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22 ストレスホイホイとはこれなのか

「‥‥‥あれ?昼食の時間なのに、二人ともどこ行った?」


 ようやくというか、座学の時間が終わり、昼食時となったが、ディーは二人を見つけられなかった。


 召喚獣は各々で研鑽を積む。ノインとカトレアも例外なく、何処かにいるはずなのだが‥‥‥見当たらないのだ。


「まぁ、それならそれで、使える手段があるからいいか」


 召喚士という職業で、役立つ手段として使える召喚。


 一度名を付けて契約をしている以上、どこか離れた場所であろうとも、召喚を行ってこの場に呼び出すこともできる。


 迷子探しにも役立つし、長距離の輸送、敵地視察、お使いなど、用途は様々であり、結構便利。


 今こうやって見渡しても見当たらないときは、召喚して呼び出すのが早いのである。



…‥‥なお、初召喚時のような長い詠唱はいらず、普通に『○○召喚!』程度に略せるというのも大きな利点だったりもする。詠唱をいちいち頭に浮かべるのは、結構大変だからね‥‥‥


「どこに行ったのか分からないけど、昼食時だから戻って来い!ノイン、カトレア、召喚!」


 魔法陣が顕現し、ばっと輝き、二人をこの場に呼び寄せ‥‥‥‥



めっごぉぉぉぉぉう!!

どっごぉぉぉぉおぉう!!


「「ぐっ…‥‥ん?」」

「…‥‥え?」


 呼び出して早々、何故か二人とも見事なクロスカウンターを決めていたのであった。








「‥‥‥ご主人様の迷惑にならないように、場所を離れ、ちょっと決と、コホン、模擬戦を行っていたのデス」

「少々熱くなって、死と、コホン、殴り合いを仕掛けていただけですわ」

「‥‥‥いや、あれアウトな部類なんじゃ?」


 昼食のために、学園の食堂にディーたちは訪れており、二人から事情聴取をした。


 どうも会話の中でごまかしているのだが…‥‥戦闘技能を鍛えるためか、模擬戦(決闘・死闘)を行っていたらしい。


 場所はあの拡張した部屋の一つを使い、お互い全力を尽くして相手をしていたらしく、召喚したタイミングは一撃を入れ合う所だったようなのだ。


 今はすぐに自分たちで修理、再生を行い、傷ひとつ見当たらない。細腕なのにすごい力で殴り合い、少々、本気のようにも見えたのだが気のせいだろうか?‥‥気のせいだと物凄く思いたい。


「とはいえ、ご主人様に召喚の手間を取らせてしまったことは申し訳ございまセン。昼食の場に集まらずにいたことを、お詫びいたしマス」

「ええ、そこは同じですわね。マスターの手間を取らせてしまい、すいませんでしたわ」


 深々と謝ってくれるが、そこまで気にしては無い。


 いや、ちょっとあの殴り合いの一撃で出た衝撃波とかは気になるところでもあるが、そこまで考える必要もないだろう。いや、考えないほうが幸せなのか。


「…‥‥一応聞くけど、その殴り合いに至る前に、他に何かやらかしてないよな?」


 話を聞く限り、あの戦闘はまだそこまでやっていなかった。でも、座学の時間とかを考慮すると、それ以外の事をやっているはずなのだ。


 何か問題を起こしていないか心配したが…‥‥


「あ、それは大丈夫デス。洗濯などを行い、普通に家事の研鑽を行ってまシタ」

「こちらも、他の医師学科などで行われている薬草栽培の手伝いなど、その関係を行っていましたわ」

「そっか、問題は両方ともなかったんだな」


 良かった、思ったよりもまともな事を、


「ええ、下着泥棒がでましたので半殺しにした以外ハ」

「わたくしの解剖を望まれた方がいましたので、地面に埋めた以外ハ」

「「問題ありませんで(シタ)(したわ)」」

「…‥‥ちょっと待て、犯罪が起きているんだけど」


…‥前言撤回。問題しかなかったようであった。というか、地面に埋めたって誰を?











「‥‥‥あー、それはもうこっちに報告は来ているよ」


 放課後、生徒会の集まりということで、副会長のグラディしかいなかったけれども、生徒会室に俺達は集まり、その話しをした。


 生徒会の方にも、もうノインたちのやった関係の報告は届いていたそうで、処理されたらしい。


「ああ、ついでに生徒会長の兄上がいないのは、妹の王女の方にちょっと手伝いに行っているからね。その報告を僕の方で受けたけれども‥‥‥まぁ、本人たちの自業自得というべきかな」


 下着泥棒の方は、以前から女子寮の方で起きていた問題だったそうで、今回ノインが捉えたのは、その犯人だったらしい。当然ながら犯罪なので、こちらは衛兵たちなどの詰め所へ連行され、余罪が無いか取り調べ中らしい。


 医師学科の方の解剖に関しては、こちらはその職業に適性があったものの、倫理的な部分で問題がある人だったらしく、二度と起こさないように厳重注意の処分を受けたらしい。まぁ、地面に埋められたことに関してトラウマを持ち、深く反省しているから別に良いらしいが…‥‥


「‥‥‥なんか、トラブルが多いような」

「まぁ、そうだね。立件されているものを見ると、前年比の半分以上はもういっているかな」

「ちょっとまて、立件されているって何?彼女達から聞く以上の事が多いのか?」

「まぁ、そうなるね。彼女達…‥‥君の召喚獣であるノイン、カトレアの二人の活動によって色々とやらかす生徒たちを自然に見つけられるから、生徒会という立場としては助かるけどね。適性検査で職業を得て、その正しい使い道などをここで探求できるのに、人に迷惑しかかけないような奴は、いつもどこかで出るからなぁ‥‥‥」


…‥‥いわく、適性学園内で問題を起こす人はいるらしい。


 元々、職業を得るまではその能力を獲得してなかったし、顕現後に調子に乗ってやらかす輩はいるのだ。


 ただ、それが隠れて行われていたり、実力差・権力の力などによってもみ消そうとするような人たちがいるので、立件しにくいことがあるそうなのだ。


 ところが現在、ノインとカトレアが通常とは異なる召喚獣として注目を浴びる分、その手の輩を自然とおびき寄せて、現行犯で処罰を与えることができているのだとか。


「彼女達の場合、人ではなく召喚獣だからね。ちょっと難しい部分もあるけど、その事を理解せずにやらかすからなぁ」

「ええ、私はご主人様にしか従いませんし、ある程度は徹底的に潰せますからネ」

「わたくしも、むやみやたらと威張ってくる方は嫌ですもの。モンスターですし、人の事は人の方でやるべきなので、ある程度ぶちっとしたら人に任せますわ」

「あー‥‥‥一応、自己解決できてい‥‥‥いやいや、ちょっと待って?なんかさらっと怖い言葉混ぜてないか?」


 潰すとか、物騒な事を言っているんだけどこの二人。しかも立件数を見る限り既に事後になっているやつが多そうなんだけど。


「ああ、そこは安心してくれ。各自の自己責任もあるし、君の方に責任は追及は及ばない。むしろ、感謝の声が多いぐらいだな」

「え?」


‥‥‥そう言う類の輩がいるという事は、被害者も、その輩の家族でまともな人もいる。


 なので、その輩たちが潰されると被害者たちも気が済むし、家族の方ではこれ以上やらかす前に矯正の可能性を見いだせるので、何とかできそうなことに感謝されているのだとか。


「まぁ、前の男爵家次男による事件が一番効いてるとは思うな。次男三男ならまだしも、長男だと潰されたらそれこそ断絶の危機だからね」

「あー‥‥‥男としては不味い奴か」

「そういうこと」


 何にしても、放置すれば将来的に危うくなるので、その前にしっかりとできるのであれば良いそうだ。


 いや、先ず彼女達にやられる前に、身の回りの人達が率先してやるべきだと思うが‥‥‥猫かぶりでもしていて、見つけにくかったりするのだろうか。


 何にしても、将来的によりヤヴァイことをやらかす前に立件に至り、防止になっているので助かる事は助かるらしい。


 矯正教育などを施しても、変わらぬ輩もいるそうだが‥‥‥二度目があれば、それはもう見捨てて潰しても良いという話まで、出てきているそうだ。良いのかそれで。



「ひとまずは、特に問題ないかな。ビシバシッと問題児を潰せれば、僕が王位につけた時に治世が楽になるからね」

「それが目的か…‥‥」

「まぁ、まだ兄上との王位継承争いがあるから、確実に就けるともいえないけどね。でも、最後に勝利するのは僕だ」


 ぐっとこぶしを握り締め、グラディは腹黒い笑みを浮かべる。


 一応、国民という立場上、将来的にこの国の王が誰になろうが、そのあたりは良いのだが‥‥‥こんな腹黒そうな王で大丈夫なのか不安になる。


 うん、でもあの兄は兄でどうかと思うが。この国、次期王大丈夫?


 政治的な不安を抱いてしまったような気がして、何となくきりっと胃が痛んだようにも思えるのであった‥‥‥。



「ああ、それはそうと一つ忘れていたな」

「ん?」


 話も終わり、生徒会室から出ようとしたところで、ふとグラディに声をかけられた。


「前から申請されていた、彼女達の女湯への入浴許可。ようやく出たよ。召喚獣用の風呂場の覗き対策に金をかけるよりも、初めからきちんと対策が施されている方に入れれば良いと教員たちの方で結論付けたらしい」

「ああ、なるほど」

「というのは表向きの理由で」

「え?」

「毎回血にまみれた場所ができて、掃除をしていても衛生面上よろしくないというのが本音らしい」

「‥‥ああ、はい。まぁ分かった」


‥‥‥自業自得で赤い花を咲かせまくる者たちが原因だが…‥‥うん、止めてもちょっと口にできない状態になっても、収まらないからな。


 きちんと彼女達が女湯の方へ入浴できれば、その被害も減らせるだろうと思うのであった。


「私としては、メイドとしてご主人様の入浴の手伝いをしたいですけどネ」

「木で覆えば、他人に見られることなく、一緒に浸かれますわよ」

「‥‥‥それでも別れて女湯へ行ってくれ」


‥‥‥いやまぁ、俺だって年頃の男子だし、興味がないとは言えない。


 でもね、そんな一緒の入浴をしたとか、そういう話がでたら、今でこそちょっと肩身が狭いのに、何時か暗殺されるレベルの嫉妬を周囲から抱かれかねないからね。誰だって自分の命が惜しいんだ…‥‥興味がないわけではないが。うん、でも殺されたくない思いもあるからなぁ‥‥‥‥



召喚獣だし、共に入浴する機会はあるかもしれない。

でも、今の状況でさえ注目を浴びているし、変な噂が立つのもよろしくない。

興味がないわけではないが、命は惜しいのだ‥‥‥‥



…‥‥まぁ、周囲から見れば妥当な判断かもしれない。美女に囲まれ、寝食を共にできている時点で有罪にされているだろうし、これ以上何かあれば、それこそ狩られるかもしれない。

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