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325 バケモノ

連載して一年を経過しました。

今後も、何卒宜しくお願い致します。

―――ズゥゥゥゥン!!


「「「「!!」」」」


‥‥‥大きく地面が揺れ動いたかのような音がして、ディーたちは攻撃の手を一旦止める。


 いや、既に相手はおらず、今は組織の者達が抵抗のためにか出してきた怪物たちを薙ぎ払い始めたばかりなのだが‥‥‥突然響き渡ったその音に、何事かと警戒を強める。


 全員が装備品を素早くチェックし、この振動によって生まれたほんのわずかな間に万全の態勢をとる。



 仮面の組織フェイスマスクだって馬鹿ばかりではないだろうし、本拠地であればそれだけ守るために、最終兵器と言うべき様なものがあってもおかしくはないだろう。



 そう思いながら何事かと様子を見れば、フェイスマスクの本拠地のある地点を中心に、地面が砕け始める。


 まるで、何かが地下から出てくるかのような、落盤をしているというか…‥‥大穴が空き、そこに敵も味方も関係なしで飲み込まれていく。


「全員救助態勢へ!!人命を優先する!!」

「「「「了解!!」」」」

 

 明らかに何かが地面の奥深くから出てくるようだが、ソレの巻き添えには遭いたくはない。


 そして巻き添えになっている人々を見捨てることはできず、素早く全員で救助に移り、安全な場所へ運び出す。


 大空を舞って吊り上げ、駆け抜けて引き上げ、武器の反動で後進し、各々ができる救助手段を用いて地下へ堕ちようとする者たちを救い出す。


 ああ、だが念のために言うのであれば、この落盤騒ぎついでに、怪物たちを落とすのは忘れない。


 こちらの手を下す前に、落下させたほうが処分しやすかったようで‥‥‥‥大方救助できたところで、地下からぶっとい光の柱が天へ上った。




ドオオオオオオオオオオン!!


 ただの光の束ではなく、ノインの光線銃などのように熱量を持った攻撃のような、光の柱。


 禍々しい色合いであり、まるで何か邪神でも誕生したのかと思ったが…‥‥その予想は外れていなかったらしい。



「‥‥‥警報発動。センサーで感知しまシタ」

「何をだ?」

「強大なエネルギーを確認…‥‥数値計測不明。データ上では神に及びそうな、それでいて成れないような、混ざった存在を確認できまシタ」


 ノインのアホ毛がこれまでにないほどぐるぐると激しく動き、救助態勢から戦闘態勢へ移行する。


 腕が素早く変形し、ありとあらゆる武器を取り出すが…‥‥どうやらその警告通りのものが出てきたようだ。




【じゃげばぁ…‥‥‥ぐがなぁぁあぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!】


 光の柱が消えうせ、地上に這い上がって来たのはまさに邪神と言うべき様な存在。


 神になり損ねた成りそこない、いや、まがい物なのだろう。


 フェイスマスクの目的に、人知を超えた代物を生み出すようなものがあったはずだが…‥‥確かに人知を超えた代物のようだが、これはその方向性が酷い方向になっていると言いたい。


 いや、超えたのではなくむしろ無理やり捻じ曲げたかのような…‥‥あってはならない存在だと、俺たちは全員感じ取る。


 この世界に生きる者として、否定するしかできない存在。


 それはこの世には出てはならず、あってはならず、できてはいけない存在なのだろう。


 


‥‥‥天使と言うようなものはいるらしいが、それを醜悪に改造した姿だろう。


 翼は純白ではなく混沌とした色合いであり、所々赤黒い血管が浮き出ている。


 体全体が溶けているかのような容姿でありつつ、中途半端に無理やり固めたかのような、腐る一歩寸前のような容姿であり、悪臭が漂う。


 そして何よりも、その大きさは異常なほどに大きく…‥‥全長50メートルほどなのだろうが、ぽっかりと穴が開いているというか、深淵のようなくぼみからは狂気すらも感じ取れる。


【ぐがらぎゃがあああああああああああああああああああああああああ!!】


 咆哮を上げ、自身の誕生を祝うかのように言っているが、その叫び声は最悪のものだ。

 

 ドロドロと固まっていたはずの肉体から液体がしたたり落ち始め、それが落ちたところから地面が腐食していく。


「‥‥‥これまたなんて、醜悪なものを生み出したんだよ」

「‥神になり損ねたまがい物で…‥‥これが本当に救いようのない物でしょうネ」


 こんなものを見ると、まだ裏切っていた人たちの方が救いようがあるように見えるだろう。


 と言うか、救いようがないと思わせるほどの代物を、その概念を与えるほどのものがあるなら、もう少しいい方向へ生かしてほしかったようにも思えるだろう。


 けれども、それはもうできないことであり、そして長きにわたるフェイスマスクとの争いはこれで最後だとは感じさせる。


 そして同時に、これに負ければそれこそ最悪の始まりだということが理解でき、この世にあってはならない存在を放置できないとも感じさせる。


「全員一斉攻撃用意!!目標、あの怪物を…‥‥なりそこないの怪物、いや、神ですらない真の化け物として名義上『バケモノ』と定義!!奴をこの場で消滅させろ!!」

「「「「了解!!」」」」


 バケモノという言葉を体現するのは、まさに目の前の相手だろう。


 そのままのひねりが無いようだが、一番シンプルでかつそれ以外が見当たらないような真の怪物。


 格はこれまでの怪物以上だと理解しつつも、終わらせるために俺たちは戦闘し始めるのであった…‥‥






バケモノ‥‥‥それが一番当てはまる言葉であり、それ以上のものがない。

モンスターも、怪物すらも凌駕する、あってはならない存在。

討伐できれば終止符を打てるだろうが…‥‥




‥‥‥もっと捻ったのもあったが、それでもこれが一番いいかなと思った。

わかりやすく、なによりも本当にバケモノなのだから…‥‥

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