表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
355/373

343 せっかくやったばかりなのに

「‥‥‥と言う訳で、どうやら父さんの過去の亡霊と言うような奴らが来ているようで‥‥‥しばらく、安全確保のためにこっち側に来てもらってゴメン」

「あらあら、良いのよ。お父さん、あの人は色々と隠し事も多かったからねぇ、気にしてもないわ。それに、あなたが貰った邸をしっかり目で見たいなぁと思っていたのよ」

「兄ちゃんの邸は見てみたかったけど‥‥‥こういう形で来るとは思わなかったのー」


 邸内の客間にて、ノインが用意したお茶を飲みながらあらあらうふふと母さんは笑い、(セラ)はこの状況になった理由を理解して、既に疲れた様子を見せる。


 ここは首都の方にあるディーの持つ邸であり、最近改装工事もだいぶ終えた拠点でもある。


 卒業後の諜報活動において大事な場所ともなるのだが…‥‥まさか客人と言うか、保護のために家族を呼ぶとは流石に思わなかった。


 いつかは招待したいなぁとは思っていたがなぁ‥‥‥‥



「しかし、お父さんの血の方に、そんなのがあったとは…‥‥なんかもう、兄ちゃんの滅茶苦茶さの原点を見たような気がするかも」

「‥‥‥まぁ、否定しないけど‥‥‥セラ、お前ももしかすると、何かあるかもしれないんだけど」

「‥‥‥うわぁ」


 俺の言葉に対して、想像したのかすっごい嫌そうな顔をするセラ。


 そこまでの顔をされると、なんかこっちの心が痛いのだが。


「まぁまぁ、でもすごいことよ。職業で面白いのが出ている理由だもの。‥‥‥でも、お父さんの血筋に原因があったとはいえ、今更迷惑をかけてくるのも困ったものねぇ。狙ってくる方々、どうにか諦めてくれないのかしら?」

「多分無理だと思うでありんすよ」

「今さらと言う気もするけど、権力欲など欲望にまみれた人は、とことん面倒くさいものを詰め込んでいるのだ」


 母さんの言葉に対し、リザとスルーズが返答する。


 欲望が全部悪いわけでもないが、それでも溺れたが最後、本気で面倒なのはもう分かっているからな。



「念のために、村の方に他に迷惑が無いようゼネやティアにも交代で見回りに行ってもらったけど‥‥‥さて、どうしたものかな」


 手っ取り早いのは、その面倒な輩を一気に潰すことだろう。


 いうのもなんだが、召喚獣たち全員の力を使えばどうにか潰しきることはできるとは思う。


 だがしかし、どうやらそれなりに遠い国のようであり、なおかつまだまだ情報不足なところもあり、下手するとさらに話がこじれる可能性もあるからな…‥‥すぐに動けないのはもどかしい所。


「一応、邸の維持に回していたミニシスターズなども派遣しましたので、情報自体は数日後には入ってくるはずデス。今は取りあえず、備えるべきだと思いマス」

「それもそうか」


 何か行動を起こす前に、しっかりと確認を取っておく必要がある。


 国際問題とかの話になると、それこそ滅茶苦茶面倒なことになるので、今は情報収集を優先するのであった…‥‥






‥‥‥そして一方で、さらなる襲撃に備えてゼネたちはヌルングルス村の方に訪れていたのだが、彼女達はそこで見つけてしまった。


「‥‥‥何やら、ここで騒がしい気配がしたと思ったら‥‥‥なんじゃよ、これ」

「主殿の父上の墓が‥‥‥掘り起こされているでござるよ」


 アンデッドでもあるがゆえに、お墓に関する気配もそれなりに敏いゼネ。


 ゆえに、何か騒がしいと思ったが…‥‥現場を見て、彼女達は信じられなかった。


 自分達の召喚主であるディーの父親が埋まっていたはずの墓場。


 そこは今、その父の墓だけが棺ごと盗まれていたのだ。


「死者を冒涜するような行為とは…‥‥流石に、許せぬな」

「主殿の父上は、拙者たちにとっては義父上であるでござるしな‥‥‥しかし、何故ここを狙ったのかが、わからないでござるよ」


 墓の状態を見る限り、アンデッドが湧き出るような者でもなく、何もかもが成仏している、珍しく綺麗な墓場。


 けれども、この墓の暴かれようには、寄ってきた死霊たちも憤慨しているらしく、何かと騒がしくなっている。


「成仏している状態じゃと、アンデッドにもならぬはずなのじゃが…‥‥わざわざ狙う意味が分からぬな」


 自分のようなアンデッドモンスターにでもするのかと思ったが、アンデッドになる条件は様々なものがありつつ、ディーの父親の死体ではその条件に該当しない。


 であれば、話に出て来た血などを狙ってなのかと思ったが、埋葬されてかなり経過しているのであれば、残ってすらもいないだろう。


「どうにかできそうなのは、ワゼの姉妹機たちとやらぐらいじゃろうが…‥‥それでも、使い道などは考えられぬしのぅ…‥‥先ずは、相談するために戻ったほうが良さそうじゃな」


 報連相をしっかりとして、この現状の原因を突き止めるのが先である。


 自分達にとって大事な人の血を狙うのは分かるが、死体の方を持っていく理由はわからない。


 だが、放置するのは絶対に不味い事だと感じ取るのであった…‥‥‥


「あとは、ココの除霊もせぬとな…‥‥ここまで暴れているのを放置すると、下手するとアンデッド系モンスターが爆誕しまくられかねないのじゃ」

「その光景は見たくないでござるな‥‥‥」


案外早く発覚した、墓の異常事態。

悪霊爆誕祭りとかがある前に抑えるが、それでも何でこんなことをしたのか。

理由は不明だが、直ぐに調査したほうが良いようで…‥‥



‥‥‥何と言うか、面倒事が増してきたな。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ