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281 押し付けつつも被害あり

…‥‥騒動の中で忘れそうではあったが、ディーたちは臨海合宿の途中であった。


 だがしかし、帰還したころには既に合宿が終了しており…‥‥


「‥‥‥まぁ、どうせ合宿後は寮に戻ってから夏季休暇に入るから、自力で帰還できるなら浜辺で遊んで良い話しにはなったが…‥‥ノイン、お前なんで頭だけになっているの?」

「色々ありまして、本日はこの形態デス。ミニボディの方もメンテナンス中でして、使えるのが頭だけですので‥‥‥移動はセンサーを回転させてできますので、心配は必要ありまセン」


 そう言いながら、プルプルと音を立ててアホ毛が回転し始め、浮かぶノイン。


 一晩のうちに何があったのか気になるが、深く詮索してはいけないと勘が警鐘を思いっきり鳴らしまくるので、尋ねることはしない。


 というか、間違って酒を飲まされた後のことを覚えていないんだよなぁ…‥‥柔らかくて暖かい思いをしたかと思えば、何やら花畑で川の向こうの人達が手を振っていたような光景を夢に見たぐらいならば覚えているのだが…‥‥うん、考えないでおこう。





 それはともかくとして、合宿が終了したとはいえ、一応第1王子(ゼノバース)第2王子(グラディ)第1王女(ミウ)たちが残っており、報告を待っていた。


 なので、できるだけ海洋王国モルゼで何があったのかわかりやすく報告したが…‥‥報告終了後、聞いていた面子は全員呆れたような顔をしつつも、頭を痛めていた。


「‥‥‥あー、うん、ディー君の召喚獣を取り戻しに向かったのは良いけど‥‥‥」

「本当に、何をどうすれば国が一つ消し飛ぶんだよ‥‥‥」

「というか、ノインさんの姉妹機が出てくるとか…‥‥かなりの大事になってますわよねぇ…」


 はぁっとそれぞれ深いため息を吐くが、既に終わってしまい、どうしようもない事実。


 ついでに言うのであれば、本来この話を聞くべき人でもある第3王子(エルディム)やハルモニアはというと‥‥‥


「‥‥‥そういえば、まったくの無関係じゃない二人の姿が見えないような?」

「愚弟なら、一足先に王城の方に帰った」

「というか、あの弟の場合、ハルモニアとの婚約を早急に結ぶために、自ら出向いちゃったんだよね‥‥‥」

「身のこなしが、早すぎて‥‥‥止められなかったわね」


‥‥‥何やら俺たちが向かった後に、こちらはこちらで動いていたらしい。


 海洋王国の動きを考え、もしかするとハルモニアにも何かしらの危害が及ぶかもしれないと考えたエルディムは、できるだけ確実に彼女を守ろうとして、それならば自身の婚約者であると発表できればいいかもしれないと考え、国王の元へ直接直訴しに向かったのだとか。


「海洋王国王家の血として認められていない相手とは言え…‥‥身分無しのようなものなのに、認められるのかな?」

「うーん、あの父上の事だから面白がって許可しそうなので、何とも言えない…‥‥いや、もう遅かったんだけどね」

「『遊び人』としての職業をフルに活かして、どこからともなく情報を集めたりしているからな‥‥‥そちらの到着1時間前には、もう婚約発表の知らせが来た。これだ」


 そう言いながらゼノバースに渡されたのは…‥‥王城からのお知らせ。


 一応、王族という事でこういう婚約話は全貴族にも周知させるようにということで、城伯の位を持っている俺宛もあり、そこに書かれていたのは‥‥‥第3王子の婚約の知らせであった。


「実行力、すごいな…‥‥」

「あの愚弟、やるべきことを決めたら確実に成しとげるからな‥‥‥」


 考えてみれば、いつぞやか第1王女が幼くなった事件があったが、あの薬の元をたどれば、それを確実に手に入れようとしていた第3王子の動きがあったからな…‥‥行動力だけであれば、人並外れ過ぎていただろう。


 それが今回にも活かされた結果、見事に二人は婚約関係を獲得したらしい。



「とはいえ、一応名もなき民というか、漂流民…‥‥海洋王国から認められない王家の血だからこそ、そこを公表しづらい」

「それで、別の公爵家辺りに養子縁組をしてもらったようだね」


 身分差の問題もあったようだが、それも既に解決済み。


 なんというか、今回の騒動の最中で、一番得をしたのはこの第3王子ではないだろうか‥‥‥‥







 それはそうとして現在、すべての報告を終え、合宿が終了したとはいえ自力で帰還が可能なので、せっかくなので最終日に遊べなかった分を、俺たちはここで補うことにした。


 王子たちの方はこれから第3王子の婚約発表会などの用意のために忙しくなるので帰還することにしたので、俺たちだけで貸し切り状態の遊び放題になるはずではあったが‥‥‥



「‥‥最終日で一緒に遊べなかったので、せっかくだから残っていたのニャ!」

「だからこそ、一緒に遊びましょうよ!!」

「ルナティアとアリスの二人も残っていたのは意外だったけど…‥‥まぁ、良いか」


 何故か彼女達も王子たちと共に残っていたので、俺たちと一緒に遊ぶことになった。


 まぁ、今更一人や二人増えたところで、問題も無いか。


「せっかくだし、全力で遊ぶぞー!!全員、遊ぶ用意は良いか―!!」

「「「「「準備万端!!」」」」」


‥‥‥なので、最終日に遊べなかった鬱憤や、騒動で色々と精神的に大変であったこともふっ飛ばすために、俺たちは全力で浜辺で遊ぶことにしたのであった…‥‥


「というか、本当に二人とも残っていてよかったのか?」

「うん、大丈夫にゃ。どうせ早く帰っても、あたしは森林国の帰郷があるだけニャ。それもちょっと遅れても、問題ないのニャ!」

「こちらはガランドゥ王国への帰郷ですけれども…‥‥特に大事な事とかはないのよねぇ」

「そういうものか?」

「「そういうものなの!」」







‥‥‥そして、ディーたちが最終日にできなかったことを全力で解消しようと遊び始めていた丁度その頃。


 別の場所では、とある動きがあった。


「どういうことだ…‥‥密かに作っていた研究所が、消え失せているのだが」

「職員及び管理者、双方とも連絡なし!!突然消されたようです!!」

「何だこの跡地は‥‥‥まるで、天から巨大な雷でも、いや、それ以上の何かによるものなのか……!?」


 そこは、騒動のどさくさに紛れて破壊された、仮面の組織フェイスマスクが所有する、珍しく地表に建造された研究所跡地。


 ある日、急に連絡が途絶えたので不審に思い、組織の者達が確認しに向かうと、そこには研究所の姿は無かった。


 自爆装置を使ったわけでもなく、外部からの攻撃と推測できるだろう。


 だがしかし、何者がどの様にして攻撃したのかまでは把握できず、失われた実験データなどを考えると損害は非常に大きい。



‥‥‥最後の最後までやらかしていたアポトーシスではあったが、結果的に組織フェイスマスクの活動を一時的に抑え込む役割を担ったのであった。




しっかりと被害は出るところに出ていた模様。

そして一方では、今回一番得した人も出たようだ。

これでつり合いが取れているというか、何というか‥‥‥まぁ、気にせずに遊ぶか。



‥‥‥あと、進展がちょっと欲しくなってきたので、閑話予定。

別件で構想中なのもあるし、頭の中で混ざらないようにしないとなぁ‥‥‥

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