表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
84/373

80 釣れぬものはべつのところから

…‥‥朝食も終え、本日は先に宿題から手を付けることにした。


 夏季休暇とは言え、やはり生徒を休ませるという事はなく、山のように出されている宿題。


 まぁ、一般的な計算系から常識、歴史、言語、あとは各学科ごとで必要な知識を詰め込んだものなど、種類自体は豊富である。


「一般常識系統は、ノインたちの方にも使えるから良いけど…‥‥量が多いなぁ」

「ご主人様、そろそろ休憩なされてはどうでしょうカ」

「そうするよ」


 どさっと置かれている山を処理しつつ、疲れ果ててきたところでノインから飲み物を貰い、ひと息をつく。


 まぁ、流石に一日で全部やってしまえば遊べるかなぁと思ったが‥‥‥現実は甘くなかった。毎日コツコツしないとダメな奴だ、コレ。



 という訳で、一旦今日の勉強は終え、お昼まではまだ時間があるので…‥‥



「釣り道具はこれで良いし‥‥‥母さん、それじゃ行ってくるよ」

「ええ、気を付けてね」


 村の近場にある川で釣りをするために、俺たちは家を出た。









「…‥‥つれないなぁ」

「兄ちゃんもなのー?」


 川に到着し、釣り糸を垂らして30分ほど。


 妹のセラもついてきたので、共に釣りはじめたのだが…‥‥いつもなら数分程度ですぐにかかるのに、なんか今日は釣れ具合が悪い。


「っと、また釣れまシタ」

「蔓だけでも、結構いけますわね」

「ぬぅ、拙者の方はまだでござるな」

「…‥‥落ち着けるのぅ」

「グゲェ、クピゥ…‥‥」


 ノインたちの方を見れば、こちらも釣れ具合はまちまちのようだ。


 ノイン、カトレアは釣れて、ルビーは俺たちと同じようで、ゼネは瞑想するがごとく落ち着きまくって、リリスは箱を閉じて寝ている。


 まぁ、まだまだ始まったばかりだし、慌てる事もないからいいか。


「しかし、ノインとカトレア、お前たちばっかりよく釣れるなぁ。なんかコツでもあったか?」

「いいえ、特にないですわね」

「私の場合は、そもそもこのレーダーで大体の場所を判別できてますからネ。何もない場所を当てることはな、」


ビィン!!

「‥‥‥ン?」


 ピコピコと動かしていたノインのアホ毛が、急にびしっと立った。


「どうした、ノイン?」

「何か今、感知しましタ」


 アホ毛が回り始め、何やら探り始めているらしい。


 と、同時にカトレアたちも何かに気が付いたのか、急に釣りをやめる。


「…‥‥なんか、妙な気配を森の木々が感知いたしましたわ」

「ふむ、あっちの方が騒がしいでござるな」

「嫌な気配が、してきたのじゃ」

「グゲェ…クピィ‥‥‥」


 リリスだけは箱を閉じて熟睡しつつも、皆が警戒態勢を取った。


「兄ちゃん、彼女達どうしたのー?」

「なんか感じ取ったようだけど‥‥‥なーんか、いやな予感がしてきたんだが」


 川の近くの方には森があり、皆がそちらを向く中で‥‥‥



「ゲルッホォォォン!!」

「ブピー!!」


「うわっ!?森から獣たちが飛び出してきた!」

「なんか様子がおかしいの!」


 猪やシカ、その他動物たちが何かから逃げるように飛び出してくる。


 俺たちの横を次々と通過していき、逃げまどうように泣き叫ぶ。



 何かが森で起きて、それで動物たちが逃げまどっているのかと思っていた‥‥‥その時であった。



ズババァン!!

「え?」


 森の木々が急にぶっ飛んで、いや、綺麗な切断面を見せて宙に飛ぶ。


 そしてその飛ばせた何か‥‥‥剣の斬撃のようなものがこちらへ向かってきた。


「ピ‥‥‥グゲェ!!」


 流石に動物たちの逃亡劇の中で目が覚めたのか、リリスが俺たちの前へ飛び出し、自身の箱を閉じてその斬撃を受け止める。


ガッギィィィン!!

「グゲェ!!」

「助かったリリス!!でも‥‥‥一体何が」

「ご主人様、何かが出てきマス!」


 ノインの声に従い、その何かが出てくるのおれたちは見た。


 木々が切り飛ばされ、見開きの良くなった場所から這い出るそれを。



「ギ、ニギャアアアアアアアアア!!」


 咆哮をあげ、大きなかぎづめを振り回し、周囲の木々を切断していく。


 俺たちの方へ、飛んできた斬撃をリリスは華麗に受け止めきる。


 ノインやカトレアたちも各々の攻撃を当てて相殺した。


「な、なんだありゃ!?」


 そこにいたのは、一頭の巨大な虎のようなモンスター。


 だが、この森にそんな凶悪肉食獣とかはいないし、いたとしても精々熊程度のはずだが…‥‥それ以上の大きさを誇っている。


「何なのアレ――――!?」

「『グラウドタイガー』、『ゴールデンタイガー』とか、似たようなモンスターならわかるけど…‥あれ、どう見ても全くの別物だろ!!」


 よく観察すれば、体表がまず違う。


 全体的に細かな血管が浮き出て脈打っており、色合いが物凄く不気味な色合い。


 赤、紫、黒などが入り混じったかのようなおかしな色合いである。


 眼も大きくあり、真っ赤に充血しており、その部分だけを見れば先日のゲイザー以上の不気味さを持っている。


「ン‥‥分析完了。該当モンスターデータはありまセンが、類似データを確認」


 ぐるんぐるんっとアホ毛を回し、警戒態勢のノインがそうつぶやく。


「類似データって?」

「海へ行く前に襲ってきた相手が利用していた、化け物たちと同等の反応デス」

「見る感じ、あれよりも完成度は高そうじゃが‥‥‥」


 その言葉に、俺は思い出す。


 ゲイザー騒動よりも前、馬車で海へ向かう際に襲撃にあった時にでてきた、燃えたら妙な毒ガスのような物を出した化け物たちの事を。


 そう言えばあれば、尋問したら何処かの組織から買い取ったとか言ってたはずだが‥‥‥その詳細までは分からなかったんだった。



 で、今目の前にいる化け物は、どうもその時の奴よりも完成度が高いようで、色々混ざったような色合いはしつつも、一つの個体として目に見えているらしい。


「ニギャアアアアアアアアア!!」


「っと、考えている場合じゃなかった!!」


 ぶおんっと言う音と共に、化け物は大きな爪をこちらへ振り下ろす。


 地面が砕け、同時にその斬撃に沿うようなものが発生し、こちらへ飛ばしてきた。


「相手の詳細不明だし、一旦全員緊急退却!リリス、俺とセラをその中に入れて、後は全員で全速力で運んで逃亡!」

「「「「了解!」」」」

「グゲェ!!」


 任せてというように、びっと指を立て、リリスの箱がグパッと開く。


 そこに俺はセラも一緒に飛び込んで、カトレアの蔓で底まで落ちないようにしつつ、そのまま丸ごと全員で全速力で逃げた。


 流石にすぐに立ち向かえるような相手でもなさそうだし、色々と危ないけどまずは体勢を立て直すのが先決である。



「っと、妨害も忘れずにしておきますわね!」

「そういえばそうじゃな!」


 逃げる前にカトレアが木の根を地面に突き刺し、怪物の足元に大量に生やして動きを阻害。


 ついでにゼネも幻術の魔法をかけ、直ぐには追えないようにした。



「ニャゲギャアアァァァ!!ニャギャアァァァ(タ ス ケ テ)!!」

「‥‥え?」


 箱を抱えてもらい、妨害してもらう中、ふとその声が耳に聞こえたような気がした。


 怪物の声のどこかに、助けを求めるような声が。



 だが、その事を確かめる前に、俺たちは一旦全力でその場を後にするのであった…‥‥




平和に釣りをしている中で、突然現れた謎の虎のような怪物。

咆哮をあげ、辺りを切り裂き、平和を速攻でぶち壊していく。

‥‥‥でも、なんだったんだ?あの叫びは‥‥?


‥‥‥あと、一つ言わせてもらうのであれば、揺れの考慮してなかった。

抱えて奪取してもらっている分、すごい揺れる揺れる揺れおぶぼ…‥‥

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ