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66 海と言えば、どの様な遊びがあるのだろうか

「…‥‥平和だなぁ」


 体の力を抜いて、ぷかぷかと海の上に漂う俺は、そうつぶやいた。


 この海までの道中には、色々あったが、今はこうして力を抜いて気を楽にしていることができる。


 波に揺られてぷかぷかと、のんびりしているこの人時は、まさに安穏の時なのだ。


 

ドォォォン!!

ズッドオォォォン!!

バッシィィン!!

バッゴォォォン!!


‥‥‥そう、例え今、砂浜で爆発とか色々起きていたとしてもね。


「なかなか一本を決めにくいですわ!!ですが、これでどうですの!!」

「甘いデス!その程度一撃で跳ね返せマス!!」

「拙者の尻尾だけでも、簡単に打ち返せるでござるよ!!」

「甘いのぅ、甘いのぅ。弱めてしまえばこともなく出来るのじゃ」


 真夏のテンションというか、海という場所ゆえにおかしくなっているのか、砂浜で今、ノインたちはビーチバレー(大戦闘)を行っている。


 最初は、召喚士学科での召喚獣同士での遊びのはずだったのだが…‥‥いつの間にか、他の召喚獣たちがダウンしており、彼女達だけが残ったのだ。


 あと数名ほど、巻き添えになっているのだが‥‥‥アレは自ら地獄へ飛び込んだので、無視しよう。


「ちょっとやりにくいデス。ならば、この一撃で終わらせましょウ!」


 そう言うや否や、ノインの腕が変形し、大きな3連装の砲になってボールを装填した。


「ふっ、その程度、華麗に返しますわよ!!」


 カトレアの方も、木の根の一部(露出している部分)を地面に突き刺し、砂浜故かいつもの木とかではなく、南国とかにあるようなヤシの木のようなものを生やし、受ける気満々でぶんぶんっと振りかぶる。




「‥‥‥やりすぎだろ」


 海のハイテンションなのか、ちょっと怖いな。というか、彼女達の全力を受けまくって、未だに健在なボールの方がすごいな。


 何にしても、このまま放置してもあまりよくない様な‥‥‥ふむ。


「あー、海水でちょっとしょっぱい。甘いジュースでも飲みたいな」

「用意いたしまシタ」

「…‥‥早っ!?」


 ふと思って、要求を口に出した瞬間、浜辺にいたはずのノインの姿が残像となり、瞬時に俺の真横に出現した。


 海の上に立っており、その手にはいつの間に作ったのか、ジュースを持っていた。


‥‥‥メイドとしての嗜み、ご主人様の要望には迅速に、とかだったか?迅速すぎない?







 とにもかくにも、一時中断され、昼時。


 生徒たちはそれぞれ遊んでいた場から離れ、この浜辺に特設された海の家という名の食堂に集まり、昼食をとる。



「んー、いつもの寮の食堂とは、また違うってのは良いな」

「王国とは特産品が違いますし、釣れたての魚なども使用されていますからネ」


 海だけに、釣りをして現地調達されているのもあるようだ。


 魚のフライ、刺身、叩き、丸焼き、漬物…‥‥漬物の方は、ちょっと違うか?


 それでも、王国では食べることがそうないような料理に、皆が喜んでむしゃむしゃと食べていた‥‥‥その時であった。



ビンッ!

「!」


 突然、ノインのアホ毛の部分が何かに反応して急に立ち上がる。


「レーダーに感アリ!敵性反応が沖合より急速接近デス!!」

「え?」


 当然そう言いながら、ノインはがしっと俺を抱き寄せ、素早くその場からジャンプする。


 その動きを見て、カトレアたちも同様の動きで上に回避した…‥‥次の瞬間。



ばぎばぎばっごぉぉぉぉぉぉっぉおん!!

「「「ぎゃあああああああああ!?」」」


‥‥‥沖合より、強烈な水が放出され、先ほどまでいた場所も含めて、一面を薙ぎ払う。


 かろうじて助かる人もいれば、驚愕して喉を詰まらせてもがく人もいるが、今はそれどころではない。


「なんだなんだ!?今の放水は!?」

「沖合より、接近中…‥‥あれデス!」


 むにゅうっと抱き絞められ、軽くパニックになりかけながらも、ノインの指さした方向に俺は顔を向け、今の攻撃の主犯を目視した。


 海より出ているのは、多くの触手。


 そしてその触手の中心地点にして、陸地に向かっている巨大な目玉のモンスター。


「あれは‥‥‥『クラーケン』ってやつか!?」

「違うようデス。『ゲイザー』と言うやつですネ」


 あ、違った。


―――――――――――――

『ゲイザー』

巨大な赤黒い眼球に、いくつもの触手が付いた、宙や海を漂って移動するモンスター。

一見、単眼生物にも見えるのだが、あの瞳の部分には大量の真っ黒な目玉があり、実は複眼。

眼球の目玉部分の丁度裏側の方に口が存在しており、獲物をその口へ放り込んで食べる。

体長1センチサイズであれば完全に無害な存在だが、30センチ越えから人を捕食する凶悪なモンスターに切り替わる。大体成長に100年ほどかかる。

―――――――――――――


「どうやら、ちょっと亜種的なモノでもあるようデス。通常の攻撃手段は光線なはずですが、あのゲイザーは水を攻撃手段に扱うようデス」

「海洋生活に特化したとか、そう言うやつなのだろうか‥‥?」


 そうだとしても、とりあえず危ない存在なのは間違いない。


 臨海合宿で人が集まっていた、この気配を察知したのか、奴が来たのだろう。


「各自、迎撃用意!!あいつを討伐したほうが良さそうだ!!あと何も言わなくても、あとで生徒会としてとか色々言われる可能性がある!!」

「「「「了解!!」」」」


 見れば、反撃に移れそうな生徒たちは既に武装しており、戦闘に向かない生徒たちはがれきに埋まった人たちを救出しつつ、避難を急いでる。


 俺たちも避難したいが、どうせ生徒会としての役割だとか言われる未来が見えるし、そうなる前にさっさと行動に移すのであった…‥‥

どうせ生徒会でとか言われるだろうし、この合宿の場で遊びたいのに邪魔された恨みも込めて!!

海での戦闘は初めてだが、どうにかなると思いたい!!

…‥いつもより面子が軽装な分、できるだけ相手の攻撃を受けないようにしないと不味そうだけどな!!




‥‥‥後何気に、作者としては初めて「ゲイザー」というモンスターを出した気がする。クラーケンとかオクトパスとかは出していたけど、今回はこいつを選びたかった。目からビームではなく水流なのが残念だけどね。

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