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03 気を抜いたら何をしでかすのか分からない

 寮室が改造され、外観以上の広さに改築されてしまったことに、ツッコミを放棄した翌日。


 寮の食堂にて、朝食をとってから学園へ向かい、いよいよ召喚士として本格的に学ぼうと意気込んでいたのだが…‥‥



「‥‥‥なぁ、ノイン」

「何でしょうか、ご主人様」

「お前、俺が起床するまで何していた?」

「メイドとして、起床時の衣服の用意や、予定の確認、あと食堂の調理場に潜り込ませてもらい、ご主人様の朝食を用意しただけデス。ああ、先に言っておきますが、材料はきちんと周囲の方々の朝食と同じ量、同じ材料デス」


 うん、まぁ、それはまだ良い。


 でもね、同じ材料で、同じ量と言っていたけど…‥‥


「ディー‥‥お前の朝食だけ、なんか輝いてないか?」

「気のせいだと思いたいぞバルン。俺だって、予想外なんだからな」


 目の前の席にて、昨日の適正で職業『武闘家』となって喜んでいたバルンが、俺の朝食を見て半目になりながらそう問いかけてきた。


 本日の朝食メニュー‥‥‥パンとスープ、付け合わせにサラダという軽めのメニューであり、他の寮生たちと変わらないメニューであったはずが‥‥‥なんか、キラキラとしたものが付いていた。


「食堂のおばちゃんと言われる方々から許可を戴き、私が用意した鍋で別個に作りましたが、何か問題でもありましたカ?」

「いや、キラキラしている以外は問題‥‥ないよね?」


 何だろう、コノキラキラメニューは。


 取りあえず、他の奴らとメニューはそう変わってないはずなのに、個性的に違っている。



「‥‥‥よし、バルン頼む。ちょっと食べ比べて見てくれ」

「ああ、やってみよう」


 その個性的過ぎる違いに不安を俺は抱き、バルンに食べ比べを頼んだ。


 友人を毒見に出しているようだが、流石にノインが毒を盛る事は無いと思いたい。



「えっと、こっちが普通のパンで‥‥‥もぐ、これはまぁ想定内だな」


 まずは何の変哲もない、寮生共通のパンをバルンが一口食し、そう述べる。


「で、こっちがディーの召喚獣ノインさんのやつで‥‥‥いただきます」


 ぷちっと小さくちぎり、先ほどのパンを飲み込んだ後、そのキラキラ光るパンを口にし、数回ほど噛んだところで…‥‥バルンの目が見開いた。


「もぐぉぅ!?なんだこれ何だこれ!?何がどうなっているんだこれは!?」

「どうしたバルン!!何か不味かったのか?」

「ぜんぜん逆だ!!むしろ何をどうしたら見た目は同じなのに、こんなに味が変わるんだ!?天と地ほどの差というか、舌がこれで肥えてしまってはうけつけなく‥‥‥いや、とにもかくにもうますぎるぞ!?」


 マジか、と思いつつ、俺も恐る恐る食してみると‥‥‥


「‥‥‥うまっ!?何このもっちりふわふわかつ、パンのうまみを引き出しているのは!?」

「普通に作っただけですケド?食堂のおばちゃん方が、朝食時のパンを作るやり方を教えてくれたので、私なりにきちんと再現したはずなのですガ」

「再現できてないよ!!いや、再現と言う言葉への挑戦をしたつもりかお前はぁぁぁぁぁ!!」


‥‥‥同じようなパンの再現というが、全然できていない。


 いや、不味いんじゃなくて、うますぎる。


「ちょっと待てディー!!今のノインさんの言葉を聞くと、このほかの料理も同じなんじゃ!?」

「ハイ?まぁ、大体合っていマス。ご主人様用に作らせていただきましたが、製法は変わらないはずデス」

「このパンの時点で、なんかもう予想できるけど…‥‥バルン、ちょっとそのスープと食べ比べてみるか」

「ああ、そうしたほうがいいかもしれねぇ」


 周囲の寮生たちが何か興味をもった目を向けてきたが、今は気にしている暇はない。


 このメイドがやらかしたというか、その所業を味わうのが先だと俺たちは判断したのであった‥‥‥‥





‥‥‥結論から言おう。スープもパン同様に、劇的変化を起こし、うまみが広がった。


 ああ、語彙が無いのが非常に悔やまれるが、それでもうまいものはうまいのだ。


 その上、普通にちぎっておかれただけの、簡単なはずのサラダまでもが、もはや別物という位の味になっていたのであった。




「‥‥‥ノイン、お前、今度から食堂で調理するのは、俺が欲しい時だけにしてくれ」

「毎日でもできますガ?」

「確かに、毎日食べたいぐらいのうまさに感激して、そこでバルンがうまさのあまり昇天してくたばったが‥‥‥今さら気が付いた、この周囲の目が痛いからな」


 考えればわかる事だったかもしれない。


 全員、ほぼ同い年ぐらいの男子ばかりのこの寮で、メイドといる俺が騒げばどうなるのか。


 人ではなく、メイドゴーレムらしいが、ノインの見た目は美しい女性であり、嫉妬の目が来るのも当たり前だっただろう。


 その上、この朝食までもが別物レベルでのうまさであることが知れ渡り、俺の召喚獣だけが作れる事実を‥‥‥別の視点の男子からしたら、許せるのかどうかという話になる。


 寮に入って早々、既に呪いもかけられ始めてきているような気がしなくもない、強い危機感を俺は抱き始めるのであった…‥‥いや、もう遅いかもしれない。


これ、目を離すとどんな目にあうのか分からない。

メイドの職務を全うしているのは良いけど、色々とおかしすぎる。

メイドゴーレムと言っていたが…‥‥ゴーレムなら製造者いるよね?ツッコミが追い付かないからツッコミゴーレムを召喚させて欲しいと、切実に思えたのであった。



‥‥‥ツッコミゴーレム‥‥‥ここで書いておいてなんだけど、他の作品でも需要あるなぁ。

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