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348 しっかりと、今回も容赦なく

「…‥‥まぁ、大体予想は出来ていたけど、楽に片付いてよかったというべきか、それとも直接手を下しきれなかったことに悲しむべきか…‥どうなんだろうな」

「具体的な回答は出せませんが、少なくとも後始末の手間の一部は省けたようデス」


 がしゃんっと武器を降ろしつつ、俺たちは今、今回の騒動を引き起こした元凶たちがいるであろう場所に着いていたのだが…‥‥生憎ながら、そこは既に全滅していた。


 それもそうだろう、こいつらは自分達なら大丈夫だというような謎の「自分だけは安全、大丈夫」というような思考でもしていたのか、亡者たちが出てきていた場所のすぐそばに居を構えていたのだから。


 そのうえ見事に愚者ばかりで危険性も考えていなかったのか、それとも誰か護衛でも雇っていたのか帯刀している様子などもなく、無防備に近い様子で、全てが息絶えていた。






‥‥反魂の術は既に収まり、亡者の軍勢も既にいない。


 それはスカッとした青空に戻っていたが…‥‥心までもが晴れるわけでもないだろう。


「元の状態へ戻したともいえるけど、やっぱりやるせない気持ちはあるな」


 己の父を再び死者に変えさせた、その行為をせざるを得なかった状況にした者たちへ、憎しみを抱いてはいる。


 けれどもこの様子ではぶつけようもないし、ぶつけたところで気が晴れるかと言われれば、そうでもない。


「そう考えると、今回後味が悪いし、せめて後世に憂いが無いように、あちこちの記録の破棄作業をするか‥‥‥」

「残ったままじゃと、また愚行をしでかされる可能性もあるからのぅ」


 血に関しての記述などが載ったものは、全てを闇へ葬り去る。


 ノインお手製ちょっと人の口では言えないような魔道具で記憶から消させたり、少しでも残っている記録を徹底的に消しまくる。


 ついでに今回の騒動で少しばかり穢れた部分などもゼネの聖魔法で浄化したり、スルーズの力をちょっと調整して戻したりと、あちこちしっかりと綺麗にして置くのは忘れない。


 汚すだけ汚した連中が自らの死を代償に逃亡して、その片付けとして動かされているような現状は不満しかないけどね。


「でもまぁ、むかつくのは変わらんな」

「大丈夫なはずデス。姉さん(母さん)から連絡がありましたが、そのあたりは対処できるそうデス」

「どういうこと?」

「死者に関する類には伝手があるようで…‥‥まぁ、あの人はあの人で、とんでもない人脈が多いので、任せていいかと思われマス」


 万が一に備えて世界そのものを破棄する気はあったそうだが、その準備は既に撤去済み。


 とは言え、それでも心配をかけさせられたことから、今回の元凶共へしっかりと対応をしてくれるらしい。


…‥‥本当に、ノインの姉妹機ってとんでもないなぁ。彼女もかなりぶっ飛んでいるけど、その姉妹機の方が更に世界を超えるほどぶっ飛び過ぎているからな…‥‥そう考えると、世界って広いのかもしれない。



 何はともあれ、数日はかかったものの、すべての事後処理は完了した。


 念のために、国王陛下が調べていた血のことに関しても、きちんと王子王女たちからも確認してもらい、その記憶や記録などを消去させてもらった。


 残していても意味ないし、ちょっと変わりものが出てくるような家系という認識になってもらえればいいからね。変に目を付けられても困るからな。


 後は、失われた父の肉体に関して、お墓も荒らされたのもあるし‥‥‥残念ながら、そこは完全に元通りとはいかなかった。


 墓が直っても、棺は空である。


 でも、完全に成仏して逝ってくれているようだし‥‥‥もう、その魂はここには存在しない。


「死者というのは、死後何処かへ旅立つものじゃ。執着もさほどしておらぬようじゃし‥‥‥また、巡り合う時が来るまでお別れになるだけじゃよ」


 自身も死者であるがゆえに、そう口にするゼネ。


 アンデッドにならずに、きちんと逝ったのであれば再びこの世界に新しい命として戻ってくることがあるそうだ。


 たまに迷うような物も出るらしいが、それでも今はほんの少し、お別れをしていると思えば良い。


 そう考えると、まだちょっとは気が楽になるのであった‥‥‥‥




「…‥‥でもまぁ、もう一つ問題が出ているのじゃがな」

「そうですネ。考えてみれば、記憶操作などをして処理できたのは良いのですが…‥‥それはあくまでも、ご主人様の家系に関することですしネ」

「あれ?まだ何か、問題あったか?」

「今回の騒動、世界規模で起きましたからネ…‥‥その貢献に関して、色々と言われる可能性がありマス」

「これもある意味、世界を救ったと言えるからのぅ…‥‥」


「‥‥‥そう言えば、そうじゃん」


 どうしよう、すごい嫌な予感しかしないのだが。


 一応たしかにあちこちの記録も修正、消去したとはいえそれはあくまでも僕のこの家系に関しての事情だけだし、世界全体に亡者の危機があったことは完全に消せるわけではない。


 それにそろそろ、あの国王陛下も退任を決定しており、もう間もなく王子たちへ任せるらしいが…‥‥最後の華としてやらかされる可能性が目に見えてしまう。


「誰か、知らない人が解決してくれたとか言う報告でごまかせないかな」

「無理デス」


…‥‥おのれ、元凶共。終わってもなお、まだまだ迷惑をかける気か‥‥‥!!



後始末模したとはいえ、最大の面倒ごとになった。

ごまかしようが無いし、最後の最後で国王がやらかしかねない。

これまでの経験上、嫌な予感しかしない…‥‥



‥‥‥絶対に何か、しでかされる。

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