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51 まぁ、これもある意味テストと言えばテストなのか

…‥‥中間試験、前座というべき座学の面でのテスト。


 当日までにディーは今までの勉強を振り返りつつ、自分の苦手な科目などが無いかを確認し、内容を振り返っていく。


 歴史、数学、諜報系のための潜入方法手段、他職業との連携方法、召喚士としての職業の活かし方‥‥‥その他諸々、学んできたこと全ての復習ではあるが、量が多い。


 これでまだ中間であり、夏の長期休暇というべき時には期末テストがある事を考えると、その時にはさらに量が積み重なっていると思え、やや気が重くなる。


 むしろ、テストなんて受けて何になるのだろうかとも思い始めつつも、休日であってもそのテストの時まで復習は続けつつ‥‥‥




「‥‥‥っと、ご主人様、この計算のうち3,4,10が間違えてますネ。計算式はこれで…‥」

「マスター、そろそろお疲れですわよね。目の疲労に聞く果物を今、生産してますわ」

「主殿、頭を使いすぎると暑くなると思って、羽ばたきの風で冷やしているが、いかがでござろうか?」

「御前様、この方法の内、これとこれはちょっと間違えているようじゃ。ここはこの手法が‥‥‥」


「…‥‥何だろう、この状況」


‥‥‥ノイン、カトレア、ルビー、ゼネ。彼女達の支援受けた状態のこの環境、ツッコミどころがあるような無いような。


 いやまぁ、嬉しい事は嬉しいとは思う。


 計算間違いなど教師面ではノインが、環境を整える面ではカトレア、ルビーが、手法系統はナイトメア・ワイトという種族だけあって、様々な方法を持っているらしいゼネが、各自適任すぎる。


 勉強体制としてはかなり良いと言えばいいのだが…‥‥むしろこれで、良い点数が取れなければ色々と申し訳なくなりそうで、プレッシャーが強くなっているような気がする。


「居心地も良いけど‥‥‥ちょっと尽くされ過ぎているような気がするのは気のせいだろうか?」

「そうですカ?召喚獣の身であれば、ご主人様のために尽くすのは当たり前だとは思いマス」

「わたくしも同意見ですわね」

「拙者としては、できれば勉学系よりも体を動かす系統の方がやりやすいでござるけどなぁ‥‥‥その方面が活かしにくいゆえに、できる面で頑張っているだけでござるよ」

「儂としては、御前様に良い点数を取ってほしい親心的なものがあるのじゃけどね。‥‥‥にしても、歴史の方に他国のものもあるけど、少々違うのぅ。一部、改竄して都合よくされているようじゃな」


 なんかさらっと言われたような気がするが、それは聞かなかったことにしよう。


 全員俺が良い点数を取れるようにしてくれているのだし、深く考えない方が良いか。


「この調子なら、座学面は良いけど…‥‥他が気になるよな」

「それはまだ、分かりまセン。先ほど、職員室の方へ潜入しましたが、まだまだ作成中のようでシタ」

「影の方へ潜み、探って見たのじゃが相当悩んでいるようじゃな。今年の召喚獣学科の方は、儂たちのような者がおるし、どの様なテストをすべきかで、胃を数か所痛めた人がおったのじゃ」


 どうやら彼女達を召喚したことで、召喚士学科のテストがどうもややこしくなりそうで、問題を考えにくいらしい。


 教師陣がうんうんと唸りながら作成しているようで、その苦悩の原因となった側としては、非常に申し訳ない気持ちになるのであった。


「‥‥‥あれ?でも今朝から全員、ここにいたよな?ノイン、ゼネ。二人ともいつ見に行ったんだ?」

「ご主人様が集中しておられる間に、素早く見に行きまシタ」

「儂の場合はちょいちょいっと幻術などを使用して見たのじゃ」

「あ、職員室に鉢植えの植物などもあるので、それを利用すればわたくしも探れますわね」

「拙者は外から飛んで、見る事もできるのでござる!」


‥‥‥あー、うん。なんというか、既に職員室全体を見る事ができているのか。


 将来的に諜報などで他国へ向かうとしたら、各自のその調査能力は非常に生かせそうである。


 でもそれって、下手したらカンニング扱いとかされないよね?テストを受ける前に問題を見て、先に答えを用意してしまうのもズルな気がするんだけど。









「おおぅ、ようやく、ようやく定まりそうだ…‥‥」

「長く、苦しい会議であったが…‥‥これでもう、良いんじゃないかな」


‥‥‥ディーが召喚獣たちの能力に関して、不正を疑われそうな可能性に危惧していたころ、職員室横、教師用の会議室では、教師たちが皆笑顔になっていた。


 各学科独自のテスト方法についての、判断基準や点数調整、内容などについての議論があり、長くかかってはいたのだが、今、ようやくその会議が終焉を迎えたのである。


「職業ごとに、そのやれることも変化するし、できれば妥当なところでやりたいが‥‥‥」

「どうしようもない所は、妥協するしかありませんからな。まぁ、例年よりも倒れた教員数は少ない事は、良い事でしょう」

「質の方は悪化しているようだけどね。血反吐は去年はいなかっただろ」

「ああ、学園長が逃亡されてたしな‥‥‥あの人、バーサーカーの職業でもあるはずなのに、こういう事では素早く動き、即座に離脱できているのはおかしいと思う」


 何にしても、各学科ごとの詳細な基準方法や点数の導き出し方、内容の細かな調整など、出来上がったそれらのテストのためのものをみれば、嬉しさで騒ぎたくもなるだろう。


 だが、騒ぐのであればテストの後であり、今は教師という立場として生徒たちへテストという壁を用意し、突破してもらいたいが、その為の力をより見せてもらわなければいけないのだ。


「さてさて、後は内容をまとめたこの魔道具をセットして、各自に配布して‥‥‥」



 テストのための内容などをまとめ上げた、魔道具。


 教員たち用に用意され、様々な記録が詰め込まれたそれを、別の装置にセットし、出力しようとした‥‥‥その時であった。


「‥‥あれ?ちょっと待ってください」

「ん?どうした?」

「これ、何時から記録していましたっけ?すでに記録停止状態ですが‥‥‥」

「あははは、記録はこまめに取っていただろう?最後の方まできちんとやっていただろう!」

「‥‥‥それ、記録用の中身が抜けているんですが、記録できましたっけ?」

「「「「「「え?」」」」」」



…‥‥この記録用の道具は、その中身がなければただの中身の無い空っぽなもの。

 

 セットされていなければ、当然記録用に動かしたとしても、当然中身は全て流れ出している。


 慌てて教師たちが確認し直すと、その中身は会議室の方に置かれていた。


 ただし、中身を見ると…‥‥序盤部分だけ。


 

 どうやら序盤、動作確認のために動かしていたのだが、その時についうっかり中身も確認のために外して、セットし忘れていたのである。


「「「「「「ぎゃあああああああああああああああああああああああああああああ!!」」」」」」



 教師陣、会議内容を思い出しつつ、再度きちんと取り直すということになり、全員絶叫を上げるのであった…‥‥

‥‥‥何やら絶叫が聞こえてきたような気がするが、気のせいだろうか?

テスト勉強に集中した方が良いか。

なんにしても、やれるだけのことはやっておこう!



‥‥‥ところで、勉強休憩する際に、膝枕とかしてくれるのは良いけどさ、この光景を人に見られたら視線で殺されそうな気がするのは絶対に気のせいじゃないよね?

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