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328 さぁ、やってみるべきか

 もう間もなく、冬季休暇の時期となるのだが、その前にようやくごたごたも落ち着き、フェイスマスク討伐に関しての話が王城の方であるらしい。


 なので、できればここにノインがいて欲しい所なのだが‥‥‥‥


「‥‥‥それでも、虫食いの状態かぁ」

「そんな感じかのぅ?」

「そうなんだよな」


 時間も経過し、じわりじわりと思い出しつつある。


 なので、もう間もなく呼び出せるはずだが‥‥‥‥それでも、もうちょっと足りなくも思えるだろう。


 ここで無理に召喚せずとも良いのだが、それでも彼女がいないのは寂しく思える。


 暇の期間、ちょっと長くし過ぎた気がするのだが…‥‥それと同時に、彼女がそれだけ俺たちの中にいたというのも実感させられるだろう。




 なぜならば、ノインは俺が最初に召喚した召喚獣であり、一番付き合いの長いメイド。


 次にカトレア、ルビーと増えていったけれども…‥‥やっぱり、全員そろってないと何か足りないように思えるのだ。


「わたくしとしては、あのメイドがいないのはそれはそれでせいせいしますわよ」

「それでも、喧嘩する相手がいなくなって、少し寂しそうでござるな?」

「いや、それはないですわよ。ただ、ぶつける相手がいないというか…‥‥」

「まぁ、付き合いの長さじゃとカトレアも御前様に次いで長いからのぅ」


 そうじゃないとぷんすかとカトレアが反論するが、ちょっと説得力がない。


 喧嘩するほど仲が良いとも言うし、彼女がいなくなって寂しいのは同じなのだろう‥‥‥あ、でも仲が良いわけでもないというのも事実か。とは言え、ライバルがいなくなって残念に思うというような感じにも見えるし、関係性が今一つ分かりにくい。


 けれども、全員ノインがいなくていまいちに思うのは同じ気持ちなのだろう。


 メイドとして陰ながら活動していたようだし、それだけ彼女が皆に深く関わっていたのかが分かってしまう。


「んー、槍や鎧の手入れも、任せていたからな‥‥‥」

「マスターのメイド/でも/鍛冶の技能高い」

「ふわふわの布団、同じようにしても、うまくいかない」


 何かと皆、彼女に頼んでやってもらっていたこともあるんだな‥‥‥‥武器の手入れに、衣服の手入れなどもしていたようだし、陰ながら支えてくれた面もあるのかもしれない。


 そう思うと、ますます召喚したくも思うのだが…‥‥それでも、召喚するための詠唱が足りない。


「と言うか、本当にあとちょっとでもどかしいし、けれどもどうにもならないし‥‥‥これはこれで、もやっとするんだよなぁ」

「ふむ…‥‥ダーリン、だったらいい案があるでありんす」


 っと、ここでふとリザが提案してきた。


「召喚のための詠唱は、ある程度は把握できているのでありんすよね?」

「そうだが?とはいえ、虫食いのごとく抜けていたりするよ」

「だったら、他の皆を改めて召喚しなおして、そこからヒントを得るのもどうでありんすかね?詠唱はすでに比較済みでも、実際にやってみるのと比べると、色々と違うかもしれないでありんすよ」

「‥‥‥それもそうか。だったら久しぶりに、全員、全詠唱ありの正式な召喚で動いてみるか」

「「「「賛成!」」」」


 何かと省略して行うこともできるけど、初めて読んだ時の詠唱文を改めて口に出して言うのも良い手段かもしれない。


 頭の中で読んでいてもわからないし、全員をここで改めて召喚し直せばわかるかもしれない。


 なので、本日は休日でもあったので、場所も考えて国から与えられている邸に向かい、そこで行うことにした。




「‥‥‥それじゃ、やるけど、全員準備は良いな?」


 問いかけて見れば、全員同意して頷き合い、召喚の心構えはできているようだ。


「というか、これだけの人数が召喚され直すのは、それはそれで面白い光景になりそうニャ」

「興味ありますしね。どのようになるのか、見てみたいわ」


 ついでにルナティアとアリスも来ており、全員の召喚し直し現場を目撃しに来たらしい。


 観客は少ないが、別に多くいて欲しいわけでもない。


 今回はノインの再召喚のヒントのためにやるだけだし、そこまで目立つ必要はない。


「なら、やるぞ!!召喚した順番にやっていく!!」


 ノイン、カトレア、ルビー、ゼネ、リリス、リザ、アナスタシア、レイア、ティア、ルン、スルーズ、セレナイト‥‥‥今回はノインがいないのでカトレアから行うが、改めて全員の召喚を思い出すと、普通は一人一体の召喚獣の常識をぶち破っている自身の異常性を改めて思い知らされる。


 まぁ、半分近くは契約召喚によるものなので、どこでとかそう言う点が分かっているが…‥‥それでも、やってみるに越したことは無い。


「カトレアの方は‥‥‥うん、確か追われていた時だったな…‥‥」


‥‥‥野外での授業中の、ワイバーンの群れの襲撃。


 ノインだけでもできそうだったが、それでも厳しいのでイチかバチかと思って試した時のもので、内容はしっかりと覚えている。


「‥‥‥『来たれ、来たれ、この地に来たれ』」

「『汝は常に、我が元へ、この地に根を張り、すべてに芽を向けて従え』」

「『我が命を受け、発芽し咲き誇れ、さすれば汝に名を与えん』」

「『さぁ、さぁ、さぁ、顕現せよ、汝に与えし名はカトレア!!我が元へ来たまえ!!』」


 詠唱し、魔法陣が出現し、そこから改めてカトレアが出現する。


「わたくし、召喚主様(マスター)の呼びかけに答えましたわ!」


 正式な召喚も、中々久しぶりとは言え、全員誰がどう呼ばれているかはわかるらしい。


「うん、問題ないようだし…‥‥続けていくぞ!!」


「『来たれ、飛来し、我が元へ』」

「『汝は常に、我が元へ、秘宝を守り、収集していくもの』」「『我が命を受け、加護を与えるモノとなれ、さすれば汝に名を与えん』」

「『さぁ、さぁ、さぁ、顕現せよ、汝に与えし名はルビー!!我が元へ来たまえ!!』」


「了解でござる!!拙者召喚主様(我が主殿)の呼びかけにただ今推参!!」


 ぐるんぐるんと回転して飛び上がり、すたっと着地して格好を決めるルビー。


 テンションも高いようだが、これはこれで面白いのでありだろう。


「と言うかそもそも、ルビーの召喚の奴は、ドラゴン狙いだったなぁ…‥‥まぁ、今はセレナイトがいるから問題ないけどな」

「ピャァァイ!」


 ドラゴン狙いで、一応種族上では仲間のヴイーヴルだったからな‥‥‥‥これはこれで、面白い出会いだったかもしれない。



「それじゃ次は‥‥‥『来たれ、冥界のものよ、我が元へ』」

「『汝は常に、我が元へ、死と破滅をもたらし、生者に死を与える者へ』」

「『我が命を受け、敵となりし者たちへ滅亡を絶望を、さすれば汝に名を与えん』」

「『さぁ、さぁ、さぁ、顕現せよ、汝に与えし名はゼネ!!我が元へ来たまえ!!』」


「うむ、これからもよろしくのぅ召喚主様(御前様)!儂、ここに見参なのじゃ!」


 ぶわっと召喚陣から煙を出させつつ、姿を現すゼネ。


 彼女の場合は、ダンジョンマスターをやっていたが、たがいの利もあって契約召喚したっけな…‥‥


「そう考えると、契約で召喚した初めての召喚獣ともいえるな…‥‥でも、あの時は骸骨のような見た目だったのに、なぜこうも肉が付いたのやら」

「言い方、下手すると悪口になるからやめておくのじゃ」


 あ、ゴメン。でも、言われてみればそうかもな‥‥‥‥考えたらここで、俺の召喚って既におかしかった気がするのだが…‥‥うん、気にしないほうが良いのかもしれない。



「気を取り直して、次は‥‥‥『来たれ、甘きものよ、我が元へ』」

「『汝は常に、我が元へ、詰め込むものを、喜びへ変える者へ』」

「『我が命を受け、ふりまけその喜びも快楽も、さすれば汝に名を与えん』」

「『さぁ、さぁ、さぁ、顕現せよ、汝に与えし名はリリス!!我が元へ来たまえ!!』」


「グッッゲェェ!!」


 呼ばれたよ!と言うように蓋を開け、ピースして登場するリリス。


 彼女の場合は、元は小さなミミックだったのに、何故かはこのサイズアップと幻のはずの体が実体化しているからな…‥‥それはそれで今となってはいい思い出である。


「と言うか、何故ピース?」

「グゲェグゲェ」

「あ、テンション高めでやっているなら、これが良いと思ったのか」


 うん、なんか楽しくなってきたというか、全員の召喚をこうやって改めてやると、少しづつノインの召喚のための詠唱を思い出してきたように思える。


 ちぐはぐだったパーツが集まって来たというか、これはこれでいい刺激になっているというか‥‥‥案としては確かにいい案だったかもな。



「ならば、提案した言い出しっぺを呼ぶぞ!!!『来たれ、癒し手のものよ、我が元へ』」

「『汝は常に、我が元へ、悪しき者なら、砕く者へ』」

「『我が命を受け、癒し砕き祝福し滅亡させよ、さすれば汝に名を与えん』」

「『さぁ、さぁ、さぁ、顕現せよ、汝に与えし名はリザ!!我が元へ来たまえ!!』」


「ふむ、わっちの番でありんすなぁ、召喚主様(ダーリン)。中々良い刺激になっているようでありんすしね」


 元は酒を作れた蛇だったが、人の体が生えたリザ。


 液体を酒に変える力は健在であり、最近ではさらに新しい酒も生み出したそうだが…‥‥もうちょっと先で、飲む機会が欲しい所。


「ノインを呼びだせたら、祝杯を挙げるか…‥‥そのための酒、頼むよ」

「わかっているでありんすよ♪」


「なら、次は彼女だな。『来たれ、我がモノ、氷結の者よ』」

「『汝は常に、我が元へ、全てを凍てつかせ、氷獄の者でもある』」

「『我が命を受け、風と共に参れ、さすれば汝に名を与えん』」

「『さぁ、さぁ、さぁ、顕現せよ、汝に与えし名はアナスタシア!!我が元へ来たまえ!!』」


「うん、召喚主様(マイロード)に呼ばれ、ここに登場。雪の降る季節でパワー上昇!」


 冬季休暇も目前となり、季節的には彼女の力も上昇する頃合い。


 雪が降ればさらにハイテンションだが、寒くなって来るだけでも、活発化はしているらしい。



「そして次は、ノリで呼んじゃった奴だったか…‥‥『来たれ、破滅と、混沌の者よ』」

「『汝は常に、我が元へ、全てを薙ぎ払い、制圧するものでもある』」

「『我が命を受け、覇道を見せ忠誠を誓え、さすれば汝に名を与えん』」

「『さぁ、さぁ、さぁ、顕現せよ、汝に与えし名はレイア!!我が元へ来たまえ!!』」


「ノリなのは正直すぎると思うのだが…‥‥まぁ、良いか。召喚主殿(マイロード)へ忠誠を誓うのは、変わらぬ某は、ここに推参したぞ」


 …‥‥うん、確かにその場の勢いとかで、呼んじゃったからなぁ。まぁ、でもこれでも真面目な部類だし、召喚獣たちの中ではツッコミどころが少ない貴重な存在か。


 そう考えると、ツッコミどころが多い面子ばかりなのもなぁ…‥‥ツッコミ過労死はしたくないし、考えるのはやめておこう。


「さてと、大分後半に入って来たけど、続けてやるぞ。‥‥‥『来たれ、蒼く、流れゆく者よ』」

「『汝は常に、我が元へ、大海に覇道を唱え、蹂躙する者でもある』」

「『我が命を受け、何もかも喰らい尽くせ、さすれば汝に名を与えん』」

「『さぁ、さぁ、さぁ、顕現せよ、汝に与えし名はティア!!我が元へ来たまえ!!』」


召喚主様(我が君)に呼ばれ華麗に登場だぜ!!」


 ざっばぁぁぁんっと、この場のノリに合わせて水魔法と共にティアが現れる。


 元々はハイガドロンと言う巨大なサメのモンスターだったのになぁ。よくもまぁ、それをこの形に圧縮できるとは思わなかったな。


「そして元は呪いの魔剣でありつつ、解き放たれた‥‥‥‥『来たれ、輝き、声を上げる者よ』」

「『汝は常に、我が元へ、その刃を持って、天にいたらんとする者でもある』」

「『我が命を受け、何もかも斬りつくすがいい、さすれば汝に名を与えん』」

「『さぁ、さぁ、さぁ、顕現せよ、汝に与えし名はルン!!我が元へ来たまえ!!』」


「‥‥‥召喚/確認/召喚主様(マスター)


 剣に添えて、実体化した剣精霊の姿になるルン。


 邸の呪い部屋から生れ落ちつつ、この面子の中では彼女が2番目に若かったりするしなぁ。


 今はもう、セレナイトが一番若いというか、まだ1歳にもならないからな…‥‥記録と言うのは常に塗り替えられるのだろう。


「後は、『来たれ、古のものよ、我が元へ』」

「『汝は常に、我が元へ、傾国の者を、富を満たす者へ』」

「『我が命を受け、大地を富ませよ生き返らせよ、さすれば汝に名を与えん』」

「『さぁ、さぁ、さぁ、顕現せよ、汝に与えし名はスルーズ!!我が元へ来たまえ!!』」


召喚主(旦那様)に呼ばれたが、改めて順番に召喚されると、わらわって結構新参なんじゃよな‥‥‥‥まぁ、時間は皆よりも過ごしておらぬとはいえ、それでもこれはこれで居心地が良いのぅ」


 巨大な狐の姿で現れるかと思えば、人の姿の状態で現れるスルーズ。


 今はもう許してはいるが、正直言って姿が変わったのは反則だと思った時があったからな…‥‥まぁ、それはそれで彼女の個性であれば別に良いとは思う。


「最後には『来たれ、反転せし邪のものよ、我が元へ』」

「『汝は常に、我が元へ、理に対して流され抗い、天へと挑む者へ』」、「『我が命を受け、月夜に表し守護するものへ、さすれば汝に名を与えん』」

「『さぁ、さぁ、さぁ、顕現せよ、汝に与えし名はセレナイト!!我が元へ来たまえ!!』」


「ピャァァイ!!一番最後、パパに呼ばれたよー!」


 ことばも覚えながら、巨大な巨体を震わせるセレナイト。


 これで大体全員を呼んだけど…‥‥うん、改めて召喚し直したのは良かったかもしれない。



「というか、基本的に勢いでやれたか…‥‥うん、できるな」


 ちぐはぐだった虫食いの詠唱。


 けれども、こうやって何度もやったことで刺激され、ようやく思い出せる。



「長い暇はもう終わり、今日からまた頼むぞ!!‥‥‥『来たれ、我がモノ、異界の者よ』」


…‥‥これが初めて彼女を呼びだした詠唱。


「『汝は常に、我が元へ、命じるままでもあり、自由を求める者でもある』」


 そして内容を改めて考えると、自由を求めるとあるけど、基本的にメイドとして働き、それは少なかったようにも思える。


「『我が命を受け、浮かび上がれ、さすれば汝に名を与えん』」


 けれども、一生懸命働くこともまた、メイドとの嗜みと言って喜んでいたりするし‥‥‥今にして思えば、これも運命だったのだろう。


「『さぁ、さぁ、さぁ、顕現せよ、汝に与えし名はノイン!!我が元へ来たまえ!!』」





――――――魔法陣が出現し、発光していく。


 そして黙々と煙を上げつつ、人の影を表し…‥‥そしてようやく、暇を終えた彼女が戻ってきた。


「ええ、長い暇でしたが…‥‥今日からは、またメイドとして、就職いたしマス。これからもどうぞ、よろしくお願い今しますね、ご主人様(召喚主様)

「ああ、お帰りノイン。そしてまた、頼むぞ」


 時間はかかったが、それでも彼女は戻って来てくれた。。


 ああ、ここまで数多くあったが、それでも後にも先にも、彼女が俺の一番最初の召喚獣であった事実は変わらないし、関係は進めどもやっぱり彼女は彼女なのだ。


「それじゃノイン、早速で悪いがお前の再召喚祝いの場を作ってくれ!」

「了解デス!!」


 復帰早々仕事ではあるが、それでも久しぶりに働けることが嬉しいらしい。


 何かと冷静な表情が多いノインでもあるが、それでも今日は特別と言わんばかりに笑顔になっており、祝宴を皆で上げる場をすぐに整え、喜び合うのであった…‥‥‥



「というか、暇の間って何やっていたんだ?」

「色々とデス。まぁ、ちょっとあのバケモノ関連でごたごたしてまして‥‥‥‥でも、ようやく片付きましたし、その話しは後でしますネ」









ちょっと時間はかかったけど、これにてようやく全員集合!!

改めて召喚を見直すと、色々あったんだなぁと思ってしまう。

さてと、またいつもの日常が始まるが…‥‥その前に、まずはフェイスマスク討伐での話題にようやく移れるかな?



‥‥‥ノインの暇中の話も色々と考え中。

作者側の事情で間は色々空いたりしているけれども、ちょこちょこ出したい。

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― 新着の感想 ―
[一言] …神様にクレーム(物理)いれてたんかなぁ…?
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