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322 とはいえ、油断できぬものはちゃっかりと

色々と忙しくて更新頻度が遅れてますが、それでもできるだけ空けないようにしたいと思います。

何かと不便でしょうが、ご了承お願いいたします。

‥‥‥フェイスマスク討伐作戦は、着々と各国の間で練られ始める。


 これまで散々あちこちで活動され、迷惑な事ばかりを引き起こされ、中には一国が限界までガタガタにされた例もあり、ここで徹底的に潰さねばいけないという危機的意識はどこの国も有しているようである。


 そのため、危険性をしっかりと認識した国々は協力し合い、潰すための作戦を練るのだが‥‥‥残念ながら、すべての国がその意識を有しているわけでも無かったりした。


 組織の存在を甘く見る者、むしろ自分達がその技術力をうまく扱えるという者、そして何よりも、組織の目的に感化され、自分達もその目的を果たしてみたいと夢見る者‥‥‥‥そう言った者たちが出てしまうのは、どうしても防ぎようがない。


 人の思考というのは、個人で色々と違うのであり、全てを統一するのは不可能に近いがゆえに、そのような者たちが出るのだろう。


 それに、その思考に対して付け込む事に関しては組織の方が得意分野でもあり…‥‥だからこそ、欲望に負け、罠にかかるような輩が出るのも無理はなかった。








「‥‥‥そんなわけで、一部の作戦が漏れているようデス」

「その情報は確かなのか?」

「ハイ。シスターズの調査によれば、フェイスマスクへ内通している者たちの情報を入手できまシタ」


 愚かしいと言うか何と言うか、欲望に見事に敗北し、フェイスマスクの傀儡になろうとしている者たちの情報が、ディーたちの元へ入ってきた。


 先日、ノインの姉でも母でもあるワゼと共に、この世界に来訪してきた姉妹機‥‥‥数多くいるので、総称してシスターズというようだが、そのシスターズからの連絡により、内通者たちが存在していることが発覚したのである。


「欲望に負ける者もいるのだな」

「愚かしいのぅ‥‥‥甘い汁を吸えると思っていても、逆に吸い尽くされる立場にいるとは、わかっていないようじゃな」


 スルーズにゼネが、その情報を聞いて、飽きれたように口にする。


「無理もないぜ?自分達に力を与えるとかうまいものがあるとそっちへ行きたくなるやつがいても、おかしくはないじゃん」

「でも、限度がありますわ。はぁ、まったく面倒な方々が出るのは防ぎようのない事なのかしら?」

「やろうと思えばやれるでござろうが、各国の足並みが揃いきるという訳でもないでござるから」


 フェイスマスクからの欲望に負け、何かとやらかそうとしている者たちは現実が見えているのだろうか?


 この作戦が成功しなければ、根絶する機会が失われる可能性も非常に大きく、最悪の場合はそれこそ世界の危機になるような怪物を生み出されてもおかしくはないのだ。


「それだけ、わかっていない人もいるのだろうな」

「愚か者/どうしようもないもの/切り捨てる方が早い」


 全員同じ意見であり、こうなってしまっては内通者たちを完全に切り捨てるしかないだろう。


 逆に利用して、二重スパイのようにとかできないかと思ったりもしたが…‥‥そもそも、そんなフェイスマスクに乗ってしまう時点で、何かと救いようがないのかもしれない。


「何にしても、作戦に支障が出るのは困るな…‥‥ノイン、そのあたりはどうにかできるか?」

「シスターズは隠れて調査してますので、表立って妨害するのは無理でしょウ。ですが、誰がどう裏切ろうとしているのかという情報がありますし…‥‥公開するのも手でショウ」


 情報を集めた分、証拠もついでのようにわんさかあふれているようで、出すところへ出せばすぐに内通者たちは処分されるだろう。


 けれども、作戦が漏れていたという事実は変わらないし、ここで一気に処分されても相手が感づいて隠れられても困る。


 どうしたものかと考えたいが…‥‥そもそも俺たちはそこまで全部を見る事も無いだろうし、討伐に参加するだけで、政治的な動きなどにされてもどうしようもない。


 それこそ、後始末の方が大変だろうし‥‥‥‥さて、どうしたものか。


「‥‥‥いっその事、完全に見捨てるか」

「それが最善策でショウ」


 命を奪うことになりかねないが、やらかされてしまったのは変わりない。


 情状酌量の余地もない、自分の欲望のために動き、利用されている傀儡であれば、どうしようもない。


 国に流して切り捨てても、また将来的に似たようなことをやらかされる可能性もあるからなぁ…‥‥この機会に思い切って、全ての膿を搾りだしてしまった方が良いのかもしれない。


 そう考え、どうするべきか召喚獣たちと話し合い、俺たちはとある方法をとることにした。


 念のために、国の方にも提案しつつ、さらに細かい調整を行い…‥‥今回の作戦が行われる国々も含め、全部で共通して膿抜きをすることになった。


「まぁ、相手にとっては排除される恨みを向けてくるだろうが…‥‥そんなの、俺たちには関係ないからな」


 負けたのであれば、大人しく負けていて欲しい。


 逆恨みをして手を出されかねないが、そもそもそちらが先にやらかしたことなので、文句を言われるような筋合いもない。


‥‥‥そもそも言えるような状態にならないだろうが…‥‥念には念を入れて、徹底的に排除する作戦を進展させ、より効率よく出来るようにしておく。


 相手はフェイスマスクに、その他内通者と増えただけであり、根絶するのは変わりないし…‥‥面倒なことが増えたけれども、今更一つや二つといったところで変わらないので、作戦に混ぜ込むことで気にしなくなるかと思うのであった。



「にしても、根絶作戦後の方が怖いな…‥‥」

「ん?どうしてなのだ?」


 討伐作戦だけど、徹底的にやるなら根絶作戦と名を変えつつ、ふと俺はある事に気が付いた。


「ここで下手に功績を上げると、なんかまた国王に投げられそうでな‥‥‥‥面倒事を全力投球していた仕返しをさせられそうなんだよなぁ‥‥‥‥」


‥‥‥うん、できるだけ目立たないようにしたいけど、なんか無理な気がする。


 それならいっその事、堂々とやってしまって心構えを作っておくのが良いのかもしれない…‥‥できれば褒賞とかは、単純にお金でやってほしい。稼げるけれども、表向きにあまり目立たずにできそうな褒美はそれぐらいだからな。


 でもあの国王、フェイスマスクより厄介というか、斜め上な発想を出してきそう‥‥‥‥


どこの世界にも、裏切り者になる者はいるだろう。

裏切ったという事ですらなく、自分のためだけに動くというのもあるだろう。

けれどもその欲望は愚かすぎるがゆえに、すぐに見つかりやすく…‥‥そして、排除しやすくもあるのだ。



‥‥‥何かと過去の方で色々と学んでいる分、作戦でド派手にやったほうが良い気がしてきた。

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