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02 早々にして、自分に足りないものを自覚させられる

ちょっと調子に乗って、本日4話目です。

以降は、前書きはその日に多く掲載した時に乗せます。

‥‥‥召喚成功したのは良い。


 でも、出て来たのが‥‥‥何故に人。


「いや、そもそも人じゃないというか…‥‥えっと、尋ねても大丈夫か?」

「ええ、大丈夫デス」


 ディーの問いかけに対して、たった今召喚できた召喚獣…‥‥と言っていいのかどうかわからない、人のような見た目をした彼女、ノインはそう答えた。


「俺が召喚した、召喚獣でいいんだよな?」

「ハイ。召喚詠唱にて、ノインと名付けられた者でございマス」


 丁寧にそう返されたが‥‥‥何と言うか、こちらとしては予想外。


 小さい時に見た召喚士のような、こう、なんかすごいモンスターなどを夢見てはいたし、現実はそう甘くはない事もそれなりにわかっていたつもりであったが…‥‥



「‥‥‥ディー・ゼロス。それがお前の召喚獣である事の確認はとれたのか?」

「多分、そうです」


 試験官の問いかけに対して、非常に自信ない感じにしか答えられないのであった。


 うん、100歩譲って弱そうなスライムとか、そういう類ならまだよかった。


 でも、出て来たのが‥‥何故、貴族とかに仕えていそうな侍女服なのか、そもそも人間なのか、全然この事態の解決の糸口が見えない。


「ふむ‥‥‥変わった召喚獣を呼んだようだが‥‥‥人型か。今までの召喚獣の中にも、それなりに人に似た四肢を持つ者がいたが‥‥」


 試験官いわく、そういう例があっても、今回のようなのは初めてらしい。


「リザードマン、マッスルゴリィラァ、オークキング、スライムマンなどの例はあったが、どれもこれも人ではない。そして、今回の君の召喚獣も人みたいな容姿をしているが‥‥‥人ではないな?」

「その通りデス。あえて、人に似せるように作られた存在‥‥‥私の正式な種族名称は、『万能家事戦闘人型ゴーレム09』。他にも姉や妹と呼べるようなものがいましたが、今は独り身デス」

「メイドゴーレム?その種族名から察するに、ゴーレムの類なのか?」

「ハイ」


――――――――――――――

『ゴーレム』

人工的に作られたタイプと、自然発生するタイプに分かれるモンスター。

様々な材料で作られており、一般的なものは土や岩、場合によっては金属などで出来ており、基本的にはごつごつとした見かけで、共通して不器用ながらも心優しいものが多い。

召喚士によって召喚されるゴーレムもその類が多く、適正学園卒業後には建築現場や武装して国の守りに就くなどの進路で役立っている。

また、召喚した場合後々自分の好きなように改造することもできる。

―――――――――――――――


「私の場合は、メイド業を主にという事で、このように作られたのデス。ご主人様のために忠誠を誓い、尽くし、できる限りのサポートを行う‥‥‥そういう風に作られまシタ」


 丁寧に説明しながら、こちらに笑みを見せるノイン。


 侍女服を着ているなと思っていたら、まさにその侍女の職業‥‥‥メイドを主に務めるようだ。



 しかしながら、今までの自己紹介の部分で、ちょっと気になる点があった。


「えっとノイン‥‥‥正式名称で、メイドだから『家事』が付くのは分かるけど、『戦闘』は何?」


 メイド業を行うのであれば、戦闘をするようなことは無いとは思うが…‥‥


「メイドゆえに、嗜む事デス。ご主人様の身の安全のために、多少の護身術の修得ぐらいは必要なのデス」

「多少の?」

「ハイ」


‥‥‥メイドって、そういうものだっけ?


 何にしても、その部分が気になるとは言え、今はまだ他の人達の適性検査中。


 ひとまずは、召喚士という事で、召喚士用の学科に入る事は決定し、この場を離れることになった。










 職業顕現も終え、学科も振り分けられた後は、明日の初授業に備えるのみ。


 適正学園はしっかりと生徒たち用の寮を用意しており、寮室を与えられ、そこでこれからを過ごすのだが…‥‥



「‥‥‥劇的過ぎるというか、さっそく何をやらかした、ノイン?」

「ええ、何もありまセン。掃除を行っただけデス」


 与えられた寮室に入ろうとしたところで、ノインに止められた。


 いわく、まずはここで自分の腕前を見せたくなり、部屋を綺麗にするという事のようだ。


 そこで、数分ほど掃除で待たされたが…‥‥終わって入って見れば、そこは劇的に変化していた。


「外と中のバランスが全然取れてないんだけど。明らかに広くなっているよね?」

「空間自体を少々ゆがめ、広く認識できるようにしただけデス」


「ベッドがふかふかなのは良いけど、こんな装飾あったかな?」

「綺麗に整備し直し、ちょっと細工しただけデス」


「こっちに知らない扉ができているんだけど、隣室へ繋がるの?」

「いいえ、そこは私の工房を設置させていただきまシタ。ご主人様の快適サポートのために、道具などを色々作りたいですからネ」


「‥‥‥‥本当にメイド?」

「メイドデス」


…‥‥うん、ツッコミ入れるのはあきらめよう。


 たかが数分、されど数分。


 なにやらギコギコとノコギリの音や、聞いたことがない機械音などがしていたが、任せただけで、寮室が変貌しすぎていた。


 ああ、初日早々に何だこのメイド‥‥‥おかしすぎるんだけど。


 召喚して出て来たメイドは、この時点で相当有能過ぎるというか、ツッコミどころが豊富にあるのに、俺のツッコミ処理が追い付かないほどであった。


 憧れていた職業だったのに、出て来たメイドが予想外過ぎるのは、嬉しく思うべきか、それとも精神的に疲れるせいで悲しく思うべきか‥‥‥‥神がいるならば、答えて欲しい‥‥‥



召喚したのは良いが、何だろうこのメイド。

超人過ぎるというか、ツッコミ許容量オーバー。

誰か、非常にツッコミができる人を召喚したくなった…‥‥

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