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31 これもメイドの嗜みなのデス、という説明で納得できるのか

…‥‥ゼオライト帝国王城内。


 かつては帝国の皇族たちが互いの利権を争い、その下につく貴族たちも甘い汁を吸おうと、争っていた場でもあり、帝国の機嫌がある場所。


 そこは今、クーデターによって樹立した、一時的な政権を担う者たちが集まり、会議を行って…‥‥



「ぐぉぉぉぉぉぉぉ!!ぐびぃぃぃぃ!!」

「ごがぁぁぁぁ!!ごごごぉぉぉう!!」

「ずごおおおおおお、ぶべぇぇぇぇ!!」


‥‥‥おらず、室内の灯りは消されており、死んでいるかのようにしつつも爆音のいびきを響かせて、誰もが眠っていた。


 満身創痍とか、まとめるのに疲れたからだとか、そういう理由ではない。


 周囲に散らばる様々な食べこぼしや、こぼれたワイン、脱ぎ棄てられた衣服…‥‥色々な事をやっていたようだが、突如として全員眠り込んでしまったのである。


 そして、部屋の明かりが消えているのは、その眠らせた者たちが原因であった。




「‥‥‥うるさいデス。適量を施したと言いますが、息の根を止めるまでやればよかったような気がしマス」

「ええ、そうですわね。できるだけ被害を最小限に‥‥‥と思いましたけれども、ちょっと甘かったかしら?」


 明かりもない暗闇だというのに、その者たちは暗い室内を楽々と進み、彼らが熟睡していることを確認すると、別室へ向かう。


 厳重な金庫に閉ざされた部屋もあるが、そんなものは彼女達のにとって関係ない。


「この程度の仕掛けなら‥‥‥っと、開錠できまシタ」


 ほんの数秒ほどで金庫が開かれ、中の書類があふれ出す。


「ふむふむ‥‥‥やはりというか、クーデターというだけあって、その資金源に関しての情報もありますネ」

「自由を求めるためにという名目ですけれども、中身はひどいですわね‥‥‥コレ、ほぼ汚職の情報ばかりですわ」

「しかも、ちゃっかり今後の計画書まで入ってますが‥‥‥あの眠っている輩たちが権力を得るための、独裁デス。皇帝を倒して王に成り代わり、今後は気付かれないように税を課して贅沢する気とか‥‥‥腐ってマス」

「その上、裏では非合法な組織なども繋がってますわね…‥クーデターの理由の一つに、その組織とのつながりが、バレそうになっていたというのもあるようですね」


 内容を読む限り、この帝国内で起きたクーデターは、屑が前もって準備していたものを、実行に移しただけに過ぎない代物。


 国民へは都合のいい公約を配布し、政権を担った後は自分たちにとって都合良いものにして、しかも同じような手段を取れないように武器を没収する手立てなど、色々と出るわ出るわの悪行三昧の証拠。


 その上、自分たちの悪行を皇帝たちの支配下によって行われたものだともして、クーデターへの正当性を偽善で固めていたという証拠までもがたっぷりあった。


「ふむ、後はこれをしっかり交付し、真実を知らしめるだけで良いでしょウ。頭が無能過ぎたというよりも、愚か者に任せ過ぎたという事実は残りますが‥‥‥まぁ、戦争どころではないデス」

「それどころか、皇女たちの方の正当性が高まって、戻ってきた時に従わせられるようにもできますわね。いえ、冤罪をかけていたという点でも騙されていたということでごまかす輩もいるかもしれませんが‥‥‥」

「念のために、種絶でもしておきましょうカ?」

「その案も良いですわね」


 ごそごそと動きつつ、証拠の品々を大量に複製していく彼女達。


 そして闇夜に紛れてその場から去り、帝国中にその真実が簡単にまとめられた紙を配布していく。


「‥‥‥一応、前もって皇女から教えられた部屋から、報酬の品も得ましたし、後は野となれ山となれですネ」



…‥‥クーデターを起こした者たちがやらかしたことは、これで明るみに出あるであろう。


 皇位継承権争いでのどさくさに紛れての簒奪劇ではあったが、この件でほぼ確実に信用という者を失い、誰もが付いていくことはない。


 しかもその上、自分たちの正当性を出すために、色々と冤罪をかけていたりした証拠なども明るみになるので、どうあがいてももはや再起不能であろう。


 ついでに、王国へ進軍しようとしていた軍の方にも手を付け、更に軍部の腐敗状態などについても詳細な証拠の数々をばらまくのであった‥‥‥‥










‥‥‥ノインとカトレアが、俺の命令を受け、そろって帝国へ出かけた翌日。


「ただ今、帰還いたしまシタ」

「無事に、終えましたわ」

「‥‥‥早くない?」


 

 ベッドから目覚めると、二人がそろって傍にいた。


 いや、帝国まで往復で結構時間がかかるはずなんだけど…‥‥一晩で事を成し遂げてきたというのだろうか?


「えっと、確か昨日の提案だと、そのクーデターの首謀者たちへの求心力を確実に奪う方法として、不正の証拠などを配布するとか聞いていたけど‥‥‥早すぎないか?」

「ええ、一刻も早く終えて、ご主人様に良い報告をしたかったですからネ」

「余り離れたくもないので、高速で終わらせたのですわ」


 問いかけに対して、胸を張って自信満々に答えるノインとカトレア。


 本当に成しとげてきたのかどうか、ちょっと疑わしいが…‥まぁ、多分大丈夫なのだろう。


「作戦の大成功を確認するには、情報伝達まで時間がかかりますが‥‥‥まぁ、まず間違いなく終わりまシタ」

「指導者としても、社会的にも、人間的にも、色々終わらせてきましたわ」

「前者二つは良いけど、後者のそれ何?」


 なんか余計な事をやらかしたようにも聞こえるんだけど。不正の暴露とかで求心力を失わせ、戦争どころではなくするとは聞いていたけど‥‥‥人間的に終わる要素はあったのだろうか?


 なんとなく嫌な予感もするが…‥‥ひとまずは国同士の争いごとというのもあり、皇女の方と、第1,2王子たちがいるであろう生徒会室の方へ報告しに向かうのであった。



‥‥‥ところで、その不正の証拠とかは置いておくとして、第1皇子の方を聞かない様な?皇女が辿り着いているのであれば、第1皇子とかも居るとは思うのだが‥‥‥追手とかに始末されたのだろうか?



「そのあたりの調査は、流石にできてない?」

「いえ、出来てますネ。いえ、むしろこっちはこっちで大問題でもありましたが‥‥‥」

「何があった?」


 どう考えてもろくな予感しかないのだが、聞きたいような聞きたくないような‥‥‥‥

移動が早すぎるが、ツッコミし切れないので断念。

色々と面倒そうな情報もありそうだが、報告時に聞くべきだろう。

何にしても、案外早く出来たのは良かったことだと思いたい。


‥‥‥ついで相手の武力とかも、工作してダメになるようにしてくればよかったのでは?

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