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304 これでなければ良かったのに

「ギュルグッガァァァァア!!」


 あちこちに付いている魔道具が発光し、ドラゴンの体の各部位が開いた。


 そこには穴が幾つも空いており、そこから不気味な光線が周囲へ放たれる。


ビュバァァァァ!!

「っと光学兵器の類のようですが、これな対処は楽デス」


 ノインが腕を変形させ、小さな鏡をいくつか飛ばし、あちこちへ浮遊させる。


 そしてその鏡に光線が直撃すれば反射し、ドラゴンへそのまま戻って直撃する。


「ギュガアアアアアアアア!!」


 じゅわっぁぁあっと肉が焼けるような音がしたが、直ぐにその部位からブクブクと泡が噴き出し、元の状態へ戻る。


「高速再生能力か‥‥‥こりゃ厄介だな」

「再生する相手はきついのぅ。アンデッドに半ば近いうえに、ドラゴンじゃからこそタフなのようじゃ」


 ゼネが嫌そうな顔をして魔法を放ち、体表に傷を入れるもすぐに修復される。


 皆の攻撃が飛来して直撃するも、タフな相手では少し弱い。



「だったらより高火力で、再生が追い付かないような方法がないとな」


 ドラゴンでもあり、魔道具での魔改造のせいなのか攻撃に対しての耐性もそれなりにあるようで、ちょっとやそっとの攻撃では通じない。


 というか、露出していたり食い込んでいる魔道具を破壊すればいいかと思ったが…‥ノインの分析だとそれらも再生するような素材になっているらしい。


「どうやら既に、体の一部として定着しているようデス。狂気に呑まれている現状、あれらを外すことが出来たとしても戻れないでしょうし、そもそも剥がすのも不可能そうですネ」


 おおきな尻尾が振るわれ、それを避けながら彼女がそう説明する。


「だったらどうするでござるかねぇ、焼き払うしかないでござろうかなl!!」


 じゅびぃ!!っと圧縮した熱線をルビーが放ち、直撃させるもその箇所から次々に再生されてゆく。


 どうしたものかと悩んでいたが‥‥‥ふと、俺はある事に気が付いた。


「そう言えば、この再生能力の速度は早いけど、あくまでも元に戻すぐらいだが‥‥‥そこに異物が有ったらどうなるんだ?リリス、宝石を!」

「グゲグゲェイ!!」


 宝石を生み出し、投げつけるリリス。


 そしてその宝石が着弾したところでガントレットを飛ばして追撃し、思いっきり突き刺さる。


 焼き払った箇所などが再生したのと同じように、その突き刺さった部分も再生を‥‥‥


「っと、飲み込んで…‥‥あ、にゅるんって出てきた」

「異物をきちんと出すようにはしているようデス」


 いったん皮膚で覆われたかと思いきや、きれいに穴が空いてそこからずっぽんっと音を立てて吐き出した。


 体内に異物が入っても、こうやって外に出してすぐに戻るようにしているようで、何か異物をどさくさに紛れて入れ込むような真似は出来ないようだが…‥‥


「グルグガァァァァァア!!」

「っと、ブレス攻撃も厄介だが‥‥‥ゼネ、あいつはアンデッドに半ば入っているって言ったよな?」

「うむ、そのようじゃ。半分生ける屍のようじゃが、まだ辛うじて生きているようじゃし、聖なる魔法などの効果も薄めなのじゃ」


 完全にアンデッドならば、かなり楽に消し飛ばせるそうだが、なまじ生きている状態ゆえに効果が底まで見込めないそうな。


 ならば確実に逝ってもらい、アンデッドになってもらう方が対処しやすいらしい。


‥‥‥逝ってもらうだけならばまだ早いんだが、アンデッド化しかけているせいで絶命し切らないようだしね。死んでいるのに死んでいない状態とはこれいかに。それを言ったらほとんどのアンデッドモンスターにツッコミが入るが‥‥‥まぁ、気にしていても意味はない。


「だったら一番早いのは、再生を無視してかつ確実に絶命を見込めそうな‥‥‥首の切断か?」


 首を切ったところで、そこから再生する可能性のもあるし、最悪の場合切り捨てた頭と体の両方から再生して数が増える可能性もある。


 けれども、この戦闘の最中にルンの斬撃やティアの鎖鎌で指やらなんやらを斬り飛ばしているが、本体の方に付いている部分なら再生しており、切った肉片はそのままなので後者の心配はないだろう。



「全員集中攻撃場所、首元へ変えろ!頭と胴体をぶった切って一旦絶命させ、アンデッド化を確認したらゼネの聖魔法で一気に消し飛ばす!!」

「「「「「了解!!」」」」」


 指示を飛ばし、各自別々の場所を攻撃していたところから、ドラゴンの首元へと攻撃を集中させ始めた。


 再生されるとはいえ集中的にやればその前にだんだん削げてくるだろうし、どうにか切り落とせるだろう。


 うまくいけば、そのまま一旦絶命し、アンデッド化して蘇ってきたらソレはソレで都合が良いのだが‥‥‥生憎ながら、ドラゴンの方は狂気に呑まれていても攻撃の意図を悟ったのか、首を守るように戦闘態勢を変えてきた。


 ぐるぐると回転し始め、両手を首元へかばうように押さえ、攻撃手段をブレスによる広範囲攻撃から尻尾による全体への攻撃とわけ、全員の攻撃を薙ぎ払って抑え込む。


 カトレアやアナスタシアの蔓や氷も引きちぎり、砕き、首元を守ってゆく。


「こりゃ長期戦になりそうだな‥‥‥」


 全員の攻撃を受けても、それに対応してすぐに判断して動くドラゴン。


 狂気に呑まれていても本能的に戦い、タフさを見せる姿は惜しくも思えるが‥‥‥こんな出会いでなければ、召喚獣にしたいと思えた。


 まぁ、無理だろうが…‥‥惜しい思いもしつつ、その狂気から解放する慈悲を与えられるように、俺たちは攻撃をし続けるのであった…‥‥


時間はかかるが、ずっと守れないはず。

タフさはあれども無限の体力って訳でもないだろうし、こちらは薬草やツボ押しでどうにかなる。

だから、どうにか大人しくなってほしい‥‥‥




…‥‥健康な状態で、何もない出会いであれば召喚獣にしたかったなぁ。

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