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253 そういえばもうちょっとで夜明けでした

…‥‥夜の暗闇が薄れ、徐々に空の彼方がじわじわと明かりを増してきた頃合い。


 夜明けまでもう少しというところで、ディーたちは生徒たちが宿泊する宿屋に戻っていた。


 ルナティアとアリスもそれぞれの部屋に帰還し、ゼネは別のところで今晩は宿泊予定であったが、一応解決したので直ぐに宿泊を取りやめ、共に来たのは良いのだが…‥‥



「‥‥‥っと、これで大丈夫なはずデス。ご主人様の鼓膜再生治療は終了しまシタ」

「そんな簡単に、人の鼓膜は治せるのかのぅ?」

「ええ、再生医療法が使えますし、どちらかと言えば音響兵器の音波で各部位にダメージがあったようですが‥‥‥それでも破れる前とは同等の状態になっていマス」


 気絶していたディーの体を治療し終え、寝息を立てはじめたのでベッドに寝かし直しながらノインはそう答える。


「あとは、私の方のオーバーホールですが‥‥‥こちらも何とか修理が済みましたネ。予備パーツを使用しての並行作業でしたが、どうにかこうにか夜明け前までにも完了しまシタ」

「一見すると、バラバラ殺人事件状態じゃけどな」


 よいしょっと言いながら、自分のばらした体をつなぎ合わせていくノイン。


 その光景を見てゼネはそうつぶやくが、まさにその通りな光景ではある。何しろ、分解のために来ている衣服を脱ぎ捨てて裸体になっているが、その手足は体についておらず、各部位が開腹されており、中身がでているのだ。


 あちこちには見たことの無い道具なども散乱しており、壊れた類はまとめられて新しいのに交換されていたりと色々と施しているようだが…‥‥予備パーツというべきか、増えている手足で作業が行われている光景は一見するとかなりのグロい光景であった。


「一応、生体部品も混ざってますが、無機物の方が多いですヨ」

「それでもかなりきついのじゃが…‥‥というか、中身が見えてもどうやって動いていたのかなどが全然わからないのじゃが」

「私としては、死体が動ける原理なども十分不思議ですけれどネ」


 なお、他の面子もリザのマッサージやカトレアの薬草などで治療を終え、今は長かった一夜の疲れを癒すために熟睡中であった。


 一応、朝にはもう出発なのでそこまで長く睡眠時間は取れないのだが‥‥‥それでも、眠らないよりはいいだろう。


「しかし、思った以上にあの一撃は重かったですネ‥‥‥‥ご主人様、ガントレットに強化スーツでやられましたし、ちょっと放置は不味くなるところでシタ」

「そちらは思いっきり地面に頭から突き刺さったからのぅ」


 ずぅうんっという音が鳴るほどの重い一撃。


 けれども、あれはまだ見た目は軽い一撃だったようで、内部の方にかなりのダメージがあったようだ。


「硬い相手の内部攻撃破壊に使える機能を仕込んでましたが、それを利用されたのでしょウ。おかげであちこちが滅茶苦茶になっていたというか、音響兵器が下手したら取り出せなくなっていたというか‥‥‥まぁ、これでどうにか修理できましたし、問題ありませんネ」


 全身をつなぎ合わせた後、分解のために裸になっていたので服を着直し始める。


 ボロボロになっていた部分も新品同様に直しており、問題はないはずだ。


「何にしても、今後の課題としてご主人様を催眠術からいかに防護するかですが…‥‥一応、先ほどの治療でちょこっと細工できましたし、音からの方は大丈夫なはずデス」

「なんかさらっとヤヴァイ感じの事が聞こえたような気がするのじゃが」


 何にしても、今後の課題の一つに催眠術対策が加わった。


 というか、それを知っていたのに、放置していたノインとゼネは苦々しい表情になる。


「というか、妹たちの情報網がやばいのぅ…‥‥どうやって知ったのか探ったら色々やっていたようじゃし‥‥‥まぁ、今後はこちらも利用できるようにしたから良しとするかのぅ」

「そう言えば、何か細工をしていたようですが、今後はあのような襲撃はないと見ていいのですヨネ?」

「うむ。間違いなく今後はやらかせぬじゃろうなぁ。儂がばっちり呪いをかけておいたし、躾済み‥‥‥というか、もうちょっと早く施しておけばよかったのじゃ」


 ゼネの妹たちによる襲撃は、今後起きないようにしたようだ。


 ただ、あの場にいた者以外にも同類のものは多く存在しており、それら全部にいちいちかけて回ることはできない。


 そこで今回、ゼネはちょっと特殊な呪法を利用した。


「簡単に言えば、風邪のように感染する呪いじゃな。もちろん儂に関係するというか、対象を設定したが上での特殊な物じゃが‥‥ひとまずこれで、この国での問題は解決したじゃろう」

「なるほど‥‥‥何もその場だけに限らず、放置しても広まる呪い‥‥‥それはそれで恐ろしいような気がしますネ」

「まぁ、儂一応ナイトメア・ワイトじゃし、こういう類も可能じゃ。…‥‥元聖女なのに呪いを広めるのはどうかと思う自分もいるがのぅ」


 とはいえ、そんなことはもう昔の話であり、今の彼女は元聖女に過ぎず、ディーの召喚獣。


 何も気にする必要はないだろうし、今後の憂いの一つを消し去ったので結果としては良いことになったと考えれば良いだろう。



「あとはまぁ、あの妹たちがやろうとしていたことに関してじゃが…‥‥その件に関しては、まだ時間を掛けて話し合いなどが必要になりそうじゃな」

「そこはまだまだ、気持ちの問題もありますし…‥‥何よりも、ご主人様の選択を優先しなければいけませんからネ」


 そう言いながら、彼女達はベッドで眠るディーを見てそうつぶやき合う。


「しかし、巻き添えになったことはちょっと申し訳ないのじゃが…‥‥別の方面で問題が起きたのぅ」

「ですよネ…‥‥」



…‥‥ディーに対しての感情だとか想いだとか、そう言う話はまだ良いだろう。


 それはそれでまだ良いとして、今回の件でちょっと不味い立場に彼女達はなっていた。


「‥‥‥催眠術を黙っていた件と、儂が初めての唇を奪った件に関してどう説明したものか」

「起きたらその件で追及されるでしょうが‥‥‥命がありますかネ?」


 互いに持っていた秘密と、ゼネの方でしでかした件が今回召喚獣及びその他2名に知れ渡ってしまったことに関しての説明責任があった。


 今でこそ全員寝ているが…‥‥起きた後の追求の機会が怖ろしいのである。


「予備パーツをいくつか準備しておきましょう…‥‥下手すると頭だけにされかねませんけれどネ」

「儂の生前の処刑がギロチンじゃったし、その可能性を考えると結構シャレにならないのじゃが」


 とにもかくにも、できればこの話のことに関してはディーがいる場所以外でしてもらえるようだが、命の危機をちょっと感じてしまうのであった‥‥‥‥‥


「もしくは、昼頃に海へ到着予定がありますので、砂浜に埋められて頭割りにされる可能性モ」

「物凄くあり得そうな話が怖いのじゃが‥‥‥‥‥」




‥‥‥長い一夜も明け、太陽が昇って辺りを照らしていく。


 今晩起きた出来事は、何もなかった夢のようにという風に思いたい。


 けれども起きたことは起きたことで消すこともできず、すっかり忘れているとある部分も残っていたのであった…‥‥


「なんか神殿が崩壊しているぞー!!」

「うわぁ、こりゃ酷い!!」


「‥‥‥外で何か聞こえてきましたが、そう言えば神殿の一つ壊したままでしたネ」

「‥‥‥そう言えば忘れていたのじゃが‥‥‥うむ、知らぬ存ぜぬを通すかのぅ」


オーバーホール修理も終え、ディーの治療も終了。

全員治療完了し、あとは海へ向かうだけである。

去年はゲイザー騒動があったが、流石にこの騒動で今度はないと思いたい…‥‥‥



…‥‥中身が見えても、どういう構造で動けているのかはわからない。

というか、体の構造が特殊な面々が多いので気にしなくてもいいか。

足がサメになったり、そもそも蛇だったり、木の根があったり剣精霊だったり‥‥‥‥考えてもキリが無いからね。

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