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37 現実逃避をしたくもなる

…‥‥第2王子が一命をとりとめ、辛うじて息を吹き返していたその頃。


 学園のある首都から離れた森‥‥‥以前、ディーたちがワイバーンの群れに遭遇した場所で、別の事が起きていた。



 森の木々が風に吹かれて音を立て、生息している野生動物たちが動き回っている中、ある一角に変化が起きる。


 最初は微細な振動が起き、感じた動物たちがその場を離れると、次第に揺れは大きくなる。


 だが、その揺れが起きているのはその地面だけであり、次第に隆起していく。


ぼごっつ、ぼごごつ


 地面を割り、現れ始めたのは一つの岩山。


 どんどん地面から突き出していき、森の木々を押しのけて、その木の高さよりも大きく存在感を示し始める。



 ある程度隆起し終え、その岩山の全体が見え始めたそのふもとの岩肌に、次の変化が起き始める。


びしっつ!!


 ひびが入り、次第に広げて…‥‥そして、一気に崩れ落ちると、そこには大きな穴が出現していた。


 中へ続くように、下りの道がある大きな洞穴。


 そしてその穴の中から、いくつもの瞳が光り、外へはいずりだしていく。


 その異常事態に森の動物たちは気が付き、逃げ始める。


‥‥‥気が付いたときには、その森は占拠されているのであった。










「‥‥‥ううっ、危く亡き者にしかけたでござるよ」

「そりゃ、一時は心停止したからな…‥‥心臓に強いショックを与えすぎると、止まる時があるんだったか?」

「ハイ。ですので、再活動をさせるために電気ショックを与え、再び活動させて事なきを得ました」

「爆発アフロになった点は、良いのかしら…‥?」



…‥‥模擬戦の後、王子(グラディ)の手当てを終え、後の事はその手の専門の方に任せた方がいいという事で、医師学科へ引き渡し、ディーたちは寮の自室へ戻っていた。


「というか、ルビー。お前力結構あったんだな」

「そのようでござるな。日常生活は自然となれているゆえに、その辺の加減がまだいま一つでござった」


 見た目は細腕なのに、人を打ち上げるからな…‥‥ちょっと油断していたというべきか。



「ヴイーヴルって種族で、見た目が人に近くとも、ドラゴンの仲間なのには変わりなかったか‥‥‥」

「瞬間馬力も、おそらく私以上デス。単純な力比べですと、おそらくトップかと」

「そこまでのものでもないと言いたいでござるが、現状説得力は無さそうでござるよ」


 とほほほっと、しょげているルビー。


 まぁ、仕方がないというか、アレは不慮の事故だったんだ。


「とはいえ、一応戦闘を行うことがあったとしても、なんとかなりそうなのがはっきりしたからいいか」

 

 いや、ルビー加入前から結構はっきりしてもいたが‥‥‥うん、気にしない方針でいこう。


「とりあえずルビー、戦闘時以外は余り力むなよ?」

「了解したでござる。無駄な犠牲を出したくないでござるしね」


 無駄な犠牲は出したくないよね‥‥‥というか、俺の目指す召喚士としては、各地を放浪し、情報を収集するような諜報系統なのだが…‥‥この面子だと、もしかして戦闘をこなすことも有りなのだろうか?


 ノインなら遠・近距離の対応は可能だったな。何とかカノンとか、砲撃とか、そういうもので遠距離から言力の高い攻撃もぶち込めるし、近接戦もこなせている。


 カトレアの場合は、根を利用した中距離か…‥‥近接戦もできそうだけど、ある程度距離を取っていけるからな。


 で、今回のルビーだと近距離最強クラス‥‥‥火も吐けるし遠距離もできるか。



 そう考えてみると、案外この面子で戦闘時のバランスはとれているだろう。


 でも、戦闘する機会は少ない方がいいかなぁ…‥‥下手すると余計に厄介なことになりかねないだろ。


 うん、絶対に諜報とか、各地を回りつつ戦闘しないように努力したほうが良いだろう。血の池地獄とか、串刺しの森、消し炭…‥‥いろいろ想像できてしまうからなぁ。


「というか、まともなツッコミ役が欲しい…‥‥」


 皇女のツッコミ力もそれなり良かったが、立場も違うし、何時もツッコミを入れてくれるわけでもないだろう。


 もしくは、ツッコミ役というよりも癒しが欲しいというべきか‥‥‥うーむ、難しい問題である。



「はぁ、何と言うか色々疲れたなぁ‥‥」

「でしたら、少し寝るのはいかがでしょうカ。まだ夜まで時間はありますし、軽い仮眠でも結構疲れは取れるはずデス」

「そうしようか」


 ああ、眠る事は現実逃避となって、これはこれで癒しになるのか‥‥‥


 なんとなく精神的に疲れてきているなぁっと思いつつ、俺は軽く仮眠をとる事を決めるのであった。


 あまり長く寝ると夜眠れないし‥‥‥ん?


「何でお前ら、座ってスタンバイしているの」

「ええ、ご主人様は私の膝枕で眠ったほうがいいと思えたからデス」

「いえいえ、わたくしの方が居心地がいいはずですわ」

「拙者の方もちょっと良い感じでござるよ」


‥‥‥仮眠させる気あるのか?


メイド服越しの感触の膝枕か、自然の香りの膝枕か、温かさが充填された膝枕か。

何にしても、寝かせる気があるのかとツッコミを入れたくもなる。

というか、誰を選んでも色々と置きそうなんだが…‥‥誰か、助けてくれ。


‥‥‥ツッコミ・癒し役を検討中。色々な案があるけれども、迷うんだよなぁ。なんでモンスターの種類って結構あるのだろうか。


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