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303 悪趣味なのはどうしてか

‥‥‥塔のダンジョンの最上部に近づくにつれ、怪物たちが多く出てきているようだ。


 内部の様子を見る限り、フェイスマスクの手に落ちていると考えて良いだろう。


 奥からどんどん、フェイスマスク製の怪物と見られる化け物がこれでもかと出まくり、常人であればかなりの脅威になるのだろうが…‥‥生憎ながら、俺たちは常人ではない。自分で言ってどこか悲しくなるような気がするが、そんなことは気にしていられないだろう。


「ファイヤァァでござる!!」

「「「ギギギギギャゲェェェ!?」」」

「氷結、瞬間、全部砕ける」

「「「-----!!」」」


 ルンとアナスタシアの火炎放射に吹雪で、焼き払い、氷結し、氷と炎が怪物たちを次々と消し飛ばす。


「ついでに/切り捨て/みじん切り」

「このぐらいならズバッとしてやるぜ!!」

「「「「ギギェェェェェェ!?」」」」


 そしてルンやティアの剣やナイフで切り捨てられてゆく。


「怪物たちだけど、なんか弱いな‥‥‥こちらの戦力が過剰すぎるのもあるけど、これまでの奴らよりも完成度が低いというか‥‥‥っと、ロケットパンチ」


 音声機能でガントレットを発射して、忍び寄ろうとして来た怪物の顔面を粉砕させながらも、俺はその違和感に疑問を抱いていた。


 これまでの組織の怪物たちはどれもこれも非常に強く、強靭な生命力を持っていたというか、迷惑気な力を多く持っていた。


 だがしかし、今こうして討伐している怪物たちは、どことなくそんな力を感じさせない。


 なんというか、中途半端に作って放置しているというか、むしろこの状況を利用しての廃棄処分の役目を負わされているような…‥‥そんな感じがする。


「解析してますが、その考えはあっていると思われマス。どれもこれも、やや中途半端な物しか施されていないようデス」


 ワゼ譲りなのか箒を取り出し、はたきながらもノインが俺の心を読んだのかそう口にする。


 どうやらこうやって討伐している中で細かい部分を見ているらしく、そうはっきりと告げる。


「廃棄処分場の処分役か…‥‥面倒な役目を押しつけられているのか」


 何にしても、放置して良いわけもないし、襲い掛かってくるのだから迎撃しなければならない。


 次から次へとくる怪物たちを討伐しつつ、次の階層を俺たちは目指していく。





「お?あれが上へ行ける階段じゃないかのぅ?」


 ある程度の数を討伐して進んできたところで、ゼネが魔法でふっ飛ばし、ようやく上の階層へ向かえる階段を発見した。


「とはいえ、罠がある可能性があるし‥‥、先に確かめた方が良いかもな」


 この塔、階段にまでトラップがあるからな。下まで落とすタイプとか、階段に見せかけた落とし穴とか、質が悪い。


 まぁ、フェイスマスクの研究所として侵食されているようだし、ここまでくるとどうなのかは不明だが警戒するに越したことはない。


 なので、数人ずつ上がりつつ、全員あがったところ…‥‥その階層はまた違っていた。


「広いですわね‥‥‥全体的に大きいというか、天井が見えないですわ」

「とはいえ最上階って感じでも無さげじゃが‥‥‥」


ガゴォン!!

「っと!」

「階段が!」


 急に大きな音がしたので、振り返ってみれば、先ほど上ってきた階段が消え失せていた。


 ここも何か落とす系統の仕掛けかと一瞬思ったが、どうもそうではない。


 空気がどことなく冷え込むというか、薄暗くて見にくいというか…‥‥念のために奇襲に備え、全員が臨戦態勢になっていたその時であった。



――ズゥン、ズゥン、ズゥン!!


「‥‥‥何の音だ?」



 急に聞こえてきたのは、何か重いものが立てるような足音。

 

 ずっしりとしているというか、薄暗いこの階層の奥の方から、何か大きな姿がこちらへ向かっているように見えた。


「ノイン、ゼネ、明かりを」

「了解デス」

「了解じゃ」


 薄暗いだけなので見えないわけでもないが、はっきりと見るために彼女達に指示を出し、それぞれの変形による懐中電灯と魔法による明かりをその音の方向へ向けて照らしてもらう。


 見れば、確かにその方向からものが来ていたが‥‥‥その姿は、異形のものであった。



ぶしゅううううう!!ばるぶっしゅううううう!!


 体中から生えているパイプが気味の悪い煙を吐き出している。


 また、どこからともなくこちらも不気味な体液のようなものを垂らしつつ、腐食させていく。



「‥‥‥ドラゴン?」


 近づいてきた巨体は、大きなモンスターの代表格と言うべきか、ドラゴンと見れるもの。


 だがしかし、その全身には痛々しいほどの魔道具などが突き刺さっていたり、喰い込んだりしている様子で‥‥‥改造に失敗した化け物として見れるだろう。


「ジュグワバァ…‥‥ゲルガガガアアアアアアアア!!」



 ぎょろりっとその大きな目玉をこちらに向け、咆哮をあげるドラゴン。


「ぬぅ、こやつアンデッドに仲間入りしかけているようじゃが、無理やり生かされているような‥‥‥そんな感じがするのぅ」


 咆哮を聞きながらゼネがそうつぶやき、相手の出方をうかがい始める。


 フェイスマスクの犠牲になったようにも見えるのだが…‥‥その意志はもう、狂気に呑まれているかのように感じさせる。


 っと、そう考えているうちにドラゴンの口が開き始め、鈍い光が見える。


「ギャアグルゲバアァァッァァァァァア!!」


 ごぼうっ!!と嫌な音を立て、吐き出すように出てくるのは不気味な色合いのブレス。


 ルビーの吐くような炎のブレスとは違い、濃厚な煙のブレスだ。


 毒ガス攻撃に近いかと思われたが、その攻撃が来る前に彼女達が素早く動く。


「ブレスならこっちもできるござる!!」


 ルビーが深く息を吸い、向かってくるブレスにめがけて強烈な炎のブレスを吐き、ぶつかり合う。



ドォォォォォォン!!


 互いにブレスが衝突し合い、体格差はあれどもブレスの大きさは変わらず、焼き尽くし合う。


「全員、戦闘態勢!!」

「「「「「了解!!」」」」」


 ブレスを互いに打ち消し合い、吐き終わったところで指示を出して戦闘に移る。


 フェイスマスクに魔改造されたようなドラゴン相手だが、その不気味さは怪物たちよりも狂気に呑まれているようであり、そう簡単にはいかないと直感するのであった‥‥‥‥


 








「‥‥‥おおお!見事に戦闘し始めたねぇ!!」


 そしてディーたちがドラゴンと戦闘をし始めたその光景は、その階層よりもさらに上の階に設置された監視室にて、仮面の者がしっかりと見ていた。


 塔の構造を変え、互いにぶつかり合うようにしたのだが、その目論見はうまく言ったようだ。


 まだ解凍したてで本調子では無いようだが、今の炎の熱で芯まで通じたようで、ようやく動きが良くなり始める。


「とはいえ、流石に人数差があるけど‥‥‥まぁ、別に勝敗は良いか。これで失敗すればそれはそれで良いデータが取れるし、今のうちに得られるデータをもとに、逐一改造できるからね」


 にやりと不気味な仮面の奥で笑みを浮かべ、別室の光景に仮面の者は目を移す。


 そこには、ディーたちのいる階層とは違う改装に作られた部屋…‥‥そしてその部屋の中には、新しく作り始めた(・・・・・・・・)怪物がいた。


「ぶつけて取り込み、成長できればそれはそれで良い。でも、ここまで得られたデータがあると、やっぱり急ごしらえとはいえ新しい物を作りたくなるからねぇ」


 笑いつつも、仮面の者はディーたちの戦闘光景を見つつ、そこから得られるデータをもとに怪物の体を改造してゆく。


 研究して報告書を読むだけでは所詮知識しか取れず、経験がない。


 だからこそ、こうやって失敗作を成功作にしようとする試みの中で、戦闘経験を移して他に取りいれて新しく作る方がより効果的に製作できるだろう。


「さぁって、勝っても負けても、新しく作り始めたこれに利益がでるし、前者ならば失敗作が成功作へ、後者ならば失敗作は失敗作だけでこの怪物の糧となるし、戦闘終了まで時間がかかるならばさらに成功へ近づく!!さぁ、その戦いぶりを見せてくれたまぇ!!」


 画面に映るディーたちの戦闘光景を見ながら仮面の者はそう叫び、並行して作業を行うのであった…‥‥



「しかし、こうしてみると本当に多勢に無勢だからそこまで持つかどうかは分からないけど‥‥‥まぁ、それはそれで良いか」

出てきたるは、フェイスマスクの手に落ちたと思われるドラゴン。

体中が痛々しい魔改造が施されており、狂気の中にあるのだろうか。

何にしても、今は全力で相手するしかないが…‥‥最初のころに呼びたかったドラゴンが、こうやって敵として出てくるのはなんか悲しい…‥‥




…‥‥一番最初の、召喚士になりたかった中で、ドラゴンを召喚獣にしたかったという想いがあるからね。

でも何をどうして、この集団になったのやら…‥‥人生何が起きるのかわからない。

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