42 ダンジョン調査前準備
‥‥‥生徒会に所属していたがゆえに、森に出来たダンジョン調査班へ組み込まれていた。
幸いというか、今回の調査内容としては、おおよその形をつかみ、どの程度の規模で、どの種類が多いのかなどを調べる大雑把な物で、奥深くまで行くようなことは無いらしい。
とはいえ、ダンジョンはダンジョン。モンスターも沸いており、それだけならまだしもトラップなども自然に仕掛けれられている事もあるようで、場合によっては命にかかわる可能性もある。
だからこそ、その万が一に備えての前準備はしっかりするようにと言われており…‥‥
「で、明後日にきちんと招集されるのは分かっているからこそ、準備をするのも分かるけど‥‥‥」
いやまぁ、この寮の自室がノインの手によって魔改造を施され、かなり広くなっているのは良いだろう。
だがしかし、その広い部屋の中に‥‥‥
「この量、流石に運べないだろうがぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
以前、ドラゴンを召喚できた際に、万が一も考えて作り、結果としてルビーが出てきた後も放棄していたこの広大な部屋。
その部屋いっぱいな道具やら薬草やらに、思わず俺はこれらを用意しちゃったノインたちに、盛大にツッコミを入れて叫ぶのであった。
「まずノイン!!何この道具の山!!色々と見た目的にやばそうなものもあるんだけど!!」
「ええ、ダンジョンは危険ですので、その対策として作成したものデス。小型爆弾、拡散型鉄球、液状炸裂弾、試作小型荷電粒子砲、インスタント居住箱…‥‥とりあえず、用意するに越したことはない武器も含め、ダンジョン内での保存のきく食料品なども用意させていただきまシタ」
「武器が過剰すぎる!!というか、それだけのものどうやってまず用意した!?」
「次にカトレア!!大量の薬草っぽいこれらはなんだよ!!」
「薬草園にて栽培させていただきました、治療用のものですわ。鮮度充分、保存可能、毒・火傷・麻痺・石化・白骨化・肥満化などの状態異常に効くものも多めに用意し、トラップなどの対策にもなりますわね」
「対応するのは良いけど、薬草の匂いが混ざってすさまじいものになっているんだけど!!」
「最後にルビー!!お前の場合これなんだよ!!なんかボロボロの道具ばかりじゃないか!!」
「そうでござるよ。と言ってもすぐに扱うわけではなく、主に投擲用でござるな。綺麗な武器の方がいいでござるが、砕け散るような類なども十分生かせるでござるし、廃棄処分される予定のものを貰い、実質タダなのでござるよ」
「使い道がはっきりしているけど‥‥‥ああもう、ツッコミが追い付かねぇ!!」
…‥‥何と言うか、これだけの量をアッという間に集めてしまう能力とは、少々油断していた。
「そもそも全部持っていけないじゃん!!」
「ポケットに全部入りますので、問題ないデス」
「木の根を利用して、運ぶことが可能ですわ」
「全部持っていけるでござるよ!」
持っていける手段、あるのかよ。
というか、後者二人は良いとして、ノインのそれは流石に無理が…‥‥あ、無いのか。なんか滅茶苦茶大きな道具が、メイド服のポケットの中に入っていくんだけど。
そしてカトレアよ、お前の場合、極太の大木を生やして、その上に乗せて運ぶのか。あ、根っこの部分が地面から出てうねうねと…‥‥なんか間違って別のモンスターに勘違いされそう。
ルビーの方は‥‥‥おおぅ、一括りにひもで何重にもして、巻き付けて持って‥‥‥
ぶちぶちぃっ!!
「「「「あ」」」」
‥‥‥廃棄処分される予定の武器とか、そういうものでもひもを切る程度はあったらしい。いや、先ずその量が多すぎて耐えられなかったか。
とにもかくにも、いやな音を立て、あっという間にガラガラと崩れ落ちていく武器に、俺たちは慌てて避難すべく別室へ飛び込む。
辛うじて逃げこみ、扉を閉めればすごい崩壊音が聞こえてきた、
あのままいたら不味かったと認識させられつつ‥‥‥これだけは、ツッコミもできないが、きちんとお仕置きをしたほうが良いだろう。
「‥‥今までさ、召喚獣たちへのお仕置きとかって、することはなかったけどさ」
「あ、あの、主殿?なんで真顔になっているのでござるか?」
「流石に、これは色々とやばいし…‥‥ツッコミ疲れたからね、ちょっと手を出すよ」
「いやその、なんでござるか、その雰囲気。色々と怖いというか、何と言うか…‥‥」
「ノイン、カトレア。確保」
「了解デス」
「了解ですわ」
「ちょっと待つでござるよ二人とも!?普段仲たがいしまくっているのに、なぜそんなに息が‥‥‥いや、二人とも真顔でござるよ!?え、え、え、え!?」
「…‥‥執行」
「は、話せば、話さえすれば丸く収まるでござるよ主殿!!そのワキワキとする手を抑えて、」
「問答無用だぁぁぁぁぁ!!流石にあの崩壊は堪忍袋の緒が切れるわぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
「ひ、ひぎゃぁあああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」
‥‥‥彼女達も他に色々と用意していたが、流石にノインは全部仕舞い終え、カトレアの方は薬草ばかりで危険性は余り無かった。
ゆえに、今回のような危険事態を出した点に関しては、俺と同意見でお仕置きが必要だと、ノインもカトレアも判断したのだろう。
数分後、仕置きを終え、彼女達が手を離した後には、ルビーは完全にグロッキーとなっていた。
べつにいやらしいお仕置きとかでもないし、ヴイーヴルというドラゴンの仲間の彼女に暴力での仕置きは効き目が薄そうだと考えた末に決めた、お仕置き‥‥‥‥『くすぐり地獄』。
「あ、あふぇ、あふぇ‥‥‥主、殿…‥‥今度からは‥‥‥適量にすひゅでごじゃ‥‥‥る」
ガクッと力尽き、ぴくぴくと痙攣し、物言わなくなったルビー。
少々、やり過ぎた気がしなくもないが‥‥‥うん、こればかりはツッコミを入れないでおこう。
「‥‥‥まぁ、私も今度からは量を減らしマス。崩落の危険性を身をもって学べましたからネ」
「わたくしは、そんな危険なものを用意するつもりはありませんが…‥‥ある程度、自重いたしましょう」
「ついでに言うけど、このくすぐりは彼女用のお仕置きだからな?お前たちの方へする場合は、個人に合わせた方法にするからな」
「「了解」」
ビシっと姿勢を正し、ノインとカトレアは頷く。
彼女達の用のお仕置きも用意しているが、まぁそう使う機会はないと思いたい。
何にしても、ダンジョンへ向けての準備を改めて行うのであった…‥‥
「ところでご主人様、ルビーが完全に白目をむいて気絶されてますが、いかがいたしましょウ」
「一応、寝かせておこう。暴力的なものよりも、分かってもらえる方法としてやってみたが‥‥‥思いのほか、効果があり過ぎると分かったからな」
「普段、気にしない箇所ほど効果があったようですわね‥‥‥」
いつもいつもなぁなぁで収めると思ったら大間違い。
本当にやばい時は、こうやってお仕置きもする必要があるだろう。
‥‥‥しかし、そこまでやばいものだったかな?
‥‥‥まぁ、良いか。気にせずに、今後のお仕置きは少し加減したものにして、改善点を見つけて行こう。




