ!!」


 あちこちを闊歩するのは、不気味な色合いをした怪物たち。


 その姿は統一されてはいないが、互いに喰らいあい、そして取り込み、一つへとなっていく。


 もともと不完全な者同士、より完全を目指すために足りないものを捕食し、自身を高めているのだろう。


 さながら、蟲毒などと呼ばれる方法に近く、どんどんその濃密さは増していき、より一層不気味な怪物が出来上がっていく。



 それを創り出した者たちは、既にその場にいない。


 その者たちもまた、怪物たちへ取り込まれたのだから。


 いや違う、創り出したその者たちもまた、怪物たちであり、与えられた命令通りに実行しただけなのだから。


 その地獄絵図は数を減らしていくが、その不気味さはどんどん向上していくのであった‥‥‥‥




事変の早期発見、早期対応。

それができているのであれば良いのだが、どうも嫌な予感しかしない。

というか、話を通したところで、どんな判断をくだされるのやら…‥‥




‥‥‥不気味なその光景は、例えるなら某バイオな災害で舌のやつとか巨大な奴とかそういうものがうじゃッといる感じ。具体的に書くとG指定になりかねないけどね‥‥‥G違いにはこの間出くわしたが。

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